「そこにお金を惜しむな!」
2015/12/20
「そこにお金を惜しむな!」
音楽業界で、ビジネスの世界で、出版業界で、そして、人生で。
先輩たちに教えて貰ったことは数知れませんが、
この「お金を惜しんではいけないポイント」という教えは、
日々、蘇り、私を導いてくれる大切なことばかりです。
今日は、その中でも、ベスト3ともいえる、3つを紹介したいと思います。
1. 「音楽家のくせに、録音機材にお金を惜しむな!」
まだカセットデッキしか持っていなかった、アマチュア時代。
カセットデッキで一発録りした自分のデモを、
当時活躍していたミュージシャンの方に聴いてもらったことがあります。
「これ、どうやって録ってるの?」
と聞かれて、ごく当たり前のように、「あ、ラジカセで」と言ったら、
信じられないという顔で、叱られました。
「せっかく作った曲、なんで、そんなもので録音してるの?
君の場合、まずは 『声』を聴いてもらわなくっちゃ、話にならないんだから。
一番お金かけなくちゃいけないところに、なんでちゃんとお金かけないの?」
まだ、フリーターで、お金がなかった頃の話です。
ないお金は、かけられない。
かけないのが当然と思っていました。
しかし、この時の彼のことばこそが、
「投資マインド」という考え方を私に教えてくれました。
一念発起して、ローンを組んで機材を購入したおかげで、
いい声で、心ゆくまで徹底的にこだわって録音できるようになりました。
おかげで、歌が劇的に上達しました。
同じ機材を持つ、先輩ミュージシャンたちとコラボレーションで
作品を作れるようになりました。
そうして作ったデモが、次々と業界の人たちの耳にとまり、
さまざまなお仕事を私にもたらしてくれることになったのです。
まさに、「投資」となったわけです。
2.「情報にお金を惜しむな!」
インターネットを開けば、知りたいことはなんでもわかる。
そんな時代に、「情報にお金を払う」というのは、
単に無駄遣いと感じるでしょうか。
しかし、そもそも、無料の情報は、信ぴょう性に問題のあることが多い。
インターネットで拾える、山のようなゴミ情報の中から、
ソースのはっきりした、使える情報を見つけ出すのは忍耐のいる、大変な作業です。
機材のことでも、テクニックのことでも、
多少のお金で、キチンとした情報を持っている人の話を聞けたり、
確実な情報が記された教材などが手に入れられたりするのなら、
時間や労力の大幅な節約になります。
また、聞きたい曲などの資料を、
youtubeなどで手軽に手を入れて済ませようとするのも考えものです。
まず、音質が悪い。
当然ですが、音質のいいものを聞かないと、
音質のよさは絶対にわかるようになりません。
さらに、自分の手元に残らないから、曲本来の価値を引き出せない。
一過性の「情報」としてだけの価値しか感じられないのです。
お金を払うということは、コミットメントでもあります。
お金を払うからこそ、元を取ろうという意識が働き、
同じものからでも、より多くの価値を引き出せるようになるのです。
さらに言えば、情報にお金を払うのは、情報の提供者へ敬意を払うことでもあります。
自分が生み出したものを、誰かが無断で、無料で使っていたら、
どんな気持ちがするか。
音楽や文章などの情報がすべてタダになったら、
作家や音楽家はどうやって食べていくのか?
それらにお金を払う人がいなくなったら、制作費はどこから出るのか?
音楽でお金を得て、プロフェッショナルになりたいなら、
自分が生み出す物を扱ってほしいように、
人が生み出した物を扱うことが大事なのです。
3. 「人間関係にお金を惜しむな!」
誤解のないように、先に言っておくと、
これは、「毎日友達と飲みにいけ」などという意味ではありません。
インターネットの世界だけでは、本物の人間関係は絶対に構築できません。
何でもかんでもお手軽に手に入る時代だからか、
SNSで会話しているだけで、その人をわかったような気になる。
その人と交際しているような気になって、平気で情報を引き出したりしようとする。
誰かに認知されたいなら、カラダとお金をつかって、
その人に会いに行くべきなのです。
地方に住んでいるからとか、なかなか会ってくれない人だとか、
すべて言い訳に過ぎません。
プロになりたい、プロと知り合いになりたい・・・
ぼやく子に限って、本物のプロの出入りするようなライブシーンに、
お金を払って出かけることさえしていません。
「高いから」「お金がないから」
そんな言い訳をするくせに、友達と飲みに出かけたり、
アマチュアのお楽しみ会のようなライブには、「つきあいだから」とお金を払う。
これでは、絶対にキャリアアップできないんです。
もちろん、人間関係はお金だけで買えるものではありません。
しかし、自分が今、大切にしている人と出会った経緯を振り返れば、
血縁関係や幼馴染というのでない限り、
そこに少なからずのお金が動いていたことに気づくはずです。
仕事を通じて知り合った仲間が生涯の音楽友達になるとき、
その仕事が、相手を選別してくれています。
お金が動くから、仕事というのです。
学校で知り合った仲間が大切な友というなら、
その学校に入った経緯を考えてみましょう。
「学校」という環境が人間関係を提供してくれています。
その学校に入るために、誰かがお金を払ってくれませんでしたか?
いかがでしたか?
「お金がなくちゃ、何もできない!」という話ではありません。
投資マインドを持つ。
優先順位を考える。
その2つが重要ということです。
先輩たちが教えてくれたことをありがたく振り返っていたら、
すご〜く長文になってしまいました。
まだまだ「お金を惜しむな!」のお話はたくさんあります。
また続きを書きますね。
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