大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「自分の名前」と、今一度向き合う。

      2015/12/20

作詞者は曲のタイトルを。
編集者は、本のタイトルを。
起業家は会社名を。
そして、親はこどもの名前を。
たくさんの想いをこめて、
それは、それは真剣に考えます。

名前はその人や物のイメージとなり、顔となり、
やがて、その人の人格やブランド、運命をも引っ張っていくからです。

いえいえ、
姓名判断のような、スピリチュアルレベルのお話ではありません。

商品や人格そのものが、名前のイメージをつくるのなら、
逆もまた真。

名前やタイトルそのものに、作り手の、送り手の、魂が宿る。

よい映画や本のタイトルは、見ただけでワクワクします。

タイトルと作品の内容がお互いを高め合っている優れた作品にあうと、
そのイメージがずっと心に焼き付きます。

タイトルがとてもいいのに、作品の内容やイメージとあっていなくって、
がっかりさせられることもありますし、

反対に、タイトルがイマイチなばかりに、本当はよい作品なのに、
見過ごしてしまうこともしばしばです。

人の名前には、さらにパワフルな影響力がある気がします。

例えば、「萩原朔太郎」が
「山田太郎」や、「田中一郎」みたいな名前で生まれてきたら、
作風は、全然違っていたかもしれない。

「マリリン・モンロー」や「マドンナ」が
「ノーマ・ジーン・ミラー」や、
「マドンナ・ルイーズ・チッコーネ」なんて名前のままだったら、
世界的なスーパースターになっていたかどうか、やっぱり怪しい。

そんな風に考えていくと、
自分の名前にも、さらなる愛情が湧いてきます。

私の場合、たくさんの名前があって、
ひとつひとつが、私を引っ張ってきてくれました。

例えば、私の名前、MISUMIは、「水澄」と書くのですが、
こどもの頃から、とにかく、名前をちゃんと読んでもらえたことがない。

「みずとくん」と男の子のように呼ばれたり、
「すいちょうさん」と外国人のように呼ばれたり。

大まじめに「みずすましさん」などと呼ぶ先生もいました。
(考えりゃ、わかるだろっ!)

「上から読んでもみすみ、下から読んでもみすみ」
「ミス・ミスミー」などと、いじられたこともあります。

一方で、「いい名前だね」「キレイな名前だね」と誉めてもらったり、
父が私の名前をつけてくれたエピソードに興味を持ってもらったり。

いまだに、この名前のおかげで、初対面から会話には事欠きません。

かつては「小坂水澄」という(旧姓の)本名をヴォーカリスト名として、
お仕事をしていたのですが、今から思えば、ずいぶん堅苦しい。
Rockじゃない。
第一、読めない。

カナダ時代、しばらくお世話になっていたエージェントの女性に、
「名字は取り払って、シンプルにMISUMIにしなさい。」
といわれて以来、吹っ切れて、現在の名前を使っています。

最初の一般書を出版をする時に、
「縦書きで”MISUMI”はいかがなものか?」
「著者の名前としたら、きちんと漢字で表記した方がいいのでは?」
などという議論があり、
著者名としては、現在は「大槻水澄(MISUMI)」的な表記をしています。

しかし、LIVE会場などで、
「ボーカルの大槻水澄さん!」などと呼ばれちゃうと、
がくっとテンション下がる。

ヴォイストレーナーとしても、
圧倒的に「MISUMI先生」と呼んでいただく機会が多いので、
「大槻先生」と呼ばれると、たとえ講演会やセミナーでも、
ちょっと居心地が悪くなったりします。

フルネームで「大槻水澄先生」だと、まだ落ち着くんですが、
長いんで・・・・MISUMIでお願いします(^^)

 

ちなみに、ユーロビート系のヴォーカルや英詞のお仕事を
山ほどやっていた時代には、
外人みたいなアーティスト名をつけてくれ、と言われ、
“Julia X”を名乗っていました。
我ながら、胡散臭くって、ちょっとセクスィーな歌詞を書くときなどは、
自分が”Julia X”だと思うだけで、ノリノリになりました。
署名をするときも、ワクワクしたものです。

また、余談ですが、やがて、筆名がひとつでは足りなくなって、
取引先の会社が勝手に名前をひっくり返し、
“Xailu J”名義で作品を発表さしていたこともあるようです。
これに関しては、愛着はあまりありませんが。。。

さてさて、
あなたの名前はいかがでしょう?

親にもらった名前、縁あってもらった名前
生まれてからずっとつきあい続けてきた名前、
変化してきた名前。

そんな名前たちと、時に向かい合うと、
自分自身が見えてきます。

2444042_s

 

 - Life, My History, The プロフェッショナル

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

  関連記事

自分が生きてきた時間を過小評価しない。

誰にでも、自分が取るに足らないと感じるときはあるものです。 傍からは、順風満帆に …

とりあえず、「ムカついたら怒る」

音楽のお仕事をしていると、実に数多くの人と接する機会があります。   …

折り紙と「完コピ」。

腎臓病という病気は何にも食べられない。蛋白も塩気もいけないのだ。これは子供の身に …

「へたくそな自分」を楽しむ

一昔前までは、 『NHKのど自慢』に登場するような、 歌好きのひとたちって、 も …

「道場破り」「ゲリラ戦」「修行」・・・?

アマチュア時代、ちょっとでも自分の顔を売りたくて、 いろんな人のセッションやライ …

芸を磨く。

近年、お仕事の関係で、 さまざまなお芝居にご招待いただきます。 たくさんの役者さ …

「負の妄想」をぶっ壊せ!

一昨日のマインドセットセミナーで、 15年前の妄想日記の一部を紹介するという、 …

最後に「正解」を決めるのは誰だ?

とあるレコーディング現場でのことです。   ブースに入って、ソロプレイ …

「歌って」と言われた時の”危機管理マニュアル”

歌をやっていると、 知り合いのライブやパーティーで、 いきなり、「ちょっと歌って …

正しい「シャウト声」の出し方!

高校時代の自分のバンドのライブ音源という、 恐ろしいものが存在しています。 少し …