大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「がんばるのが好き」なんてヤツが世の中にいるのか?

   

私に関するひどい誤解のひとつに、
「MISUMIはがんばるのが好きだから」というのがあります。

ずいぶん昔。
チームで仕事をしようと、私が先頭に立って必死に準備を進めていたら、
いきなり仲間に呼び出されて、
「私たちはあなたみたいに、がんばるのが好きなわけじゃないから」と
あっさり首を切られました。

以来、ことあるごとに自分の胸に手を当てます。

「私はがんばるのが好きなのか?」

そして、そのたびに、「んな馬鹿なことあるかいっ!」と大きく否定します。

私がそんな風に見えるのは、
がんばらざるを得ない状況に置かれることが多いから。

つまり、才能ある人なら軽々とやれることができないからに過ぎないんですね。

自然に、スマートにやってるだけなのに、
「うまいね」とか「魅力的だね」とちやほやされる人たちや、
ひらりひらりとキャリアをトリップしていく人たちに、
どれだけ憧れてきたことか・・・。

けど、そうはならない。

石にかじりついて、めっちゃドロドロになって、
超カッコ悪い、もう死んだ方がマシくらい苦しい匍匐前進を続けて続けて、
や〜〜っと薄明かりが見えてくる、みたいなことの繰り返しです。

「がんばるのが好き」的な誤解を受けるのは、
単に、そういうことを延々と続けているからに他ならない。
なんとか一山越えたと思うと、次の山が見えてきて、
あ〜あと、また泥行軍をはじめざるを得ないから、
なんか、「すっごいがんばる人」みたいなイメージがついているのだと思います。

そういえば、その昔から、「まだそんなことやってるの?」とか、
「よく辞めないで続けてるね」なんてことをいわれることもしばしば。

うん。そうも思うんだけどね。

本当に、これはもう本当に、そうなのだけど、
「あきらめ方」というのがよくわからない。
もうそろそろこの辺でいいよね、という見切りが、本当につかない。
実現したいと思うことが、実現できない理由が、どうしてもみつけられない。

頭悪いんだよなって、心の底から思います。
けど、これはもう生まれ持った地頭の問題なのでどうしようもない。

だから、気付いたら、また匍匐前進です。

そうやって匍匐前進を続けていると、
やっぱり、どか〜んと景色が変わる瞬間というのを折に触れ経験するわけで。

だからなおさら、やめられない。

私は、そんな景色が見たいだけです。

ぐいぐい高みに登っていくうさぎさんチームには、一生追いつけないかもしれんけど、
人間、やっぱり最後まで立ってたヤツが勝つんだと、
かなり説得力のある年齢になってきた今も思うわけです。

やれやれ。

■一流のトレーニングノウハウを、あなたも。第2期MTLトレーナーズメソッド、7月開講です。
■パワーアップしたメルマガ『声出していこうっ!』。ブログから、さらに1歩進んだお話をしています。ご登録いただいた方全員に、『朝から気持ちい声を出すためのモーニングルーティン10』をプレゼント。ご購読はこちらから。

 - Life, My History

  関連記事

「私、脱いだらすごいんです!」

「もっと自信を持たなくちゃ」 そう思っても、なかなか自信が持てないのが人間。 自 …

ノドをウィルスから守るためできる10のこと

東京の冬場の平均湿度は40~50% 。 そこまで低い数字と感じないかもしれません …

悪意の不在

ニューヨーク時代、 毎日のように遊んでいたアメリカ人の友人D君が 長期の予定でブ …

「わかることばで教えてください!」

音楽業界に長くいるほど、 どこまでが専門用語で、どこからが一般のことばか、 これ …

タイムプレッシャーを逆手に取る

「どんなときに名曲が生まれるんですか?」 というインタビューに、 坂本龍一は、「 …

「お前は一体、どんな行動をして、今の状況を気に入らないと言っているんだ?」

週末なので、インサイドストーリー的お話を。 生まれて初めての音楽の仕事は、音楽学 …

なめたらあかんぜよ

ずいぶん昔。 広告代理店で、プロデューサーのアシスタントのアルバイトをしていたと …

他の誰かにとっては、 「なんぼのもんじゃい」の人生かもしれない

またひとつ、自分にとっての大きな挑戦が終わり、 静かな気持ちで休日を過ごしていま …

ほんっとに「一期一会」

一期一会。 若かりし頃はあまりピンとこないことばでしたが、 年を重ね、世界を巡り …

どのくらい馬鹿をやれるか。

めちゃくちゃ久しぶりに “Trainspottting” …