バンド仲間の悪口は言わない
もう何十年も前のこと。
大好きなメンバーと、かなり楽しくやっていたバンドがありました。
理由は忘れましたが、そのバンドに、
やがて新メンバーとしてもう一人ギターリストが加入。
タイプの違う2人のプレイヤーのおかげで、
演奏の幅がぐっと広がり、
これは面白いことになりそうだとワクワクしていた、ある日。
新メンバー、Fくんと肩を並べて
帰路についたときのことです。
いきなりFくんが、
次々とメンバーの悪口を言い始めたのです。
「MISUMIちゃんは、あいつらすごいって思ってるみたいだけど、
あいつのドラム、全然たいしたことないぜ。」
「あのギターもなぁ。甘いんだよな。」
「ベース、やる気なくすよ。あれじゃあ。」
温厚でフレンドリーな人として通っていたFくん。
いい奴でよかったと、メンバーもみんな大喜びだったのに・・・
そのFくんが、
ぼそぼそと、私の大事なメンバーをこき下ろしている。
彼とすれば、私へ親愛の情を屈折した形で現したのかもしれません。
もしかしたら、私と秘密を共有したかったのかもしれません。
しかし、残念ながら、私には、
他人の悪口に喜びや癒やしを感じるセンスはありません。
キッパリと彼に、こう言っちゃったのです。
「あのさ。Fくん、人の悪口言う前に、
君こそ、まず、自分のプレイでしょ?」
同じ職場(バンド)の人間が無能に見えて仕方がない。
どうも自分の人脈はぱっとしない。
もっと活躍している優秀な人たちがいるのに、
なんでアタシはこんな人たちと関わっているんだろう・・・
そんな風に思えた時、ついつい、
自分の周りの人間を悪く言ったり、
もっと優れた人たちに取り入ろうと、
あれこれ画策したりしてしまうもの。
しかしです。
自分が彼らと同じ社会に属しているのは、
自分の価値やクオリティが彼らと同じだから。
もしくは、他人目に、そうとしか見えないから。
彼らをこき下ろし、その価値を否定することは、
自らをこき下ろし、自らの価値を否定しているのと同じことなのです。
みっともないったらありゃしない。
なのです。
自分の居場所が不満なら、
自分の価値を上げるしかない。
仲間の悪口を言えば自分の価値も下がります。
自分を立派な人間に見せようと見栄を張っても、
騙せるのはわかってない、イケてない人ばかりです。
憧れる人たちに取り入って、
何とか仲間に入ろうとしても、所詮取り巻き。
そんなんじゃ、ステージは上がれません。
自分の立ち位置を変えたかったら、
自分が変わるしかない。
もっともっとと上を目差すなら、
そこに行き着ける道はひとつ。
自分のクオリティを、価値を上げるしかない。
自分自身のクオリティや価値が上がったとき、
驚くほど自然に、自分の立ち位置は変わります。
立ち位置が変われば目線も変わる。
目線の上の人間は、
下の人間の悪口を言わないものなのです。
冒頭のエピソードの後日談。
Fくん、結局、それ以来、私に一言も口をきかなくなりました。
あろうことか、ほどなく、バンドのメンバーの、
私に対する態度が変わりはじめ、
やがて、バンド自体が解散することになりました。
Fくんがあることないことメンバーに触れ回り、
それを真に受けたメンバーが、私に腹を立て・・・
と言うことだったようですが。
後から思えば、あれもひとつのターニングポイント。
バンドがなくなったことが、
私を次のステップへと進ませてくれたのでした。
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Comment
なるほどですね。(=゚ω゚=)
伸ばそうと思って言うのなら分かりますが、まずは自身のことをしっかりしてからですよね。
>久保山繁樹♪(=゚ω゚=)さん
はい。その通りだと思います。
う~ん・・・・・
半分正しくて、半分間違っていると思います。
そういう指摘が間違っているとは限らない。自分達よりレベルが高い人が、何かのはずみで転がり込んでくることなんて、よくある。「類は友を呼ぶ」ばかりじゃない。
「悪口」と捉えるんじゃなくて、それらの発言が、本質的には何を言わんとしているかを取り出して耳を傾けていれば、バンドの成長の材料になっていたかもしれないですね。
もしかしたら、新入りで何かと引け目もあったであろうFくんは、バンドを次のステージに進めるための仲間を作りたかったのかもしれない。
「君、あんなもんでいいの?判断基準甘くない?」 での話と矛盾しているような気がします。
これを「悪口を言われた」と受け止めてたら?
ひたすら「私は他所では褒められてるんだ!」と反論していたら?