どうして私はがんばれない?
2017/10/10
「なんか、最近、がんばれないんですよ〜。
がんばらなきゃいけないのはわかってるし、
ホントにがんばりたいんですけど、
練習も勉強も、全然集中できなくて、
気がつくと1週間とか経ってるんです・・・」
五月病の季節に限らず、
一定の割合で私の前に出現する「がんばれない族」。
たいがいは、「練習してきた?」
という私の鋭くも素朴な質問への、
答えにならない言い訳として、
こんなことを言う彼ら。
まるで病に苦しむ患者さんが、
お医者さんに処方箋をくださいと言うがごとく、
みな、すがるような目で、
「がんばれない病」をどうにかしてください、
とばかりに、私に訴えてきます。
そんなとき、私が彼らに言うことばは、
「なるほど・・・じゃ、やんなきゃいいじゃん」。
そんなこと言う先生はかなりレアらしく、
そう言われた瞬間に、
みんな「鳩が豆鉄砲・・・」のような目になります。
「そもそも、がんばらなくちゃ、と思う時点で、
向いてないし、やりたくないのよ。
人生短いんだし、
やりたくないことに使う時間なんかもったいないでしょ?
やりたくもないこと、がんばってやったって、
どうせ精度は上がらないし、いい結果出せないし、
だらだらいたずらに時間ばっかりかかって、ろくな事ないわよ。」
いやいやいや。MISUMIさん。
そんなこと言ったって、
課題やらないと叱られるし、
授業出ないわけにもいかないし・・・
「なんで、授業出なくちゃいけないの?」
え?・・・・そりゃもう、
だって、欠席になっちゃうじゃないですか。
「やりたくないことやってる授業に、
がんばって出られたって、教えてる方も迷惑じゃない?
10回までは、欠席になったって、いいわけだし、
やりたくないんなら、休めばいいじゃない?」
あ。だから、やりたくないわけじゃなくって、
やりたいんですけど、がんばれないわけで・・・
「そうそう。
そもそも、それが、違うんじゃない?って言うの。
ホントにやりたいことは、
人にやるなって言われたって、
時間がどんなになくたって、やるじゃない?
やらなくちゃって思ってる時点で、
だから、やりたくないわけよ。」
じゃ、どうしたらいいんですか?
やらなきゃいけないけど、やりたくないとき・・・
「やらない。」
は?
だからぁ・・・(汗)
「やりたくないときは、やらない。」
・・・で、どうするんですか?
「っていうか、何ならやりたいの?」
えっと・・・
(この時の答えはさまざま。
といっても、まぁ、せいぜい・・・
寝てたい、遊びたい、ゲームしたい、デートしたい、
ぶっちゃけなんにもしたくない・・程度のバリエーションですが)
「いいじゃん。そればっかりしてればいいじゃない?」
いやいや、それじゃ、ダメな大人になりますよ。
やることはちゃんとやらなくちゃ・・・
「どうして?」
どうしてって・・・
「あのね。
やりたいこと、思いっきり、メーター振り切るまでやってないから、
ひとつひとつにエネルギー出ないのよ。
だらだらしたいのに、だらだらしていると、
なんだか罪の意識を感じる。
デートして、彼女といちゃいちゃしてたいのに、
あれもやらなきゃ、これもやらなきゃって、
その時間を大切にできない。
ゲームしてると、止まらなくなって、
いつまでもやっちゃうのに、やっている間中、
あぁ、ゲームなんかしている場合じゃないんだ。
こんなのダメな大人のやることだ。。。と100%楽しめない。
そうやって、何をやっていても、
何をしていなくても、
そのひとつひとつに100%集中しないから、
だんだん、ホントにやりたいこと、
やるべきことにもエネルギーが出せなくなってくるんでしょ?
だらだらしてたいなら、
それが今、自分の心とカラダが求めていることなんだから、
罪の意識とか感じないで、
もう思いっきり、廃人くらいまでだらだらしたらいいの。
その時に、こんなことやってちゃダメだ・・・
なんて、考える必要ないの。
もう精一杯、めいっぱい、だらだらする。
そうするとね、飽きるよ。
真剣になにかやりたくなる。
それからがんばればいいんじゃない?」
・・・でも、そのまんま、
一生だらだらしたくなっちゃったら、どうしたらいいんですか?
「そんときは、だらだらできる方法を考えればいいのよ。
本気でだらだらし続けたいと望んだら、
だらだらし続けられるようなしくみを考え出すでしょ?
それが本当にやりたいこと、ってわけよ。」
・・・・。
五月病の季節です。
期待に胸を膨らませて飛び込んだ新しい世界。
毎日がワクワクどきどきの連続で過ぎ去った4月が過ぎ、
ちょっとずつ環境に慣れてくると、
ふと、なんだかやる気の出ない、
がんばれない時期がやってきます。
がんばれないときは、がんばらない。
やりたくないなら、とりあえず、やらない。
もちろん、学生と違い、社会人の場合は、
「やりたくない」を「やりたい」に転換する、
技術や演技力が必要になるときも多々、あるものですが、
それだって、長期的に見れば、
「ホントにやりたくないなら、やらないのが一番」
という私の考えには、変わりありません。
ダラダラも、いちゃいちゃも、ガツガツも、イケイケも、
どんなことでも、ひとつひとつ、100%味わう。
全身全霊、集中する。
最初はなかなか技術のいることですが、
試してみる価値はありますよ。
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