大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

価値は受け手が決める 受け手は送り手が選ぶ

      2015/05/12

他に認めてもらうことで、はじめてその価値が生まれるというものがあります。

誰かのためにつくるもの。
市場に送り出すもの。

どんなにいいものをつくったつもりでも、人に認めてもらえない限り、
それらは「単なる自己満足」となってしまいます。

「わかってないなぁ〜」と、どんなに腐っても、
認められ、選ばれるものを「なんであんなものが?!」と、
どれほど罵倒しても、負け犬の遠吠え。

人はいらないものは買わないし、
望まないものに感謝は感じません。

しかし、本当に自分がベストと思えるものを生み出しているなら、
認められないからといって、受け手に媚びて、手を加えるのも違う。

ああでもない、こうでもないといじくり回して、
肝心のクオリティそのものを低下させてしまったのでは意味がありません。

自分が本当にベストと思えるもの以外は、
他の人の心に届かないというのも、また真実だからです。

では、どうしたらいいか?

自分が、心からベストと信じられるものなのに、
受け手がその価値を認めてくれないのなら、
その、「受け手」を変えればいいのです。

つまり、自分が受け手を選ぶ。
そして、自分が選んだ受け手に届く方法を模索するのです。

もう少しわかりやすく言ってみると、

自分が「この上なく美味しい!最高傑作だ!」と思っている料理なら、
その美味しさがわからないような人に、食べていただかなくて結構。

貧乏舌の相手にあわせて自分の料理のクオリティをどんどん下げる必要は絶対ない。

それよりも、本当に美味しいといってくれる人を探し出し、
その人たちに届ける方法を考えるべき、
ということなのです。

 

自分と同じ感性を持っている人、
この良さを理解できる人、求める人はどんな人で、どこにいるのか?

どんなメッセージを発信して行けば、その人に届くのか?

例えば、某ヘビーロックバンドのギターリスト兼プロデューサー。
自分の生み出す重厚かつ骨太なサウンドは、
日本人にはとうてい理解できないだろう判断し、
その市場をヨーロッパに開拓するために、スポンサー探しに奔走していました。

バイリンガルのボーカリストを選んだり、
日本の着物や歌舞伎をテーマにした衣装をつくらせたり、
ステージにマジックを取り入れたりと、
さまざまな工夫を凝らしたおかげで、
たくさんのスポンサーから支持され、夢を叶えたといいます。

作品の本質を変えずに、受け手を選び、
そこにアプローチする方法を見つけ出した、素晴らしい例です。

心から信じるものなら、わかってくれる人は必ずいます。

あきらめないこと。
こもらないこと。
頭をつかうこと。
行動すること。
工夫すること。

まだまだ、やれることは無限にあります。

28349980_s

 

 - The プロフェッショナル, プロへの突破口

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

  関連記事

「できない気がしない」自分を信じる。

「できない」「無理だ」と思えたら、人生はどんなに楽だろう。 高校時代から、現在に …

「もっと心をこめて歌ってよ」!?

「歌は心」的な話は苦手です。 心をこめて歌おう、 情感たっぷりに歌おうとがんばる …

ギターの6弦のチューニングは”E”と決まってる?

ギターの弦チューニングは6弦から、EADGBEと、決まってます。 ・・・ん? 決 …

「プロになりたい」

あれは大学卒業を間近にひかえた頃だったか。 プロということばに、もう、とにかく憧 …

「いつものあれ」でお願いしますっ!

ずいぶん前のこと。 たまたまつけたテレビに、 ホイットニー・ヒューストンが出てい …

「あの〜、お仕事あったら、よろしくお願いします。」

「あの〜、なんかお仕事あったら、よろしくお願いします!」   ミュージ …

歌う人は「聞こえ方」が命!

ステージ上で自分の声が聞こえないと悩んでいる人は、 ほんっとにたくさんいます。 …

「曲が降ってくる時」?

世の中にはたくさんの優れた作品を残しているアーティストがいます。   …

「ダメ出し」こそが、プロの技を試される仕事なのだ

他人にダメ出しをする人には、 自分のためにダメ出しをする人と、 相手のためにダメ …

音楽には、優劣も卑賤も上下も、な〜んにもない!

ものすごく当たり前のことなんだけど、時々、ちゃんと確認しておきたいこと。 &nb …