大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

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「リハーサルって何回くらいやるんですか?」

      2017/10/10

ライブに来てくれる学生たちによく聞かれる質問のひとつに、

「リハーサルって何回くらいやるんですか?」

というのがあります。

 

正直、この質問に答える時、
恥ずかしく感じることが多々あります。

「いやぁ、メンバーが忙し過ぎて、
1回しかできなかったのよ・・・」

そう言うと、みんなもれなく、
「すげ〜。1回のリハで、できちゃうんですね!!!?」
と感動してくれるわけですが・・・

 
ホントにそれでいいのか?

 

ちなみに、ホール級のコンサートをやる人たちは、

大きなスタジオをベタ押さえで、
丸々2週間〜4週間びっちりリハーサルをやるのが通常。

もちろん、照明さんや音響さん、舞台スタッフなど、
スタッフ系のプランニングや打ち合わせ、
リハーサルも兼ねていますが、

サウンド面の準備にかけられる時間もたっぷりあるので、
音楽的にも完成度は非常に高くなります。

また、ファンたちが耳タコほど聞いている、
アルバムなどのサウンドの再現性も高まります。

 

年間100本単位でライブを切っているバンドなどは、
毎日が本番なので、
リハーサルらしいリハーサルをしている時間はないといいますが、

新曲をつくったり、
レコーディング前などは、
これまた毎日のようにスタジオに詰めて
リハーサルと制作を繰り返すもの。

 

曲やパフォーマンスは生き物なので、
リハを繰り返すうちにどんどん成長していく。

そうやって、スキルを磨きながら、
ファンと共に成長していくバンドもあります。

 

一方で、「リハなんかしちゃダメだ!」という流派もあります。

 

「リハなんか一所懸命したら、演奏のスリルがなくなる」
「インプロヴィゼーションの鮮度が落ちる」

・・・etc.etc…

即興を楽しむ音楽、
ジャズやブルースなどのミュージシャンには多いタイプです。

某ヴォーカリストなどは、
本番前にライブハウスでリハを数曲やって、

「これは、リハでやったから、もう本番ではやめよう。
面白くないからね。」
などと言ったりするそう。
 

そんなわけで、
ライブ当日、譜面だけ持ち寄って、
ささっと口頭で打ち合わせをして、
そのまま本番、なんていうスタイルがしっくりくるという
ミュージシャンもたくさんいます。

 

それはそれで、ひとつのスタイル。
 
本番が始まるまでドキドキですが、
そのドキドキが化学反応を起こして、
とんでもなくいい演奏ができるときもあります。

 

さて。

 

個人的に、今ひとつしっくりこないのは、
「とりあえず譜面通り演奏できる」というレベルで、
満足してしまうこと。

 

音楽ばっかり10年も20年もやっていれば、
そこそこ譜面が読めるようになるのは当たり前。

ある程度スキルやフィーリングのある人なら、
さっと曲の感じをつかんで、
それなりの演奏ができてしまいます。

 

それを「すごい」というのは大間違い。

少なくとも、お金をいただいて、
人前で演奏するレベルになりたい人は、
そんなもんで満足しているようでは、ダメなんです。

 

いや。
すでにお金をいただいて、人前で演奏している人にも、
そんなもんで満足してしまう人がたくさんいます。

 

リハでは「とりあえず」だった演奏を、
とんでもない化学反応とエネルギーのあるものに変えてしまう、
「すごいプロ」なら別ですが・・・

そういう人は、たいがい、
リハとは関係なく、自分でめちゃくちゃ準備をしています。

 

本番中、譜面ガン見で、
一度も目が合わないようなプレイヤーと
一緒にステージに立っていると、
これではお客さんにエネルギーは伝わらないよな、
と思ってしまうことしばしばです。

 

あ〜あ、もっとリハーサルすればいいのに。
もっと準備すれば、
きっともっとすごい演奏になるはず。

毎回毎回のライブできちんと成長、進化していかれるはず。。

 

自分自身を含め、そんな風に感じるたび、
リハーサルの大切さを見直さなければと思うのです。

 

 

「オレは譜面もらえれば、リハなんか1回で大丈夫だよ」
と得意そうにいう学生に出会うと、

だから、つい、
「100年早いわ」と上から目線で言ってしまうわけです。

 

ま、わたし、100年は余分に生きてませんが、
年齢的には大分「上から」ですから、仕方ないわね。

 

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