大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

オリジナリティは模倣から生まれる

      2015/12/20

オリジナリティって、どんなことをいうのだろう・・・?

そんなことを考えています。

かつて手塚治虫は、仲間たちに
「模倣なんかするな。オリジナルを生み出せ」と言っていたそうです。
しかし、手塚治虫自身は生まれた時から実家にお父さん所蔵の漫画本が山積み、
しかもチャップリンやディズニーの映画をいつでも見られるという、
環境にあったそうです。

エルヴィス・プレスリーは黒人音楽が溢れる環境で育ち、
黒人の歌を歌える白人歌手として、有名になりました。

ジャズの巨匠、デイブ・ブルーベックはクラシックピアノの影響を
色濃く受けていますし、

ピカソがベラスケスや浮世絵などの模写を、
マチスがゴッホやゴーギャンなどの模写をしたというのも有名な話です。

ことばなどは、模倣や盗用の蓄積から生まれる表現の最たるもの。

会話や読書、学習、テレビや音楽などの視聴・・・
さまざまなシーンで、自分の中にことばを貯金していくことで、
はじめて、自分のことばが生まれてくるわけです。

「オリジナリティがあること」、すなわち「独創的であること」は、
どんなクリエイターも、一度は目差すところ。

しかし、自分の中から生まれてくる表現で、
いまだかつて誰も使ったことのないものが、はたしてどれだけあるでしょうか?

誰にも、一度も使われたことのない斬新なコード進行や、
メロディ進行などと言うものは、おそらくもう、存在しないに等しい。

それでも、オリジナリティを感じさせるクリエイターは、
さまざまなジャンルにまたがる組み合わせを考え出したり、
既存のものに新しい視点を持ち込んだり・・・

そんな風に自分の道を開拓していく。

「オリジナリティがなくなるから、人のマネはしない」なんて、
平和な時代は、とっくに過ぎちゃってるんですね。

徹底的に研究する。追求する。試す。
何事も、結局、そこからしか生まれないということなのでしょう。
25001839_s

 

 

 

 - The プロフェッショナル, 「イマイチ」脱却!練習法&学習法

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


  関連記事

本当に大切なことは現場が教えてくれるんだ。

某映画のバンド演奏のシーンの撮影に立ち合ったことがあります。 役回りは、出演者の …

「歌の練習、どこでしているの?」

昨日のこと、 レッスン中にいきなり「ドドドドドドッ!」という大きな音がしだして、 …

「次、完璧に決めるんで」

レコーディングの現場などで、 自分の歌のプレイバックを聞いて、 「お。惜しいな」 …

「歌うことをはじめる」はじめの一歩をどう踏み出すか。

「ずっと歌をやりたかった。」 そんな風に思っている人は、数え切れないほどいるよう …

条件が不利な人ほど、熱意がある

優秀なボイストレーナーのレッスンに通い、 思う存分自主練習を積み、めきめき上達す …

カラダを楽器に「最適化」する。

「タマゴが手の中にあるように、 そーっと鍵盤の上に指を乗せるのよ。」 中学になっ …

歌の上達に大切な3つの力

大好きな曲と出会う。 歌ってみたくて仕方がなくなる。 毎日聴く。何度も聴く。 そ …

情報の価値を最大化するための5つのヒント

おなじ曲を聴いているはずなのに、 聞き手によって、耳に入ってくる情報はまるで違い …

プライベートか?グループレッスンか?

「歌はプライベートレッスンでなければ上達しない。」 長年、そう言われています。 …

「ハモらない」時の覚え書き

人とコーラスをやっていると、 「あ、気持ちいい!」と思えるときと、 「う〜〜、ハ …