自分自身を「スポットライトのど真ん中」に連れて行く。
スポットライトって、すごいなぁと、
ヴォイトレに来るアーティストたちの、
コンサートにお呼ばれするたび、
彼らをメディアで見るたびに思います。
スポットライトの中に立つ「特別な彼ら」の、
その「特別な瞬間」を支えるため、
一体どれだけの人たちが動いているのか。
ダンサー、ミュージシャン、
照明や音響や舞台スタッフ、
プロデューサーやディレクターやマネージメントチームに、
トランポやコンサート企画やプロモーションスタッフ・・・。
そのステージに彼らが行き着くまでにも、
レコード会社や作曲家や作詞家やアレンジャーやエンジニアや、
カメラマンやスタイリストやヘアメイクや振り付け師や・・・。
私のようなヴォイストレーナーがいる。
彼らの「特別さ」は、
そんなたくさんの人たちを動かす、
運や才能があったことだけではありません。
たくさんの人たちの、
期待とエネルギーに堪え続け、
逃げることなく、
自分自身をその強烈な光の真ん中に連れて行くことは、
いやー、とんでもなく大変なことです。
「歌えません」「今日は歌いたくありません」が、
許されないポジションです。
疲れ果てていても、自信がまったくなくっても、
最高のパフォーマンスをすることを、
常に、当たり前のように期待されている。
そして、その期待に、応え続ける。
期待を越えた輝きを放ち続ける。
そんな人たちだけが、
次へ、また次へと、自分のステージを進めていくことができるのです。
スポットライトのど真ん中で光り輝く彼らを見るたびに、
その、「特別な3時間」を支えている、
彼らの数千時間、数万時間を思って、
思わず涙してしまうのです。
成功している人を羨ましく思うことは、
誰にでもあります。
「あんなチャンスを与えられたら、
自分だって、うまくやる」。
そんな風に思って、
腐ることだってあるかもしれません。
しかし、人には、
自分が堪えられるエネルギーしか集まってこないのではないか。
自分にチャンスがまわってこないのは、
自分が期待してもらえないのは、
自分自身が発しているエネルギーが、
まだまだショボイからなのではないか。
他人を羨んでいる暇はありません。
エネルギー量を上げる。
ジェネレーターをまわし続ける。
きっと、あるとき突然、
自分自身をスポットライトのど真ん中に、
見出す時が来ると信じて。
大きな夢を叶えたいなら、
大きなエネルギーを発信し続けられる、
「自分」でいなくちゃダメなんですね。

関連記事
-
-
たったひとつの正解を探す~Singer’s Tips #34~
キーは、 どんな表現をしたいか、 どんな効果を狙うか、 自分のどんな表情を切り取 …
-
-
「育てる」んじゃない。「育つ」んだ。
「あいつは俺の弟子だったから。あいつを育てたのは俺だよ。」 有名人や、一流の人た …
-
-
たかが半音。されど半音。
たった半音のキーの違い。 しかし、この「たかが半音」が大きな違いとなるのが、 音 …
-
-
「フォームは乱れるもの」と心得る。~Singer’s Tips #1~
どんな名プレイヤーも、 長期間試合に出続けていると、 急に成績不振になったり、 …
-
-
「もっと心をこめて歌ってよ」!?
「歌は心」的な話は苦手です。 心をこめて歌おう、 情感たっぷりに歌おうとがんばる …
-
-
「思い込み」と「勘違い」で、成長を加速せよ!
友だちのお嬢さんの話です。 両親が芸能系のお仕事だったこともあり、こどもの頃から …
-
-
歌う人は「聞こえ方」が命!
ステージ上で自分の声が聞こえないと悩んでいる人は、 ほんっとにたくさんいます。 …
-
-
頭痛がイタい!?
ここ1~2週間、頭痛に悩まされていました。 毎朝、首がぱんぱんに張って目が覚める …
-
-
「なんか、できちゃうかもしれない」妄想
ロックダウンを機にスタートした英語のレッスンも8週目。 今日も、”S …
-
-
「できる人」が集まる環境に身を置く
音楽のセンスや、ことばのセンスを磨いたり、 きらりと光る知性を身につけたり、 楽 …
