「オリジナリティ」ってなんなのよ?
「○○って落語家はすごいんだぞ。
一流と言われた落語家をぜんぶ研究して、
みんながやってないことをだけを、自分の芸にしたんだってよ。」
肝心の落語家さんが誰だったか、
いまいちハッキリ覚えていないのが残念でなりませんが、
テレビで落語がはじまるたびに、
父が話していたこのエピソード。
当時は「それって、ただのあまのじゃくじゃん」
と思いながらその話を聞きました。
誰もやらないってことは、
やりたくならないってことで、
そんなことばっかりやる芸人なんて、
おかしいでしょ。。
「オリジナリティにこだわるなら、人のマネはするな」
という人がいます。
「人のやっていることを徹底的に盗むうちに、
自分なりの表現が生まれてくる」
という人もいます。
「奇をてらうことは、オリジナリティとは違う」
なんて人もいます。
スティーブ・ジョブズが紹介したことで知られる、
「優れたアーティストは模倣する。
偉大なアーティストは盗む。」は、
パブロ・ピカソが語ったことば。
ピカソやマティスのみならず、
若き頃、徹底的に模写、
すなわち、完コピを繰り返して、
絵を学んだ偉大な芸術家は数え切れないほどいます。
「俺は人のマネは一切しないで、
すべて一から自分で考え出したんだ。
だから俺は100%オリジナルだ。」
と、うそぶく漫画家もいます。
音楽家を志した時から、
「オリジナリティ」ということばは、
ず〜っと心の片隅にありました。
しかし、人のマネをするな、と言われれば、
何をしたらいいかわからなくなります。
自分自身がなんであるかもわからない、
表現したいことがなにかもわからないのに、
得体の知れない「オリジナリティ」なんて、
無理矢理出そうとすれば、
単なるへたくそか、
色物(イロモノ)で終わることは目に見えています。
「オリジナリティってなんなのよ?」
私自身、ずっと悩んできたことです。
自分はただ人まねがうまいだけで、
個性のない、平凡なシンガーだと思っていました。
あるとき、友人にこんな風に言われました。
「この間のCM、歌ってたでしょ?」
賑やかなCMの中で、
かすかに聞こえるか聞こえないかの私の声を、
友人はみごとに聞き取ったのです。
「え〜?よくわかったね!」
というと、彼は言いました。
「そんな声の人、他にいないでしょ?」
本当に驚きました。
こんなに平凡な私の声を、
そんな風に思ってくれる人がいるんだ。。。
そこから、学んだこと。
自分という人間は、
自分自身にとって、どこまでも平凡で、
オリジナリティもないものだけど、
その平凡さこそが、自分のオリジナリティ。
どれだけ誰かのマネをしても、
何人のマネを繰り返しても、
どうしても似ないところ、
似せられないところこそが、
自分のオリジナリティ。
だから、「オリジナリティ」って、
自分が一番みつけにくいものなんだ。
若かりし頃に、そんな見つけにくい、
本物のオリジナリティを見出す天才たちに、
敬意を表すとともに、
自分自身の秘めたるオリジナリティにも敬意を表し、
内に、外にとセンサーを張り巡らして。
日々是精進なのです!
◆【ヴォイトレマガジン『声出していこうっ!me.』】
ほぼ週1回、ブログ記事から、1歩進んだディープな話題をお届けしているメルマガです。無料登録はこちらから。バックナンバーも読めます。
◆ 一から歌を学びたいという方にも、基礎を見直したいというプロの方にも。オンラインのお得なBasic3パック
関連記事
-
-
「準備OK」な自分を育てる
欲しいものがなんだかわからなければ、 どこに向かって手を伸ばせばいいのか、わかり …
-
-
最後に「正解」を決めるのは誰だ?
とあるレコーディング現場でのことです。 ブースに入って、ソロプレイ …
-
-
歌がうまくなる人は、やっぱ「どM」。
うまく歌えない時は、誰だって、自分の歌を録音して聞き返すのは苦痛です。 失敗した …
-
-
確信だけが、人の心を動かす。
「MISUMIさん、バッチっす!OKです!」 レコーディングのお仕事では、 歌っ …
-
-
「育てる」んじゃない。「育つ」んだ。
「あいつは俺の弟子だったから。あいつを育てたのは俺だよ。」 有名人や、一流の人た …
-
-
正しい「シャウト声」の出し方!
高校時代の自分のバンドのライブ音源という、 恐ろしいものが存在しています。 少し …
-
-
本気でやりたいなら、「なんか」やれ。
アーティストやタレント、声優の、 新人育成を担当させていただく機会が多々あります …
-
-
歌を学ぶ人の3つのステージ
私は歌を学ぶ人には、 3つのステージがあると考えています。 ひとつめは楽器として …
-
-
「所詮同じ人間」という前提に立つ。
誰かにできて、自分にできないことを、 生まれや育ちの違いのせいにしてしまうのは、 …
-
-
群れない
まわりにいる人を見ると、その人のことが分かると言います。 同じような空気感の、 …
- PREV
- 「上達」は、いきなりやってくる。
- NEXT
- 大きな声を出せないときに、やるべきこと。

