大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

分解して聞く。分解して練習する。~Singer’s Tips#27~

      2021/05/17

「片手ずつ練習しなさい。
右手と左手、一緒に弾いていたら、
間違っていることに気づけなくて、
いつまで経っても上達しないわ。」

中学になってピアノをはじめたとき、
ピアノの先生にこんなことを言われました。

分解すると、ひとつひとつに集中できる。

英語の発音を練習していた時も同じです。

全ての単語に発音記号を振って、
まずは、1文字1文字、
s-u-r-p-r-i-s-e と発音の練習をしてから、
次は音節ごとに、sur・priseと練習する。
こんな因数分解的な方法が功を奏しました。

リズムが悪いと言われた時に、
真っ先にしたことは、
ドラムだけを聞き取る、ということでした。

それでもよく聞き取れないときは、
曲を何度もリピートして、
まずはハイハット。
次にバスドラ。
それからスネアというように、
ひとつひとつの音を拾い出しました。

聖徳太子は一度に10人の話を聞き分けたという伝説がありますが、
一度にたくさんの情報を拾うのは、それくらい困難なことだということです。

たったひとつに集中するから、
そこからたくさんの情報を得られる。

歌の練習も、時にこの、1点集中練習法を採用すると、
ぐっと精度があがります。

メロディならメロディだけを「ららら」で。
リズムならリズムだけを「だだだ」で。
歌詞なら歌詞だけを深く読み解き、朗読する。

もちろん、そこで終わってはいけません。
重箱の隅をつつくようなことばかりしていては、
技術は磨けても「音楽」にはなりません。
これはあくまでも、プロセスです。

気の遠くなるような作業と感じるかもしれませんが、
夢中になれば一瞬ですよ。

“MTL ヴォイストレーナーズ・メソッド” 開講します!
業界トップクラスのメソッドで、圧倒的な結果を出す。ヴォイストレーナーとして活躍されている方はもちろん、ヴォイストレーナーを目指す方、トレーナーという仕事に興味があるという方も。
マスターコースの残席わずか。

 - B面Blog, Singer's Tips, 「イマイチ」脱却!練習法&学習法, 歌を極める

  関連記事

うまくなる人の5つの条件

「うまくなりたかったら、やっぱヴォイトレしなくちゃダメですかね?」 「学校みたい …

「声」はエネルギー。

キャリアの節目を迎え、 「急に、自分の声が気になるようになって」と、 レッスンや …

言わなくていいこと。言うべきこと。

言わなくてもいいことを、 「これはあなたのためだから」と、 上から言う人がいます …

「バンド、やりたいんですけど・・・」

「バンドやりたいんですけど・・・」 学生から、そんな相談を、よく受けました。 え …

自分を追い込める人こそが、最も成長する。

人の一所懸命度は、 その人のおかれている状況の難しさに比例する。   …

「左脳で感じる」練習法

「おとなは左脳で感じる」。 私の持論です。 ある程度成長すると、 こどものように …

「やるっ!」と決めた時から、旅ははじまっている。

「がまん」という言葉が嫌いです。 やりたいことこそ、やるべきことで、 やりたくな …

音楽ソフトが使いたい!でも、PCが苦手?

最近昔話ばっかりで恐縮です。 生まれてはじめて、 自分でオリジナル曲を録音した時 …

「育てる」んじゃない。「育つ」んだ。

「あいつは俺の弟子だったから。あいつを育てたのは俺だよ。」 有名人や、一流の人た …

人間がカラダをつかってするとことは、 「なんでもおんなじ」。

「パキンっ!って音をとらえるのに大切なのは、 チカラじゃなくて、タイミングなんで …