「好きなことを仕事にする」
起業を志して一念発起、
いわゆる起業セミナーというところに通い始めて、
最も衝撃だったのは、
世の中には、
いくらいくらを稼ぐためには、何をしたらいいか。
何を売ったらいいか。
という順番でものを考える人がいるのだ。
という、
今思えば、当たり前の事実でした。
ビジネスというのは数字を上げることが大前提。
儲からないことはやっても意味がない。
儲けたい、稼ぎたいから仕事をするのだ。。。
起業というのは、
これを世の中に広めたい、
こんな商売をはじめたい、
という人がするものだと思いこんでいた私は、
その考え方に、
強烈なカルチャーショックを受けたものです。
昨夜、音楽業界のトップを走る、
レコード会社のディレクターと話していて、
音楽業界というものの特殊性を再確認しました。
音楽業界には、音楽が好きな人間しかいません。
どうやったら自分の音楽をもっとたくさんの人に聴いてもらえるか。
どうやったら、自分が惚れ込んだ歌手やバンドを、
世の中に広められるか。
どう仕掛けたら、次世代を、
自分が夢中になったアーティストたちのような位置に、
連れて行かれるのか。
どうやったら、彼らを武道館やアリーナのステージに立たせられるか。
そのための方法論を模索する。
そのための音楽を追究する・・・
それで稼げたらラッキー、
大金持ちになれたら超ラッキー、です。
ビジネス寄りの考え方をする人も、
芸能界的な数字メインの考え方をする人も、
もちろんいます。
でも、根底に流れているのは、音楽が好き。
音楽で仕事をしたい。
そんな発想です。
そこまで好きと思えるものに出会えることは、
おそらくとても幸運なことでしょう。
そして、そんなに好きでたまらないものを、
生涯の仕事にできることは、
もっともっと幸運で、特別なことなのでしょう。
だからこそ、
好きなことを仕事にできる人間には責任があります。
一日24時間365日、そのことだけを考えて、
仕事もプライベートも境目なく、ただただ邁進する。
そんな覚悟や資質が必要です。
「好きなことを仕事にする」というのは、
簡単なことではありません。
これで食べて行かれるのか、と考えれば、
きっと誰だって怖い。
将来の保証もなければ、
明確な人生設計もできない。
不安は一生ついてまわります。
がんばれば認められるというものではありません。
自分に才能や実力や運があるかどうかは、
やってみないとわかりません。
認められなければ、仕事はなくなります。
一時的にうまくいっても、
いつまで続くかわからない。
戦々恐々としながら、自分自身を磨き続けるしかありません。
失敗すれば、みんなに「ほれ、見たことか」と笑われる。
「好きなことやって、将来どうするのかしらね〜」と陰口を言われる。
今に見てろよと、歯を食いしばって粘れることも資質の一部です。
こんな心理的なハードルを越えたら、
次は物理的なハードルが待ち構えています。
好きなことが思いきりできる自由な環境で、
いきなり稼げる、お給料がもらえるような、
ごく一部の恵まれた人は別ですが、
多くの人が、生活費をどうするか、
という問題に、まず直面します。
「仕事」と割り切って、最低限のお金を稼げる仕事を、
最低限の時間がんばって、
質素に暮らせる人はいいでしょうが、
はじめたバイトに夢中になり、
バイト仲間との飲み会や遊びに夢中になりして、
気づいたら、どんどん時間を浪費していたという人はたくさんいます。
なんとなく、自分のやりたいことに近いとか、
自分のスキルを生かせるとかいう理由で、
バイトや仕事を選ぶ人もいます。
気づけば仕事がハードで、心身を消耗して、
不満ばかりを募らせるうち、年を重ねてしまう人もいます。
どうやったら、
「好き」をお金にできるのかを模索するなら、
正しいコネクションを築いていく努力も不可欠です。
そう言うと、「どうやったらいいんですか?」と、
あっさり聞いてくる人がいますが、
そういうことを考えることも含めて、努力です。
嫌われることやあきれられることを恐れていては、
コネクションはつくれません。
勇気と度胸と人間力が試されます。
カッコいいことだけやって、
うまく行くと思ったら大間違いです。
穴があったら入りたくなるような、
恥ずかしいこともあるでしょう。
そこを乗り越えるのも成功の条件のひとつです。
他の人が何をしているのかを、
しっかり見極めることも大事です。
他の人と、ひと味違うことをアピールするための、
くふうも努力も必要です。
勉強、練習、研究、実験、制作、発信・・・
そんな地味な努力が、
少しずつ自分を変え、
自分の未来を変えて行くのです。
なによりも、いつか必ず夢は叶うと信じる力が試される。
「好きなことを仕事にする」。
どんなに大変でも、苦しくても、情熱があふれて止まらない。
「できる気がする自分」をあきらめさせられない。
そんな人だけが、夢を叶えるのですね。
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