大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「今に見ていろこのヤロー」

   

フリーターで、アマチュアで、
仕事もお金も彼氏もなくて、

地を這うどころか、
地面にめり込むような自己嫌悪と自己評価の低さで、

もう音楽やめてやる。

あー、どうせあたしなんか、ごにょごにょごにょ。。。

と、毎日、下ばかり向いて歩いていた20代はじめの頃。

 

全国ツアーのサポートのお仕事が決まって、
ちょっとだけいい気になって、

旅先で、スタッフさんやファンの方たちにちやほやされて、
また、いい気になって。

これで自己嫌悪の日々とお別れできるのかと、
密かな期待を抱いたのもつかの間。

 

それまで死にものぐるいで追いかけてきた、
音楽とは無縁の「ギョーカイ」で、

あまりの仕事のできなさと、
ギョーカイ慣れしていない垢抜けなさで、
メンバーからのいじめにあい、
ツアーが進行するにしたがって、どんどん心が荒んで、

ちょっとだけ上昇傾向だった自己評価は、
仕事をはじめた頃よりもずっと低くなりました。

 

 

それからも、

別のツアーのお仕事をいただいて、
全国で楽しい思いをしたり、

ちょっと有名な方たちと一緒に仕事したり、
ちょこっとテレビに映ったり、

そのたびに、ちょこっといい気になっては、

やがて、仕事がふいっと来なくなって、
またお金がなくなって、
誰からもちやほやされなくなって・・・

あぁ、あれは単なる打ち上げ花火のような幻想だったと、
我に返ることの繰り返し。

 

外部からもたらされるものは、
単なる縁や運やなりゆきであって、
本当の意味での自己評価をあげてくれるものではない。

そんな風に考えるようになりました。

 

本当に自己評価をあげてくれるのは、
自分の力で手に入れたものだけ。

 

どんな些細なこと、くだらないことでも、
勇気を振り絞って前進し、
自分自身で手に入れたものは、
絶対に自分を裏切らない。

 

例えば、ルックスが地味だからと、
いじめられたり、
軽んじられたりしたとして、

どーせあたしなんかと、
落ち込んで、世をすねて、
そんなことを問題にされるような世界に背を向けて、
逃げ出すか。

 

それとも、「今に見ていろこのヤロー」と、

ダイエットをして、
ジムに通って、

足を踏み入れるのも勇気のいるような美容院に飛び込んで、
絶対に似合わないと決めていたような髪型に挑戦して、

気後れするほどお洒落なお店で、
試着するのも照れくさいような派手な服を買って、

失敗して、後悔して、
それでも挑戦して、

そうやって1ミリずつ、
無理して、背伸びして、自分を変えていくか。

 

本を読んで、
英語を勉強して、
歌を1曲1曲練習して、

自己嫌悪と戦いながら、
1コーラス、1フレーズ、
自分の曲を書き続けて、

会える人にはどんどん会って、

会えない人にも、
なんとか会える道をこじ開けて会いに行って、

そうやって、地味に、どろくさく、
てんでかっこ悪く、

砂を噛むような思いで手に入れたものは、
絶対に自分を裏切りません。

 

やがて、自己評価と他人の評価のバランスが、
少しずつ取れるようになって、
はじめて、本物の自信を手に入れることができる。

 

そうして手に入れた自信こそが一生の宝。

誰になんと思われようと、
影でなんと言われようと、
知ったこっちゃありません。

 

 

自分で手に入れた経験と自信は、
誰にも奪うことはできません。

 

時間がかかることを恐れない。
他人の評価に振り回されない。
空っぽのプライドにしがみつかない。
 

たとえ1ミリでも、自分の力で前進できるよう、
今日も心して生きるのです。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆ 9月2日(土)【第5回ダイジェスト版 MTL ヴォイス &ヴォーカル レッスン12】開催決定!
◆ 9月30日(土)【第4期 MTLヴォイス & ヴォーカル レッスン12】開講決定!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
コアでマニアックなネタを中心に不定期にお届けしているヴォイトレ・マガジン『声出していこうっ!me.』購読はこちらから。

 - Life, 夢を叶える

  関連記事

キャリアの節目をポジティブに旅する

「節目」というものをポジティブに捕らえるか、ネガティブに捕らえるかで、 人生のク …

大きな波を引き寄せる

音楽の仕事には、大きな波のようなものがあって、 来るときには、ど〜〜っと来て、 …

『想い』が数字をつくるのだ。

「みなさんはどんな規模のビジネスを立ち上げたいんですか? ビジネスモデルをちゃん …

「これでいいのだ」ってとこまで追い込んだら「それでいいのだ」。

ひとつのことにのめり込んで、 のめり込みすぎて出口が見えなくて、 苦しくて仕方が …

『The ワークショップ Show』という挑戦

ヴォイス&ヴォーカルトレーナーとして、著者としての記事はB面、 ヴォーカリスト、 …

「一緒にバンドやってくれませんか?」

「自分、なんでバンドやらんの? ワシ、自分の歌、ごっつええ、思うで」 人生を変え …

結果が見えなくても、愚直に続ける勇気

たくさんのミュージシャンやアーティストたちを見て来て、いつも思うこと。 結局、近 …

「生みの苦しみ」

作品をつくり出すことは、非常に苦しい作業です。     例え …

自分の「本気」が試されるとき

このブログを通して、ポジティブシンカーで、 挫折知らずのような印象を与えているか …

時間は前にしか進めない。

昨日、ロンドンへ向かうの飛行機の中でのこと。 周囲の人が何度も自撮りをしたり、 …