大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

自分自身を「スポットライトのど真ん中」に連れて行く。

   

スポットライトって、すごいなぁと、
ヴォイトレに来るアーティストたちの、
コンサートにお呼ばれするたび、
彼らをメディアで見るたびに思います。

スポットライトの中に立つ「特別な彼ら」の、
その「特別な瞬間」を支えるため、
一体どれだけの人たちが動いているのか。

ダンサー、ミュージシャン、
照明や音響や舞台スタッフ、
プロデューサーやディレクターやマネージメントチームに、
トランポやコンサート企画やプロモーションスタッフ・・・。

そのステージに彼らが行き着くまでにも、
レコード会社や作曲家や作詞家やアレンジャーやエンジニアや、
カメラマンやスタイリストやヘアメイクや振り付け師や・・・。
私のようなヴォイストレーナーがいる。

彼らの「特別さ」は、
そんなたくさんの人たちを動かす、
運や才能があったことだけではありません。

たくさんの人たちの、
期待とエネルギーに堪え続け、
逃げることなく、
自分自身をその強烈な光の真ん中に連れて行くことは、
いやー、とんでもなく大変なことです。

「歌えません」「今日は歌いたくありません」が、
許されないポジションです。

疲れ果てていても、自信がまったくなくっても、
最高のパフォーマンスをすることを、
常に、当たり前のように期待されている。

そして、その期待に、応え続ける。
期待を越えた輝きを放ち続ける。
そんな人たちだけが、
次へ、また次へと、自分のステージを進めていくことができるのです。

スポットライトのど真ん中で光り輝く彼らを見るたびに、
その、「特別な3時間」を支えている、
彼らの数千時間、数万時間を思って、
思わず涙してしまうのです。

成功している人を羨ましく思うことは、
誰にでもあります。

「あんなチャンスを与えられたら、
自分だって、うまくやる」。

そんな風に思って、
腐ることだってあるかもしれません。


しかし、人には、
自分が堪えられるエネルギーしか集まってこないのではないか。

自分にチャンスがまわってこないのは、
自分が期待してもらえないのは、
自分自身が発しているエネルギーが、
まだまだショボイからなのではないか。

他人を羨んでいる暇はありません。
エネルギー量を上げる。
ジェネレーターをまわし続ける。

きっと、あるとき突然、
自分自身をスポットライトのど真ん中に、
見出す時が来ると信じて。

大きな夢を叶えたいなら、
大きなエネルギーを発信し続けられる、
「自分」でいなくちゃダメなんですね。

 - B面Blog, The プロフェッショナル, 夢を叶える

  関連記事

「いつものあれ」でお願いしますっ!

ずいぶん前のこと。 たまたまつけたテレビに、 ホイットニー・ヒューストンが出てい …

ポジティブな面にフォーカスする。

「今の、自分ではどうだった?」 そんな質問を、歌い終えたばかりの生徒に投げかける …

関係性がつくれないから上達しない。

ここ数年、芸能事務所や音楽事務所の 新人育成ワークショップを担当させていただく機 …

自分が生きてきた時間を過小評価しない。

誰にでも、自分が取るに足らないと感じるときはあるものです。 傍からは、順風満帆に …

音楽が人と人とを繋ぐのだ

コロナ(COVID-19)に翻弄されていた3年間は、時間の感覚が分断され、人と人 …

「飲みニケーション」は死んだのか?

ここ数年、若手バンドマンたちの「クリーン」ぶりに、 驚かされるシーンに何度も出会 …

それで、いい声、出せますか?

先日、とある生徒さんのレッスンをしていた時のこと。 ずいぶん小柄な彼女なのに、 …

お前はまだ、立ち続けているか?

『戦いに勝つのは、最後まで立っていたヤツ』 人の戦い方はいろいろです。 100メ …

バンド・メンバーの選び方と、 そのメリットデメリット

友達と意気投合して、生まれて初めて組んだバンドが、 どかんと売れて、人気もバンド …

正しい「シャウト声」の出し方!

高校時代の自分のバンドのライブ音源という、 恐ろしいものが存在しています。 少し …