「キー決め」の3つのポイント~Singer’s Tips #25~
キーを決める時、
「高いところが出ないから下げる」、
「低いところが歌えないから上げる」というのは、
カラオケレベルのお話。
キー決めは、歌の印象や表現方法、
ひいては意味までも、大きく左右するポイントなのに、
そんな風に安易に決めていては、
いつまでたっても次のレベルに進めません。
キー決めの時、こだわるべきポイントは次の3つです。
1. 歌い出しでグッと「つかめる」か?
どんなスタイルの歌でも、
歌い出しのインパクトは、ものすごく大切です。
サビにばかり目が行って、
ここをおろそかにしている人が実に多い。
人は声を聞いた瞬間、
0.5秒で相手の人格を判断するという、
研究があります。
歌い出しで心をつかまれなかったら、
その先への興味が失われるのが人間というもの。
オーディションならその先は聞いてもらえません。
2. 繰り返し出てくる印象的なフレーズが「美味しい」か?
多くの曲には繰り返し出てくる、
核になるフレーズというのがあります。
無意識に聞くオーディエンスには、
そのフレーズの印象が、
曲の印象として強く残るものです。
それはサビにあるとは限りません。
Aメロにあったり、時にはBメロだったり。
繰り返されるフレーズを、
いかに印象深く歌えるか。
そのためには、どのキーがいいのか。
意外なほど、見落とされがちなポイントです。
3. サビの決めどころで「ドカンと持って行ける」か?
サビの決めどころが最高音という場合は、
そこを中心にキーを選べばいいのですが、
必ずしも、そうとは限りません。
曲の一番大切な「決めどころ」。
激しく歌うのか、
優しく歌うのか、
クールに歌うのか、
切なげに歌うのか、
表現したい感情によって、
出したい声は変わります。
当然キーも変わります。
そもそも、サビの決めどころがどこなのか、
わかってない人も結構いるのは、
残念なことです。
これら3つのポイントをチェックすると、
必ずしもおなじキーに落ち着くとは限りません。
歌い出しは、このキーがよいけど、
サビは・・・というように、
いくつかのキーの候補を出して、
それぞれ試して、一番しっくりくるキーを選ぶ。
これがベストです。
そうして決まったキーで、
最高音がいわゆる「裏声」になったとしても、
それでよいのです。
その「裏声」をどう聞かせるか?
その先は、練習で追い込めばよいわけです。
声は半音レベルで表情を変えます。
自分がもっとも魅力的な声で歌えるキーはどこか、
これでもかというくらいこだわると、
見える世界が全然変わります。
◆“MTL ヴォイストレーナーズ・メソッド” 開講します!
業界トップクラスのメソッドで、圧倒的な結果を出す。ヴォイストレーナーとして活躍されている方はもちろん、ヴォイストレーナーを目指す方、トレーナーという仕事に興味があるという方も。
関連記事
-
-
成長する人。
成長する人は、心の素直な人が多い。 なんでも無反省に、 他人の言うことを聞けばい …
-
-
「できない」と言える「自信」を育てる。
レコーディングのお仕事に 呼んでもらうようになったばかりの駆け出しの頃。 スタジ …
-
-
遠慮すんな!
自分の意見をハッキリ言うせいか、 疑問をすぐに口に出すせいか、 はたまた、やりた …
-
-
すごいミュージシャンって、ここがすごい。(MTLワークショップ in 東京のご感想)
MTLワークショップ in 東京vol.3の受講生のご感想から。 先日はR&am …
-
-
「歌の練習、どこでしているの?」
昨日のこと、 レッスン中にいきなり「ドドドドドドッ!」という大きな音がしだして、 …
-
-
「今日はノドの調子が悪くて・・・」
誰にだってのどの調子の悪いときというのはあります。 どんなに気をつけていても、あ …
-
-
ロックは毛穴で聴くんである。
誤解なきように言っておくと、 私自身はそれほどラウドな音楽が 好きだというわけで …
-
-
「たった1曲しか歌うチャンスをもらえないとしたら、 なにを歌う?」
「たった1曲しか歌うチャンスをもらえないとしたら、 なにを歌う?」 アーティスト …
-
-
好きであることは自分への責任であり、義務である。
「好きなことをみつけて、それを一所懸命やれよ。 好きなことのない人生はつまんねー …
-
-
オトナなんて怖くない。〜アーティストたちの「大物」エピソード〜
これまで、たくさんのアーティストやその卵たちの指導をしてきました。 関係者の方た …