大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

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「圧倒的な安心感」をくれるプレイヤーの条件

   

魅力的なプレイヤーたちとのパフォーマンスはドキドキ感の連続です。

心地よい音色と音圧、包み込まれるようなグルーブ、
スリリングなフレージング・・・

決まり切ったことをやっているようで、
いつも期待をはるかに上回る興奮を演出する。

どんな場面でも、そんなドキドキ感を生み出せる人が、
一流の階段を上っていくのかもしれません。

この「ドキドキ感」と「不安感」は、もちろん、まったく別物です。

むしろ、一流のプレイヤーたちとの演奏でドキドキ感を楽しめるのは、
根底に圧倒的な安心感があるから。

「何をしでかしても、誰かが何とかしてくれる。」

「どう転んでも、絶対カッコよくなる。」

「何が起こっても、最後は必ずいい感じに収まる。」

これは、「目をつぶって、後ろ向きに倒れ込んでも、受け止めてくれる。」
という信頼感に近いかも知れません。

こんな風に信じられるからこそ、
自由奔放に歌ったり、思うままにプレイを楽しんだりすることができます。

だからこそ、いい演奏になるわけです。

では、この「圧倒的な安心感」はどこから来るのでしょう?

 

今日はヴォーカリストとしての視点から、
「圧倒的な安心感」を感じられるプレイヤーの条件を、
思いつくまま、独断と偏見で書いてみたいと思います。

 

1. 当たり前のことですが、プレイそのものに安定感がある。

これは基本中の基本です。
ここをクリアできていないと、どんなにテクニックがある風でもダメなんです。

テンポが揺れる、
リズムパターンがぶれる、
ダイナミクスが安定しない、
グルーブがつかめていない。。。など、

リズム隊が基本をクリアできていないと、

乗っかるパートとしては、安心どころか、ハラハラし通し。
違ったドキドキ感で変な汗をかきそうです。

 

2. ポイントをしっかり押さえている。
 

音楽は調和です。

音楽を全体でとらえ、理解できているプレイヤーは、
自由にプレイしているようでも、
とらえるべきポイントを的確にとらえています。

自分のアイデンティティを出したいばかりに、耳障りな音作りをしたり、
タイミングの悪いアドリブを差し挟んできたり、
グルーブを壊すようなカッティングやフレーズを平気で弾いたり。

そんなプレイヤーは、回りの集中力をとぎれさせ、
陶酔する気持ちに水をかけ、時に、不快にさせたりします。

それでは、「安心感」どころではありませんね。

 

3. 人の演奏にきちんと反応できる。
 

たとえば誰かが行き方を間違えても、
お互いに反応しあえば、容易に軌道修正はできます。

誰かが仕掛けたフレーズに、
気持ちよく反応して、受けのフレーズを弾いたり、

ソロを担当するプレイヤーが静かに弾き始めたら、
全体のダイナミクスを自然に下げたり、

そんな反応ができることは、よいプレイヤーの必須条件のひとつです。

KYではダメなのは、どこでも一緒ですね。

 

4. アイコンタクトをちゃんと取れる。
 

呼吸をあわせるためにも、きっかけなどを確認するためにも、
そして、共に感動を分かち合うためにも、
アイコンタクトは非常に重要です。

ステージの上で、このアイコンタクトを交わす瞬間は、
もう愛さえ感じてしまうくらい。

ときに、「ここで歌い出してもいいですか?」なんて確認をさせてもらったり、
「楽しいね〜」なんて視線を交わしたり。

これが苦手な方、結構います。

恥ずかしくて、相手の目が見られない。
楽器を弾くのに精一杯で余裕がない。
譜面から目を離せない。
単に、回りに興味がない・・など、理由はいろいろあるでしょうが、

目を合わせてくれないと、なんだか拒絶されたような、寂しさを覚えたりするものです。

 

5.人間的に安定している。
 

これって、当たり前のことですが、
そして、まさかと思うかも知れませんが、

意外に、そうじゃない方、多いのです。
リハと本番の間に飲み過ぎて、本番よれよれになってしまう人、
気分のむらが激しくて、本番中に負のオーラを出してしまう人、
お客さんの反応が悪いと、キレてしまう人、

ステージでのメンバーの態度が悪いと、後で楽屋に呼び出してボコボコにする、
なんて、伝説のある人もいました。

やっぱり人間性。
どんなにプレイが優れていても、どこか回りを不安にさせる人は
やっぱりダメですよね。
 

今日も、心のむくまま書いてみました。

「圧倒的な安心感」。
あなたは演出できていますか?

そして、そんなプレイヤーの演奏に、あなたは応えられていますか?

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 - The プロフェッショナル, イケてないシリーズ

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