大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

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やめたい時ほど踏ん張る

   

がんばってることがうまく行かない時、
ついついやりがちなことは、何かを変えようとすること。

仕事がうまくいかなかったら転職する、
成績上がらなきゃ塾を変えるし、
ピアノが上達しなきゃ先生を変える。
人間関係に煮詰まったら居場所を変えて。
英語教材変えたり、髪型変えたり、男を変えたり…

環境や人間関係を変えれば、
自分も変われる。いろんなことがうまくいく。
うまく行かない時って、そんな風に考えがちです。

しかし、そんな時、
ほんっとに変えなきゃいけないのは、環境でも人間関係でもない。
自分自身の物の見方。考え方。そして、行動。

逆に言えば、自分自身の思考の傾向、行動の傾向を変えられなかったら、
何をやっても行き着く先は変わりません。

これは、経験的に学んだことです。

例えば、
「こんな仕事、自分には向いてないし、人間関係も無理だし」と思っていたお仕事がありました。
辛くて、逃げ出したくてたまらないけど、
駆け出しだったし、お仕事があるだけでありがたかったから、
結局毎回現場に向かってしまう。
自己嫌悪の日々でした。

でも、私がその仕事が嫌でたまらなかったのは、
まわりに軽んじられたり、いじめられたりしたから。
実力不足と自信のなさのせいです。
今日もできなかったらどうしようと、オドオドちっちゃくなっているから、
いつまでも仕事の精度が上がりません。
そりゃあ、まわりだって、イライラしようってものです。

逃げ出したって、おんなじだ。
どんな仕事についたって、
拠点をどこに移したって、
ダメな自分を変えられなかったら、なんにも変わらない。

そう腹をくくって、
自分自身と向き合っていくうちに、
少しずつ実力がつきました。
現場での振る舞い方や、仕事のコツも身について、
まわりの態度もだんだんと変わってゆきました。

不思議だったのは、
しばらくして、もうその現場が怖いと思わなくなった頃に、
その仕事との縁が、すーっとなくなったこと。
別の仕事が忙しくなって、
それまで一緒に仕事をしていた仲間たちとの関係もどんどん希薄になりました。

ある種、修行から卒業したような気分でした。

おなじようなことが、幾度となくありました。

嫌だ。やめたい。こんなの無理。
そんなときに、無理矢理やめたり、
人間関係を断ち切ったり、
別のことをはじめて、目先を変えても、
結局、ろくなことはありませんでした。

苦しい時ほど、ぐっと踏みとどまる。よいしょと踏ん張る。
すると、だんだんと、
嫌だとか、やめたいとかいう感情がなくなっていきます。
逃げ出したいという感覚から離れて、
冷静に今自分がいる場所を俯瞰できるようになるんです。

自分に必要なくなると、ホントに自然に、縁の方から切れていきます。

そういうのを、まぁ、きっと、
ステージがあがるとか、
フェーズが変わるとかいうのでしょう。

感情が動くときほど踏ん張り時。

一生修行と言いますが、
試されてると感じるってことは、まだまだ伸びしろあるってことですよね。

ただし、この法則が当てはまるのは、
やりたいことをがんばっているときに限ります。
嫌なことはそもそもやらない。
嫌いな人、嫌いな場所には寄りつかない。
これが基本です。
不必要な無理は禁物ですよ。

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