大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「自分ばかりがちっともうまくならない」~Singer’s Tips #2~

   

練習をやってもやっても、ちっともうまくない。

まわりのみんなは、どんどん上達するのに、
自分だけ、完璧に取り残されている気がする。。。

アーティストのタマゴたちも、
音大や、音楽学校の学生たちも、
はたまた、音楽愛好家のおとなたちも。

グループレッスンを担当していると、
必ずと言っていいほど、そんな悩みを相談されます。

 

そんなとき、お話しているのは・・・

歌が上達しないと感じられるのは、
歌の上達のスピードより、
耳がよくなるスピードの方が早いから。

多くを学べば、学ぶほど、
自分にとっての「理想的な歌」というのは、
くっきり、鮮明に見えてくるものだから。

そして、
自分にとっての「理想の歌」は、
「現実の自分の歌」よりも、
いつだって、はるか高く、遠いところにあるものだし、
また、そうあるべきだから。

だって、この2つがイコールになったり、
逆転したりすれば、そこで上達は止まってしまう。
そのときこそ、キャリアの終わり。
だから、そのまま、めげずに進みなさい、ということ。

そもそも、他の人と同じようにがんばっていて、
まったくうまくならない、
なんてことはあり得ません。

心が折れそうになったら、
自分の歌のネガティブチェックをやめて、
ポジティブチェックをしてみてください。

「人は『自分の声だから』という理由で、
『自分の声を嫌い』と感じる、
というアメリカの研究があります。

自分だけ、うまくなったように聞こえないのは、
もしかしたら、
「自分の歌だから」なのかもしれませんよ。

◆一生に一度、集中的に学ぶだけで、”自分で自分に教えること”を可能にするMTL 12。毎週日曜日10時〜Youtubeにて公開中。
無料メルマガ『声出していこうっ』。バックナンバーも読めます。

 - B面Blog, Singer's Tips, ある日のレッスンから, カラダとノドのお話, 歌を極める

  関連記事

みんな勝手なこといいやがる。

今でこそ、プロアマ、セミプロ問わず、 「アーティスト」なんて、 定義のふわっとし …

デビューにこぎ着けた若者に共通の特徴

最近、かつての教え子たちの活躍がめざましく、 SNSなど開くたびに彼らのニュース …

夏の価値を高める「8月いっぴっ!」の習慣

こどもの頃から、 月初めの日記には、 今月やったるで!なことを書き並べ、 最後に …

「もっと心をこめて歌ってよ」!?

「歌は心」的な話は苦手です。 心をこめて歌おう、 情感たっぷりに歌おうとがんばる …

大きな変化は一瞬で起こる

変化はいきなりやってくる。 長年人間をやってきた実感です。   毎日が …

歌がうまくなるための「4つの要素」──練習の精度を上げるヒント

歌がうまくなるには、4つの要素があります。 どれも同じくらい大切で、それぞれ特徴 …

情報か?経験か?

生まれて初めて弾いたギターは、 姉が持っていたクラシックギターでした。 中学入学 …

飲み会で声を枯らさないための3つの知恵

感染者数はまだまだ多いとはいえ、 だんだんとコロナとの付き合い方に慣れて来た感の …

本気でうまくなりたいなら、まず、黙って聴く。~Singer’s Tips #20~

シンガーを志しているという人に、 どんな練習をしているのかと聞くと、 多くの人が …

たったひとつの正解を探す~Singer’s Tips #34~

キーは、 どんな表現をしたいか、 どんな効果を狙うか、 自分のどんな表情を切り取 …