大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

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歌う人は「聞こえ方」が命!

      2022/08/01

ステージ上で自分の声が聞こえないと悩んでいる人は、
ほんっとにたくさんいます。

バンドで音楽をやる以上、
最低限の声量がなくちゃダメというのは、もちろん、わかる。

しかし、どんなに声量があったって、耳栓したままでは歌えません。

爆音は目に見えない巨大な壁みたいなもの。

ピッチよく歌いたい、表現力豊かに歌いたいと、
もがけばもがくほど、
巨大な壁の向こうからかすかに聞こえてくる自分の声は、
なおさら聞こえなくなり、
カラダのバランスも声のバランスも、どんどん崩壊してしまう・・・。

そこで登場したのがイアモニです。

これ、逆転の発想で、
要は、最初っから耳栓して、聞きたくない音は遮断して、
聞きたい音だけ聞きましょ、的なツール。

どこにいても、どんな状況でも、
レコーディングのときよろしく、
自分に最適の音のバランスが取り出せるなんて、
あぁどれだけ歌いやすいだろうなぁ、、、

ライブハウスなどでは、導入はまだまだ難しいイアモニ。
しかし、爆音環境で歌うヴォーカリストのひとりとして、
ずっと気になっていました。

さて。

この春、ガッツリした分量の映像を撮影することになって、
手軽にPCと繋げられる簡易ミキサーとイアモニ、
マイクなどをそろえてもらいました。

PCで音源を再生しながら歌って、
それをまたPCに録音する、というスタイルなのですが、

いやーー、これが、もんのすんごく歌いにくかったんです。

ストリーミング用のミキサーではスペック的に無理があったのか、
そもそものつなぎ方に問題があったのか、
しゃべったり、歌ったりを調整なしに一気にやるのが難しかったのか、

とにかく、自分の歌っている時の声が聞こえない。
普通に耳栓されただけ、みたいな感覚になる。

で、オケの音量を下げて、歌を上げてみても、やっぱり歌いにくい。
アカペラでさえも歌いにくい。

日頃、歌う時に頼りにしている部位、頭の中のどこかに、
必要な周波数が届かないような感覚です。

声が詰まる感覚で、めちゃくちゃ苦しい。
必死に歌うほどに音があたらない。
あげく、あろうことか声が枯れて行く・・・
結局、歌う時は片耳をはずす、という、
なんだかなーな方式で乗り切りました。

「イアモニが苦手で・・・」
と口々に相談してきたヴォーカリストたちの気持ちが、
痛いほどわかりました。

あれこれ調べていたら、
Loudnessの二井原さんのインタビューをみつけました。

イアモニ導入前、バンドの爆音に苦しんだようすとか、
イアモニは、その調整が実に大変なこととか、
共感することしきりです。

「結局歌以外返さないことにした」というあたりでは、
思わずヒザを打ちました。

もちろんこれは、爆音バンドならでは、
二井原さんのようなスーパーヴォーカリストならではのこと。

そして、そんなヴォーカリストでも、
自分にとって最高の環境をもとめて、
ここまで研究し倒しているのかと、感動すら覚えました。

本来の自分の力が出せない時は、
自分のせいにして落ち込む前に、まず環境を見直す。

環境がよくないなら、どうしたらよくなるか、徹底的に考える。
時には、戦う。

状況が許せば、新しいシステムや機材を試す。

システムも機材も、ただ導入するだけじゃダメで、
研究して、使い倒して、
自分の「最適」を模索する。

こんな努力も、自分の実力の一部になるのです。

「聞こえ方」問題。
ヴォーカリストにとって、一生の課題です。

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