ハリネズミのジレンマ〜「安心距離」に過敏にならない〜
そんなつもりじゃないのに・・・なんでわかってくれないんだろう?
一所懸命やっているだけなのに、どうしてそんな風に受け取るんだろう?
ミス・コミュニケーションというのは、意外な時におこります。
たいがいはちょっと油断しているとき。
いい気になっているとき。
心を許しているとき。
一緒にいる時間が長くなれば、相手に対する警戒も減るとともに、
必要以上の気遣いもしなくなるもの。
ある日、突然、冷水を浴びせかけられるように、
誰かの怒りをかったり、嫌われたり、呆れられたりして、
「あ、近づき過ぎちゃったのか。。。」と、
はじめて気づいたりするものです。
私自身、江戸っ子なせいか、
個人的に、気の置けない間柄が好きで、
気に入った相手とは、ぐいぐい距離を詰めたくなる傾向があります。
とはいえ、それも身勝手なもので、
自分的な「安心距離」を常に守って近づいている。
自分の中で、ある距離まで入って来て欲しくない人というのも確実にいて、
反射的に拒絶反応を起こすこともあります。
気をつかわれすぎたり、よそよそしくされると寂しい。
かといって、あんまりなれなれしく、ぐいぐい来られると鬱陶しい。
ハリネズミのジレンマですね。
難しいのは、
安心距離が人それぞれ微妙に違うこと。
そして、誰に対して、その安心距離までのアプローチを許すかというのも、
100% 個人の感性にゆだねられる問題ということです。
長年人間をやってるので、人間関係での失敗や不快な思いは
数限りなくあります。
距離を縮めようとし過ぎたり、
反対に、距離を置きすぎたり、
うっとうしがられたり、怒りを買ったり、
寂しがられたり、冷たいと思われたり・・・etc.etc….
数限りない失敗の果てに、行き着いたのは、やっぱり、
「人間なんだから、しょうがないわよね」
です。
うまく行くときもある。
いかないときもある。
鬱陶しがられないかと臆病になれば、
人と関わるのが怖くなったり、
相手との距離を縮められなくなったり。
それでは人間関係はつくれません。
反対に、冷たいと思われたくないと思うばかりに、
無理して他人との距離を縮めれば、
不必要に傷つけられないとも限りません。
人間は多かれ少なかれ、みんな同じように、他人との距離を測りきれず、
なんだかモジモジ生きている。
豪快そうに、気楽そうに見える人ほど、
実は人一倍気にしいで、
笑えるほど、卑屈な瞬間があったりもする。
この、人間ならではのダイナミクスを粛々と受け入れていかなければ、
前には一歩も進めません。
粛々と、歩むのみです。
関連記事
-
-
「なり方」なんて、きっとない。
「普通の人とおなじことしてたんじゃ、何者にもなれないでしょ」 ボイトレに通って …
-
-
残念な人
ずいぶん前にちょっとだけ一緒にやったことのある、 かなり腕のいいドラマーがいまし …
-
-
「失敗しても、それでいいんだ」
「失敗しても、それでいいんだよ」 ここぞと言うときに、人は、さまざ …
-
-
若さのエネルギーなんて、誰だって持ってるし、誰だって失う。
あれは中学1年の頃。 美術の時間になると、 テストの成績の1位〜3位を、 常に争 …
-
-
ビジョンとチームワークが作品力になる。
お城や寺院、教会などのような歴史的建築物や、 アイディアとエンタテインメントが詰 …
-
-
「できないこと」は「やらないこと」よりも、ずっとずっとマシ
「いつかやりたい」「いつかやろう」と思い続けていること、いくつありますか? &n …
-
-
ギターソロが邪魔くさいぃ〜!?
「最近の子はギターソロになると、曲を飛ばすんですよ」 え?なんですか、それ? と …
-
-
ウソをつくなら、自分を騙せ!
ウソはダメだとわかっているのに、人は時々ウソをつく。 いや、時々じゃなく、意外に …
-
-
スポットライト
大学3年の時、18段変速の自転車を手に入れました。 舗道でも、車道でも、山道でも …
-
-
「お前は一体、どんな行動をして、今の状況を気に入らないと言っているんだ?」
週末なので、インサイドストーリー的お話を。 生まれて初めての音楽の仕事は、音楽学 …
- PREV
- 「明日っからがんばろう」の「明日」は一生来ない。
- NEXT
- ミュージシャンのランク付け

