大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

勘違いか?わかってないのか?はたまた、なめてるのか?

   

ライブでもレコーディングでも、
いや、リハーサル、または実技の授業などであっても、
その準備の大切さに変わりはありません。
 
私がさまざまなところで「準備の大切さ」を、
繰り返し、繰り返し、訴えている理由は2つあります。
 
ひとつは、変態認定されるほど、オタッキーに準備をしてきたことで、
十人並みだった自分が、業界で認めてもらえるようになったから。
 
そして、もうひとつは、
準備を怠ってしまったことで、
周囲に迷惑をかけたり、叱られたり、
時には、自分の成長の機会や認められるチャンスを逃して、
砂をかむような悔しい思いを、何度もしてきたからです。

 

では、きちんとやれもしないのに、
準備を怠ってしまうのは、なぜなのでしょう?

 

こちらの理由は3つにひとつです。

 

準備など必要ないくらい、自分は完璧だと「勘違い」しているか。

そもそも、ちゃんと準備するとはどういうことなのか、「わかっていない」か。

はたまた、こんなものだろうと「舐めている」か?

 

学生時代は、それはもう、来る日も来る日も練習に明け暮れたものです。

文化祭前ともなると、1ヶ月でも2ヶ月でも、
文化祭で演奏する予定の、せいぜい5〜6曲を、
毎日のように集まっては、何度も何度も練習しました。
 
まだまだ個人練習のレベルが追いついていないせいもありましたが、
そこまで練習してカラダにたたき込まないと、
人前で演奏する準備ができなかったからです。

 

やがて、少しずつ実力がついてきて、
そこそこの腕のミュージシャンと演奏をするようになると、
リハーサルの現場で、
そうそう何度も同じ曲をやってもらえなくなります。

「練習は家でしてこい」と叱られたこともあります。

 

 

さて。

本当に準備が必要になるのは、実は、ここからなのです。
 
譜面を見たり,音源を聞いたりして、
ぱっと演奏できるようになると、
だんだんと準備に割く時間が減ってきます。
 
高校生の頃のように、何時間も取り組まなくても、
それなりの演奏ができるようになるので、
「もう準備はOK」とたかをくくってしまうのです。
 
お仕事などで、
そこそこテクニックが身についていれば、
そこそこの演奏や歌唱ができ、
そこそこの評価をもらえるようになるからか、
 
「自分はがんばって準備しなくっても大丈夫」という、
おごり、勘違いも出てきます。
 
準備しないで演奏するのがカッコいいと思っちゃう、
イタいヤツさえ登場します。

 

しかし、です。
 
スゴイ人は、いや、本当にスゴくなる人は、
それでも、なんでも、めっちゃ準備しています。
 
いやいや。練習いっぱいして、弾き倒せとか、
馬鹿テクをみせびらかせ、みたいなことを言っているんではありません。

 

ピッチ、リズム、暗譜、グルーブなどの最低限の準備は当たり前として、
 
どんなアプローチで歌うべきか、
自分のよさを、どうしたらちゃんと出せるか、
どんな思いやメッセージを届けようか・・・
 
本当の名演とはどんなものかを、知れば、
どれだけ準備しても、準備しすぎと言うことはないはずです。
人は油断する動物です。
 
いつもいつも、完璧に準備をすることなど、できないかもしれません。
 
だからこそ、今日も自分の胸に手を置いて、じっくり準備に励むのです。

18628286 - kid playing guitar at old railroad station

 - The プロフェッショナル, 「イマイチ」脱却!練習法&学習法

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


  関連記事

誰に話しても「ウソぉ〜」と言われるOnline映像制作秘話③

当初、編集は誰かに頼む予定でした。 映像編集なんてやったこともないし、 できる気 …

ギターの6弦のチューニングは”E”と決まってる?

ギターの弦チューニングは6弦から、EADGBEと、決まってます。 ・・・ん? 決 …

歌を学ぶ人の3つのステージ

私は歌を学ぶ人には、 3つのステージがあると考えています。 ひとつめは楽器として …

その時間を「練習」と感じるか、感じないか。問題はそこです。

「毎日、何時間勉強してる?」 「なにやってるの?問題集?」 試験前になると、 成 …

「まったくおなじ音」は2度と出せない?~SInger’s Tips #19~

長年歌をやっていて、 もっとも難しいと感じることにひとつに、 「おなじ音をおなじ …

「違和感」を放置しない。

私たちの脳は毎秒1000万ビット以上の情報を処理できると、 神田昌典さんが書いて …

レコーディングでうまく歌えない原因と対処法。

先日メルマガのお便りフォームに、下記のような質問をいただきました。 (一部プライ …

「なぜだろう?」の先に、進歩がある。

「なぜだろう?」   楽器も歌もパフォーマンスも、いや、おそらく、どん …

ちゃんと「聴く」!

さて、音源を買ったら、次にすることは当然「聴く」。   この「聴く」が …

100万人と繋がる小さな部屋で。

デビュー前からヴォイトレを担当している、 アーティストのライブに行ってきました。 …