「自分の音域を知らない」なんて、意味わからないわけです。
プロのヴォーカリストというのに、
「音域はどこからどこまで?」
という質問に答えられない人が、実にたくさんいます。
楽器を弾けないようなアイドル歌手ならともかく、
シンガーソングライターや弾き語りをやっている子、
音楽学校にまで通ったことのある子が、
自分の音域を知らないというのは、
もう、ちゃんと歌と向き合っていないとしかいいようがない。
それって、「100メートル何秒で走れるかわからない」
「バーベル、何キロまで上げられるかわからない」
と言っているスポーツ選手に近い。
自分の限界や境界を知らないで競技をがむしゃらにしていたのでは、
上手くならないだけでなく、危険です。
1オクターブくらいしか音域のない曲を、
自分のキーに合わせてしか歌わないような「なんちゃって歌手」はともかく、
J-popでも、ロックでも、R&Bでも、
一般的な音域の曲を歌うからには、
必ず、声の出し方を意識して、
または無意識に「チェンジするポイント」があるのです。
そのポイントでうまく声をチェンジできない人は、
高い声が出ない、
声がフラットする、
ひっくり返る、
ノドを酷使して壊してしまう、
・・・などなどのトラブルに見舞われます。
その時点で
「オレは(私は)高い声が出ないから」とあきらめ、
ひ弱なファルセットに逃げたり、
単純に、高い音域に行かないような曲ばかりを選んで歌ったり、
作ったりするようになるわけです。
まぁ、何度も書いているように、
(先日も、Youtubeをアップしたばかりですが)
そして、もう、猫も杓子もあちこちで語っているように、
高い声はちょっとしたコツ次第で誰にでも出せます。
ただし、この「チェンジするポイント」さえ間違えなければ、
という前提がつくのです。
楽々高い声が出る人というのは、無意識に、このポイントを超えているわけです。
自分の音域を正確に知ること。
どこからどこまで楽に出る。
どこからどこまでいい声が出る。
どこから声が変わる。
どこから力が入る。
どこから歌えなくなる。
ベンチマークのないトレーニングは、いたずらに時間を浪費します。
自分の声を知り尽くして、そのすべてで表現をするのがヴォーカリスト。
自分の声というものを理解できるようになるまでには、
ある程度の忍耐と修行が必要ですが、
音域を知るのは、ごくごく簡単です。
なんでやらないのか、むしろ意味がわからないわけなんです。
わたくし。
メール・マガジン『声出して行こうっ!me.』
ご登録はこちらから。
関連記事
-
-
歌と「向いてない」とクソまずいケーキ
「歌がうまくなりたいんですけど、なにをしたらいいですか?」 と質問されると、反射 …
-
-
「完璧なパフォーマンス」ができても、「蚊の鳴くような声」じゃ、やっぱりダメなのよね。
ずいぶん前のことになります。 あの子、歌がめっちゃ上手いんですよ〜。 素晴らしい …
-
-
ヴォーカリストだって、もっと「音色」にこだわる!
「ロックは出音とグルーヴ、ステージプレゼンス」 と繰り返し書いてきました。 筆頭 …
-
-
“トレーナー”というものの役割を思う。
音楽の世界ってゴールはないんだよな。 ワクチンの軽い副反応で、 なかばサボりなが …
-
-
歌を歌って音楽の世界で活躍したい人に必要な3つの資質
歌を歌って、音楽の世界で活躍したいという人にとって、 必要な資質はなんでしょう? …
-
-
「なんか好きじゃない曲」を歌わなくちゃいけない時のヒント
バンドをやってると、 「なんか好きじゃないな」という曲を 歌わなくちゃいけない時 …
-
-
「絶対売れる戦略」ってなんだ?
ずいぶん前のことになります。 某大手事務所さんが非常に力を入れていた新人がいまし …
-
-
歌をはじめる黄金期?
歌をはじめるのに、 早すぎることも、遅すぎることもない。 これは私の持論でありま …
-
-
「キー決め」の3つのポイント~Singer’s Tips #25~
キーを決める時、 「高いところが出ないから下げる」、 「低いところが歌えないから …
-
-
まずはライブハウスを押さえろ。話はそれからだ。
「いつか、ライブできたらいいなって思って」 レッスンでこんなことばを聞くと、反射 …
- PREV
- もらったもの
- NEXT
- うまいからプロになれるのか?プロになるからうまくなるのか?