旅立つ若者たちに、伝えておきたい3つのこと
大学の卒業ライブが終了し、
いよいよ卒業生たちを送り出すときがきました。
旅立つ若者たちに伝えたいメッセージは、
はじめて自分の生徒というものを持ち、
卒業生として送り出した10年以上前から、変わりません。
今日は、かつて教えていた音楽学校の卒業パーティーのスピーチで、
毎年、必ず生徒たちに伝えてきた3つのことを、書きたいと思います。
ひとつ。
音楽の世界には年功序列なんてものはありません。
一歩学校の外に出れば、講師たちは単なる先輩でしかない。
そして、実力が同じなら、
若くて、初々しいミュージシャンの方が断然有利です。
だから、ぐいぐい、どんどん前に出て、
「こんな若い芽、とっとと摘んでおけばよかった」と、
私たちを後悔させるようなプレイヤーに、
ヴォーカリストに、どうぞなってください。
そうなったら、少なくとも私は悔しいし、
もちろん、嫉妬くらいするだろうけど、
きっとそれ以上に、ものすごく嬉しいことでしょう。
そんな日がくることを、心待ちにしています。
ふたつめ。
世の中には、才能のある人というのは、必ずいます。
そんな「できる奴」は、
誰よりも速く、キャリアという階段を駆け上っていくかもしれない。
一方で、人脈を広げたり、友達を作ったりするのがうまい人たちは、
自分のテリトリーをぐんぐん広げ、
さまざまな領域で活躍しだすかもしれない。
そのどちらも、うまくいかなくて、取り残された気持ちになって、
膝を抱えて泣きたくなったときに、思い出して欲しいこと。
戦場で最後に勝つのは、
足が速いヤツでも、
腕力が強いヤツでも、
武器をたくさん持っているヤツでもない。
最後まで立っていたヤツであるということ。
だからがんばろう。
あたしは、まだ当分、ここに立っているつもりだから。
一緒にがんばろう。
そして最後に。
音楽がすべてじゃありません。
音楽家を目差してもいい。
全然別の仕事をしてもいい。
人を傷つけたり、人のものを奪ったりすること以外なら、
どんなことをしたって、君たちは圧倒的に自由です。
ただひとつだけ、お願いがあるとすれば、
5年後、10年後、いや、20年、30年経っても、
「自分を好き」と言える人間でいてください。
カラダを、自分を、大切にね。
どうしても、誰かに背中を蹴飛ばされたり、大きな声をかけて欲しくなったら、
私は、いつでもここにいるから。
卒業おめでとう。
みんなの幸せを心から願っています。
関連記事
-
-
死ぬかと思うくらい馬鹿なこと、いくつやるか。
MTL12でお世話になったシンフォニーサロン(昨年9月閉館)のHPに、 私のイン …
-
-
「無駄な努力」は、 果たして本当に「無駄」なのか?
「あ。これやってみたい!」 ちょっとした閃きに、心をつかまれて、 どうにもこうに …
-
-
どうして私はがんばれない?
「なんか、最近、がんばれないんですよ〜。 がんばらなきゃいけないの …
-
-
「情報」は量より質!
私はボイトレや声、カラダに関する本など、 気になるものを定期的にどかっと大人買い …
-
-
「憧れのあの人は持っているのに、私は持っていないものリスト」
音楽に目覚め、 「いつかビートルズになる!」と頭の悪いことを真剣に夢見ていた中学 …
-
-
音楽をどうやって聴くか?
言いたかないけど、レコードの時代に音楽に目覚めた私。 その後、さまざまな音楽メデ …
-
-
変化は必然。
業界のお仕事が長いせいか、 はたまた海外生活を経験したせいなのか、 変化に対する …
-
-
人生は「パッション」がつくるのだ。
ある時期、心から夢中になって、 一度でも自分のカラダの中を通り過ぎたものは、 自 …
-
-
「時間」
少し前までは平成生まれと聞くと、 隔世の感があって、がっくりきたものですが、 今 …
-
-
人生はリハーサルのない、1度限りのパフォーマンス
ひとりのミュージシャンの生涯には、 どのくらいの苦悩や葛藤、挫折があるのでしょう …
- PREV
- 「〜だと思います」と言わない勇気。
- NEXT
- 「は?マスクって、なに?」
Comment
こんにちは 大阪の大学で教員をしているジロウと申します。
MISUMIさんの、この「旅立つ若者たちに、伝えておきたい3つのこと 」に大変感銘を受けました。
私も教え子に 「科学の世界」用にアレンジして伝えます。
もちろん、MISUMIさんが原典ともきちんと伝えます。
素晴らしいです。
>ジロウさん
ありがとうございます。そんな風に言っていただけて、私も嬉しいです。
MISUMIさん 再びこんにちは このコラムを私のブログで紹介させていただいてよいでしょうか? 全ての若者にとって価値ある内容だと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
もちろんです。ありがとうございます。