大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

プロフィールって、どうしてます?

   

先日、作家の中谷彰宏さんのプロフィールを見ていたら、
なぜかご著書のことがどこにも書かれていない。
おや、と思って、タブを見ると、
ご著書は、ありすぎてプロフィールに入りきらないからでしょう、
別のコーナーにずら〜っと並んでいました。
最早、ひとりAmazon・・・

こんな風に見やすく自分の経歴や作品をリスト化するというのは、
できそうで、なかなか真似できません。

自分の経歴をたどるのって、まず、ものすごく大変な上に、
なんか、勲章ならべて悦にいっていると思われるんじゃないかと、
心的ブレーキがかかるのも事実。

昭和の叩き上げ系ミュージシャンってのは、
武士は食わねど、みたいなところがありました。

自分で自分のことを売り込むのは「売れてません」って宣伝するようなもんだ、とか、
名刺持つのなんて、いかにも無名でございって証拠みたいなもんでダサい、
あのテレビに出たとか、この有名人と仕事したなんてのは、プロなんだから当たり前。
なんでもかんでも言いたがるのは、たいして仕事してないからでしょ…などなど、
一流の美学かのように囁かれていました。

だからというだけではないでしょうが、
諸先輩ミュージシャンのプロフィールをのぞいて見ると、
びっくりするほどあっさりしたことしか書いてない。
●●バンドでデビュー、
レコーディングに参加したアーティストは・・・って数名。
で、「他」って書いてある。
「他」は、たぶん、100単位なのに、です。

しかし、中堅、若手世代のミュージシャンは実に軽やかです。

今日は●●スタジオでxxさんのレコーディングでした。とか、
△△のツアーで、北海道に来ています。とか、
そんなことをSNSでさらっと発信して、
プロフィールにも細かく仕事歴を書き込んで、
がんがん注目を集めて…、いやー、スマートなんです。

確かに、これだけの情報化社会になると、
仕事をしようと思った相手が、
ネット上になんにも情報がない、出てきてもわずかとなると、
ちょっと不安になってしまうのも事実。
時代が変われば流儀が変わるんですな。

私自身、10年ほど前に著者の講座で、
「参加した作品や関わった仕事をすべてリスト化、
数値化してプロフィールをつくれ」
という指令が来た時は、正直、頭を抱えました。

CDや、過去の手帳、日記、古い請求書なんかをひっくり返して、
たいそうな時間がかかりましたし、
まぁ、嬉しそうに見えるんじゃないかと、勇気もいりました。

しかしね。
並べて見ると、自分の辿ってきた道がくっきり見える。
自分という人間の傾向もわかるし、
いろんな顔が思い出されて、感謝も湧いてくる。

なかなかスマートなリストにはならないし、
全部見る人なんていないだろうけど、
自分史的に振り返るだけでも、非常に意味深い作業になりました。

で、若者たちに言いたい。
後からまとめてやるの、めっちゃ大変だから、
今のうちからマメにリストにしておくんですよ。

諸先輩方には、先輩方の参加作品がリスト化されていたら、
若い世代がその名プレイの軌跡をたどれるに違いなくって、
みなさんの名演、並べて聞きたいって思ってる人はいっぱいいるんですよって、
ちっちゃな声でお願いしたい。

「お前、わかってねぇな」って言われても、
そろそろ怖くないお年頃です。先輩!

■6日間全12ユニットで、 ヴォーカリストに必要な基礎トレーニングをすべて学べるMTLヴォイス&ヴォーカルトレーニング12。3月開講。

 - The プロフェッショナル

  関連記事

ビジョンとチームワークが作品力になる。

お城や寺院、教会などのような歴史的建築物や、 アイディアとエンタテインメントが詰 …

あなたを上達させられるのは、あなただけ。

また新たに、アイドルグループのボイトレを担当することになりました。 年齢も実力も …

ハスキーボイスには2通りある

ハスキーボイスといわれるシンガーは、その発声の特徴によって、 実は2通りに分かれ …

『あなたはどれ?ミュージシャン 4つのタイプ』

長きにわたり、さまざまなミュージシャンと交流する中で、 ミュージシャン、音楽を志 …

「与えるチカラ」と「欲しがるチカラ」のパワーバランス

音楽は人に感動やエネルギーを与えるもの。   音楽家であれば、誰もが多 …

「で?私、何したらいいんですか?」

「初回はカウンセリングをします」と言うと、 いわゆる「体験レッスン」をご希望の方 …

「観客総立ち」を演出するプロの仕掛け

先日、キャロル・キングのケネディー・センター名誉賞をたたえて、 アレサ・フランク …

「もっと心をこめて歌ってよ」!?

「歌は心」的な話は苦手です。 心をこめて歌おう、 情感たっぷりに歌おうとがんばる …

学ぶ姿勢

誰かから何かを学ぶときは、 ひととき自我のスイッチを切り、 その人の言うことを、 …

歌が劇的にうまくなる必勝練習法

昨年から育成に携わっていた新人アーティストたちが、先日レコーディングを終えたと、 …