大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

その役の人生を生きる〜名歌手は名優である〜

      2017/10/10

父の影響で、こどもの頃から洋画が大好きで、
素晴らしい映画や、役者たちの名演技にたくさん触れてきました。
映画に教わったことはたくさんあります。

また、映画や俳優たちになぞらえて、
歌や音楽をたくさん語ってきました。

「名優は名歌手。名歌手は名優。」
という、イブ・モンタンが語ったという言葉は、
今もお気に入りで、よく引用します。

歌うことと、演じることはとてもよく似ています。

「このシーンで、こんなセリフを言うとしたら、
呼吸と声を荒げて、興奮気味に大ぶりのジェスチャーで・・・」
と、計算高く演じれば、
どんなに優れたテクニックで演じられていたとしても、
「上手な演技」でしかない。
しかし、名優は、「その役の人生を生きる」。

映画になる、ほんの2時間分の台本には、描かれていない、
その役の人生を、生まれた場面から、時には生まれる前の場面から、
徹底的に想像し、構築し、研究して、その役の人生を生きる。

だから、彼らは、「演じている」のではなく、
「反応している」のだとも言います。

音符や歌詞をただなぞるだけの歌は、台本の棒読みのようで退屈だ。

かといって、
大根役者のように、演技オーバーに歌うのはいただけない。
しかし、完璧に、作り込んで、計算高く歌われる歌は、
どこか左脳で聴いてしまう。
その歌を生き、今あたかも自分の中から取り出される感情のように、
歌えたら、アカデミー賞ものの歌に、きっとなる。

そんな歌を歌えたら、いいよね、と。

22132788_s

今日見た映画、『Blue Jasmine(ブルージャスミン)』の
ケイト・ブランシェットがあまりにも素晴らしかったので、
思わず、こんなブログを書いてみました。

生まれ変わったら、映画女優になりたいなぁと、時折思います。
いえいえ、ウーピー・ゴールドバーグとか、
ベット・ミドラーとかじゃなくってね。
(言われる前に言っちゃうけど。)

やっぱり、ケイト・ブランシェットや、ヘレン・ミレンみたいな、
クールでカッコイイ女優になれたらいいだろうなぁ。。。

 - The プロフェッショナル

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


  関連記事

「500円玉大の打点」を求めて、今日も声出していこうっ。

先日、よくご一緒する、某有名ドラマーの楽器の前に座らせてもらう機会がありました。 …

毎日プレイしているだけじゃ「上達」はしない

「人生で一番練習した」と言い切れる時期はありますか? おそらく、ほとんどの人は、 …

作品づくりは美意識のせめぎ合い

優秀なミュージシャンというのは、 自分がたった今プレイしたテイクが、 どんな出来 …

「カッコいいやつ」が「カッコいいやつ」と呼ばれる5つの理由

「なんにもしなくてもカッコいいやつっているんだよ。 こればっかりは、どうしようも …

わかりやすくうまい人 vs. さりげなくうまい人

「歌のうまい人」には2種類います。 ビヨンセやホイットニーやアギレラみたいに、 …

「自分の名前」と、今一度向き合う。

作詞者は曲のタイトルを。 編集者は、本のタイトルを。 起業家は会社名を。 そして …

「音の立ち上がり」を正確にとらえる

歌い出す瞬間の音。 音を移動するとき、音の階段を上った、その瞬間の音。 その瞬間 …

「教える者」であるということ

学生時代。 先生が生徒をジャッジするより、 生徒が先生をジャッジすることの方が圧 …

「この辺でちゃんと仕事に就こうかなと思ってるんですけど・・・」

「MISUMIさん、俺、この辺でちゃんと仕事に就こうかなと思ってるんですけど・・ …

レッスンでは、トレーナーの「アーティスト性」は無用どころか、邪魔なんだ。

レッスンの折には、多かれ少なかれ、 生徒たちに、歌を歌って聞かせるシーンというの …