大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「一音」にこだわる

      2024/06/30

「とりあえず、ラララで歌って。」

歌の練習で、一番最初にするのは、
歌詞も曲想も取り払って、「ラララ」で、シンプルにメロディを歌う練習です。

ここで大切なことは、ピアノで音を一音、一音、確認しながら、
ゆっくりのテンポで、ボイトレのように、はっきり、しっかり歌うこと。

この練習をすることで、
「歌えている」と思っていたメロディが、実はうろ覚えだったり、
ピアノに存在しない音だったり(ブルーノートなどのような音ではないのに)
というようなことが、次々、明らかになります。

シンガーソングライターの子たちでも、
ピアノでオリジナル曲のメロディを確認してみたら、
「え?そこ、同じ音なんですか!?」とビックリしたり、
「MISUMIさん、私、そこ、どっちの音歌ってますか?」などと逆に聞いてきたり、
ということもめずらしくありません。

こうした確認なしに、歌っている(つもりになっている)ということは、
ひらがなもちゃんと書けないのに、
名文を書けた気になって悦に入っているようなものです。

ラララで歌う目的は、音の確認だけではありません。

一音、一音、自分の最もいい声を出せるまで、
声をキープして、鳴らす練習をします。

次に、メロディの階段を行き来して、
音の高さによって、音色が変わったりしないように、
時には止まりそうなくらいゆっくり、
また、何度も繰り返し、均等に滑らかにつなげるようになるまで練習します。

一定の音色、音量で、最初から最後まで歌うことは、実に難しいのですが、
同時に非常に大切な練習でもあります。

音の高さに左右されて、音量が出たり引っ込んだり、
ドの音はオルガン、レの音はエレキギター、ミの音はサックスの音色
というような、コントロール不能な楽器だったり、では困るわけです。

同じ音色、音量で1コーラスを均等に歌えて、
はじめて、自分という楽器本来の響きを確認することができるのです。

練習をはじめたばかりの人は、
「なんて気の遠くなるようなマニアックな練習?」と思うでしょう。
しかし、残念ながら、王道に近道はありません。

たった一音、いい音が出せないのに、いい声で1曲歌えるわけがないのです。

このマニアックな1音入魂練習。
1曲完璧にやれば、信じられないくらい上達します。
そして、次の曲、その次の曲と、マスターするスピードがどんどん早くなります。

今日は、「ラララ」によるトレーニングの概要をざっくり、
駆け足に紹介しちゃったので、
いずれまた、ひとつずつ、ゆっくり解説したいと思います。

19225072_s

 - 「イマイチ」脱却!練習法&学習法

  関連記事

プロフェッショナルの歌は、「リズム」が違う!

プロフェッショナルと、一般の人の歌の、何が違うと言われたら、筆頭にあげるのは、間 …

「初めて」が「自分の基準」になる!

オーディションなどの審査をするとき、 最初に出てきたパフォーマーが、まずは採点の …

国語力、お願いします!

歌を教える仕事をしていて、 最もフラストレーションを感じるのは、 生徒がなかなか …

「自分らしさ」、一回置いておきません?

どんなヴォーカルスタイルが「自分らしい」んだろう? 「自分らしい声」って、どんな …

「出せない音」「イマイチ鳴らない音」を克服する方法

何度練習しても高いところが歌えない、 全体に低くて気持ちよく鳴らせない・・・ そ …

歌い手の声の印象はこれで決まる!

プロアマ問わず、 さまざまなシンガーの歌にアドバイスをしていて、 もっとも気にな …

「できないことをできるように」から「できることをもっと素晴らしく」

先日、ディスカヴァーさんが、メルマガで拙著の紹介をしてくれていました。 「自分も …

人は、エネルギーに魅了されるのだ!

「音楽はエネルギー」     そんな風に考えています。 &n …

「同じに出す」が一番難しい。

同じ音を連続して弾くとき、 ピアノという楽器の完成度の高さを、 しみじみと感じて …

ルーティンワークで「微差」をつかまえる。

鰻屋を営んでいた母方の祖父は、 生前、お昼ごはんに、 毎日お店の鰻重を食べていた …