大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「で?いくら稼ぎたいの?」

   

「で?MISUMIさんは、いくら稼ぎたいの?」

不躾に、こんな質問をされたことがあります。

そう聞いてきたのはビジネスの世界で、ひとしきり成功された方。

その見下した態度と物言いに、少々面くらいながらも、
そう言われてみれば、
そんな観点で物事を考えたこと、なかったなぁと、
漠然と考えていました。

「”ビジネス”というのはお金を生むためにするもの。」

生まれて初めて足を踏み入れた起業セミナーで、
真っ先に教わったことでした。

講師の先生が、
「まずはビジネスモデルをつくって、数字を見据えながら、
きちんと利益の上げるには、どんな商品を扱うべきかを考えてください。」
というようなことを言っていて、

へーーー。世の中には、
「お金をいくらいくら稼ぎたい」が最初にあって、
そこから、
「何をつくろう、何を売ろう」と考えられる人がいるのだなぁと、
キツネにつままれたような気分になったのを思い出しました。

 

「自分のつくりたいものをつくって、売れると思ったら大間違い」

そういえば、
世のプロデューサーさん、ディレクターさんたちも、
同じようなことを言っていたっけ。

「だから、人が求めているものは何かを調査して、
何をつくるかを決めるんです。」

 

・・・ほんとに、そうかなぁ・・・。

 

そうやって市場調査しまくって、
そろばんはじいて、作り上げたアーティストで、
大売れに売れたなんて話は、
まぁ、めったに聞いたことがありません。

 

「だからお前は甘いんだ」と鼻で笑われそうですが、

それでも、私は、

自分がドキドキするもの、
心からつくりたいもの、
ホントにホントにみんなに届けたいもの、

そんなものにしか興味がわかないし、
興味が沸かないことで成功するとは思えないし、

成功したとしても、それがなんだっていうのだろうと、
思ってしまう・・・。

 

著者の会の先生はこうおっしゃいました。

「自分が得意で、大好きで、
頼まれなくても何時間でもやり続けられることで、
他の人ができなくて、
世の中の人が求めているものを探しなさい。」

この方が性に合います。

 

先日も、とあるビジネスマンとお話をしていて、

「ゆくゆくは不労所得で食べて行かれるのが夢ですよね。」

とおっしゃるので、

「わかります!私も本書いて、曲つくって、みたいに暮らしたいです!」

と言ったら、

「MISUMIさん、根っからのクリエイターなんですね〜。
“不労所得”と聞いて、ものをつくるのが真っ先に思い浮かぶなんて・・。
普通は株とか、不動産とか言うんですよ。」

と言われ、

またしても価値観の違いを感じたのでした。

私にはクリエイトしない生活は考えられません。

そして、自分が作り上げ、世の中に送り出したものが、
お金を連れてきてくれる、というのが、やっぱり理想です。
それが、幸せです。

 

ミュージシャンの大先輩は、こんなことを言っていました。

「生活に困らない金があったら、まぁ、”お仕事”はやめるね。
でも、”音楽”はやめないな。」

 

人の価値観はそれぞれ。

 

それでいいのだ。

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