勘違いか?わかってないのか?はたまた、なめてるのか?
ライブでもレコーディングでも、
いや、リハーサル、または実技の授業などであっても、
その準備の大切さに変わりはありません。
私がさまざまなところで「準備の大切さ」を、
繰り返し、繰り返し、訴えている理由は2つあります。
ひとつは、変態認定されるほど、オタッキーに準備をしてきたことで、
十人並みだった自分が、業界で認めてもらえるようになったから。
そして、もうひとつは、
準備を怠ってしまったことで、
周囲に迷惑をかけたり、叱られたり、
時には、自分の成長の機会や認められるチャンスを逃して、
砂をかむような悔しい思いを、何度もしてきたからです。
では、きちんとやれもしないのに、
準備を怠ってしまうのは、なぜなのでしょう?
こちらの理由は3つにひとつです。
準備など必要ないくらい、自分は完璧だと「勘違い」しているか。
そもそも、ちゃんと準備するとはどういうことなのか、「わかっていない」か。
はたまた、こんなものだろうと「舐めている」か?
学生時代は、それはもう、来る日も来る日も練習に明け暮れたものです。
文化祭前ともなると、1ヶ月でも2ヶ月でも、
文化祭で演奏する予定の、せいぜい5〜6曲を、
毎日のように集まっては、何度も何度も練習しました。
まだまだ個人練習のレベルが追いついていないせいもありましたが、
そこまで練習してカラダにたたき込まないと、
人前で演奏する準備ができなかったからです。
やがて、少しずつ実力がついてきて、
そこそこの腕のミュージシャンと演奏をするようになると、
リハーサルの現場で、
そうそう何度も同じ曲をやってもらえなくなります。
「練習は家でしてこい」と叱られたこともあります。
さて。
本当に準備が必要になるのは、実は、ここからなのです。
譜面を見たり,音源を聞いたりして、
ぱっと演奏できるようになると、
だんだんと準備に割く時間が減ってきます。
高校生の頃のように、何時間も取り組まなくても、
それなりの演奏ができるようになるので、
「もう準備はOK」とたかをくくってしまうのです。
お仕事などで、
そこそこテクニックが身についていれば、
そこそこの演奏や歌唱ができ、
そこそこの評価をもらえるようになるからか、
「自分はがんばって準備しなくっても大丈夫」という、
おごり、勘違いも出てきます。
準備しないで演奏するのがカッコいいと思っちゃう、
イタいヤツさえ登場します。
しかし、です。
スゴイ人は、いや、本当にスゴくなる人は、
それでも、なんでも、めっちゃ準備しています。
いやいや。練習いっぱいして、弾き倒せとか、
馬鹿テクをみせびらかせ、みたいなことを言っているんではありません。
ピッチ、リズム、暗譜、グルーブなどの最低限の準備は当たり前として、
どんなアプローチで歌うべきか、
自分のよさを、どうしたらちゃんと出せるか、
どんな思いやメッセージを届けようか・・・
本当の名演とはどんなものかを、知れば、
どれだけ準備しても、準備しすぎと言うことはないはずです。
人は油断する動物です。
いつもいつも、完璧に準備をすることなど、できないかもしれません。
だからこそ、今日も自分の胸に手を置いて、じっくり準備に励むのです。
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