「いつはじめるか」じゃない、 「いつまで続けるか」が重要なのだ。
2017/02/26
「やっぱりピアノは幼稚園くらいからはじめないと、モノにならないわよ。」
小学校4年生の時、いきなり音楽に目覚め、
ピアノが欲しくて、ピアノを習いたくて、
親に頼み込んでも、頼み込んでも、
まぁ、どうせ飽きると思ったからか、
受験勉強をがんばらせたかったか、
それとも、単に、経済的な問題か、
なんだかんだと理由をつけては、
はぐらかされて、
やっとこさっとこ買ってもらったのが中学1年の夏休み。
本人は、「ピアノさえ手に入れたら、ピアニストになれる!」
くらいに思っていて、
「このまま音大入ってやるぅ〜」と意気込み、
指にトクホンを貼りながら、
毎日何時間も練習していたわけですが。。。
そんなある日、母の友人で音楽教室を営んでいた、
後の恩師となる人に、冒頭のことばを言われたのでした。
母たちは、当時の私を、
まだ完全にこどもと思っていたようですが、
中学生と言えば、もう十分、もののわかる年齢です。
「そぉね。声楽家ならなんとかなるかもしれないけど、
そもそも、この年になってからじゃ、聴音とか難しいから。」
「音大に入れるの、大変よぉ〜。先生につくのも、結構お金かかるわよ〜」
母とお友達が、そこに私がいないかのように、
そんな会話をしていたのを、今でも、くっきりと思い出します。
さて。
楽器をはじめる、音楽をはじめる適正年齢っていくつでしょうか?
ある年齢を超えたら、もう楽器をマスターするのは無理なんでしょうか?
幼稚園から習っていないと、ピアノはモノにならないのでしょうか?
小学校、中学、高校を通じて、
当時、私よりもピアノが上手だった子は、本当にたくさんいました。
私が、ソナチネやツェルニーあたりに取り組んでいるとき、
(日本ではピアノはバイエル100番からはじめ、
次いで、ツェルニー、ソナチネ、そしてソナタ、と進んでいく、
世界的に見ても特殊な音楽教育の“順序”のようなものがあります)
涼しい顔でショパンやシューベルトを弾いている子たちを見るたびに、
冒頭の先生のことばが、蘇り、
絶望的な気分になったものです。
しかし、です。
それから10年、20年と経ち、
同窓会などで当時の友人に会って、話してみると、
「ピアノを続けている」と言った人は1人もいませんでした。
音大を卒業したという子でも、
ピアノの先生をしているのでもない限り、
ほとんどの人が、ピアノに触れることさえなくなっていました。
そして、私が、歌を歌ったり、楽器を弾いたりするのを見て、
「すごいね。」
「プロは、なんでもできるんだね」
と誉めてさえくれたものです。
おわかりでしょうか?
人生はウンザリするほど長い。
そして、時間が経つのは信じられないくらい早い。
だから、とにかく、今、はじめる。
そして、上達するまで、どれだけの時間を要するか、
自分には才能ないんじゃないか?
なんて迷ったり、恐れたり、失速したりすることなく、
前を向いて、一心不乱に走るのです。
「いつはじめるか」じゃない、
「いつまで続けるか」が重要なのです。
きっと。
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Comment
「感動を引き起こすのは、人の心に眠るストーリー」から飛んできました。
すごく心に沁みる文章でした。
わたしの大好きなピアノの先生が「僕のところにくる70歳くらいの女性たちは長年演奏することを続けてきて、プロとして活躍する人があの人は一体誰ですか?と一目置いていた。」と最近おっしゃっていました。
ああ、すてきだなーと。人生の色彩として向き合う。それもまたなんて味わいがあるのだろうと思いました。
才能がなくて結構。
人生はウンザリするほど長い。
本当ですね。
いつもいつも本当にありがとうございます。
>香澄さん
コメント、ありがとうございます!
私もずっとそう信じて取り組んでいます。
がんばりましょうね。楽しみましょうね。
だいぶ前の記事に今さらコメントするのも躊躇いましたが、
最近になって新しいことを始めて、ずっと続けてきた人たちとの
ギャップに折れそうになっていたのが少し励まされました。
ありがとうございます。
いつまで続けるかが大事といっても、やっぱり早く結果を
出したい気持ちもあって、焦りは消えませんが…
なんとかそれを力に変えながら、私も頑張ります!!