大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

テンポが速い曲の練習方法~Singer’s Tips #26~

   

「ゆっくり目の曲はうまく歌えないんです。
テンポの速い曲の方が得意です。」

時々出会う、そんな人が、
得意なはずのテンポの速い曲を、
ちゃんと歌えたことはありません。

単純に、歌えている気になれるだけ。
テンポが速くて、がむしゃらに歌うから、
ピッチもリズムも、合っている気になる。

趣味で歌うなら、
もちろん、得意と思える、
歌っていて楽しい曲を歌うのは当然ですが、

プロや、プロを目指す人は、
これではいけません。

それは単なるごまかしです。

人の感覚というのはすごいものです。

例えば、一般の人は、
細かい音まではよく聞き取れないし、
リズムもよくわからない。
ちょっとしたニュアンスなんか、
もちろん、わかりません。
それでもね、「イケてない」ことはわかる。

「あの人の歌、なんか、パンチがないのよね」
「こう言っちゃなんだけど、あの人、うまいの?」

完全なシロウトである私の母が、
時々こんなことを言い出して、
どきっとすることがあります。

ごまかしの歌は、直感でわかるのです。

テンポの速い曲を練習するときは、
1度は必ず、テンポを下げた状態で、
歌ってみます。

ゆっくり歌ってカッコ悪いものが、
速く歌ってカッコよくなることはありません。

カッコいい歌は、
どんなテンポで歌ったってカッコいいんです。

今は、mimiCopy(耳コピ)など、優秀なアプリが出ています。
曲をスマホにダウンロードして、
mimiCopyでテンポを落とす。

1音1音、しっかり音が当たっているか?
ビートは確実に刻めているか?
グルーヴは出せているか?
細かいニュアンスは表現できているか?

オタッキーですか?
どんな仕事も、
人と同じことをやっていたのでは、
頭ひとつ抜け出られません。
まして、歌なんて、誰でも歌える。
みんなが歌いたい。

ごまかしのない歌を歌いたいものです。

“MTL ヴォイストレーナーズ・メソッド” 開講します!
業界トップクラスのメソッドで、圧倒的な結果を出す。ヴォイストレーナーとして活躍されている方はもちろん、ヴォイストレーナーを目指す方、トレーナーという仕事に興味があるという方も。
マスターコースの残席わずか。

 - B面Blog, Singer's Tips, 「イマイチ」脱却!練習法&学習法, イケてないシリーズ

  関連記事

意味もわからないまま歌わないっ!

歌詞の意味をわからずに歌うということは、 意味のわからないことばを声高に叫んでい …

「私の歌って、どうですか?」

「自分の歌ってどうなんだろう?」 歌う人誰もが一番知りたいのってそこなんだなと、 …

恋するように、バンドする。

棚卸し週間にて、 これまでにやってきたバンドを ひとつひとつ思い出してみました。 …

それで、いい声、出せますか?

先日、とある生徒さんのレッスンをしていた時のこと。 ずいぶん小柄な彼女なのに、 …

「声質なんか似ないでしょ?」〜歌の完コピ〜

私のプロフィールに書かれている「300曲以上完コピした」を読んで、 「結構、盛っ …

頭痛がイタい!?

ここ1~2週間、頭痛に悩まされていました。 毎朝、首がぱんぱんに張って目が覚める …

ベーシストって、すごいんだ。

「いやー、とにかく憧れていたんだよね。」 「こどもの頃から習ってたから。」 「家 …

「なぜだろう?」の先に、進歩がある。

「なぜだろう?」   楽器も歌もパフォーマンスも、いや、おそらく、どん …

酒とタバコと断崖絶壁

学生時代からバンドをやって、 学祭やライブなどで歌ったり、演奏したりしていた、 …

「向いてない」って、なんだよ?

つい数日前、はじめて訪れた耳鼻科の先生に、 「この声帯の形からすると、あなた、 …