大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

ギターの6弦のチューニングは”E”と決まってる?

      2017/10/10

ギターの弦チューニングは6弦から、EADGBEと、決まってます。
・・・ん?
決まってますか?

カナダ時代、友人だったThe Tea Partyのギターリスト、ジェフ・マーティンは、
暇さえあれば独自のチューニングを研究していました。

こうチューニングすると弾きやすいとか、弾きにくいとかいうことではなく、
あくまでも、変則にチューニングしたときに得られるサウンドが
心地よいからです。

それらは、多くの場合、なんの規則性もないような、不思議なチューニングで、
彼の弾いた後はギターをノーマル・チューニングに戻すのに一苦労でした。

キース・リチャーズや、ジミー・ペイジが変則チューニングをしているということは、
雑誌などで読んで知ってはいましたが、
実際に、変則チューニングをクリエイトしている人を目の当たりにして、
まだ頭の固かった私は、妙にアドレナリンが出たのを覚えています。

イギリスの伝説的シンガー、ロイ・ハーパーの息子で、
自身もギターリストとして、アーティストとして、人気の高いニック・ハーパーは、
ペグがヘッドの真後ろ飛び出す形でついているギターを使用し、
曲の最中にどんどんチューニングを変えるという、ユニークな奏法で知られています。

彼に、どうしてそんなスタイルになったのかと聞けば、
「ギターの可能性を試してみたかったんだ」。

どちらも、名の知られた天才ギターリストとはいえ、
その柔軟な発想と、チャレンジするエネルギーなしには、
プレイヤーとしての成功はあり得なかったはずです。

ギターのチューニングに限りません。

ドラムのセッティング方法、
歌のビブラートのかけ方、マイクの使い方、
キーボードの音作りなどなど・・・

アナログな範囲だけでも、プレイヤーやシンガーの工夫の余地、可能性は無限大です。

音楽を自由に表現するためには、それなりのセンスも実力も必要ですが、
挑戦に臆病にならず、
工夫に怠惰にならず、
日々、精進していきたいものです。

15630417_s

 - The プロフェッショナル, 音楽

  関連記事

レッスンでは、トレーナーの「アーティスト性」は無用どころか、邪魔なんだ。

レッスンの折には、多かれ少なかれ、 生徒たちに、歌を歌って聞かせるシーンというの …

ホンモノか?ニセモノか?

「あいつはホンモノだよ」 「なんか、あの子、ウソくさいのよね」 一般の人たちがど …

「今日はノドの調子が悪くて・・・」

誰にだってのどの調子の悪いときというのはあります。 どんなに気をつけていても、あ …

ロックはエネルギー!

先日のロック・セミナーで、 「ロックはエネルギーだ」というお話を、 繰り返し、し …

ビジョンとチームワークが作品力になる。

お城や寺院、教会などのような歴史的建築物や、 アイディアとエンタテインメントが詰 …

「才能の超回復」を繰り返して、人は成長するのである。

「超回復」ということばを聞いたことがあるでしょうか? 筋トレで傷ついた筋肉は、 …

現実が自分にフィットしないときに、 なぜ、自分を合わせに行こうとするのか?

生涯を共にできるようなメンバーになかなか巡り会えず、 日々バンドの人間関係に悩ん …

譜面も歌詞カードも、電子化してファイリングが正解!

仕事柄か、習性か、紙の資料がびっくりするほど増殖します。 ライブやレコーディング …

そのパフォーマンスはレコーディングに耐えうるか?

レコーディング・クオリティというと、 通常、録音のクオリティを差すことが多いので …

「音楽はひとりではできない」の本当の意味

サポート・コーラスのお仕事で日本全国をツアーしていた頃。 ツアー先の地方の会館に …