大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

幸せと。寂しさと。そして嫉妬もちょびっと。

   

自分の仕事の評価を何で計るか?

稼いでいる金額?
メディアで取り上げられた数?
それとも地位や名誉でしょうか?

人にものを教える仕事をしていても同じです。

年商いくらになったとか、
生徒さんが何人になったという、
数字で評価を計る人もいます。

有名人の指導をしたり、
自分自身がメディアで取り上げたりすることで、
評価されていると感じる人もいますし、

生徒たちや、親御さん、スタッフさんなどに、
感謝されたり、尊敬されたりすることで、
自分の仕事の価値を感じられる人もいるでしょう。

いや。
人間ならだれだって、
少なからず、
そうした評価を求めてしまうし、
評価されれば嬉しいものです。

しかし、
自分自身を本当に評価できるのは、
生徒たち、受講生たちが、
教える側の期待を遙かに超えて、
自分たちの力で素晴らしい結果を出してくれたとき。

もう教えることはないと、
寂しさを覚えるくらい、
完全に自らの手を離れたと感じるとき。

昨日は、そんな幸せと寂しさの入り交じった時間を体験しました。

MTLネクストの最終日。

大槻啓之氏(g)、山内薫氏(b)、大久保治信氏(kb)、
そして鎌田清氏という(dr)、
一体どんなオオモノのLiveなんだという、
超贅沢なメンバーにサポートをお願いし、

目黒の東京倶楽部にて、
最終パフォーマンス=発表会をおこないました。

正直、
ここまでもんのすんごい「ライブ」になるなんて、
思っていませんでした。

ネクストのみなさんは、
完全に私の予想を飛び越えて、
本当に素晴らしい「ライブ」をしてくださいました。

コロナに翻弄されたMTLネクスト。

ずっとずっとずっと、
思うようにできない悔しさと、
受講生のみなさんへの申し訳ない思い、
そして、コロナへの恐怖と戦い続けた6日間。

目玉の最終プレゼンテーションも、
最後の最後まで、
やっていいものか、
どのくらいお客さんを入れたらいいものか、
悩みに悩んで決行しました。

例によってお店中の徹底消毒、
検温、コロナ署名、マスク着用、
マイク消毒&カバー。
お客さんも、限定10名程度。

しかし、ライブは、
そんな、数々のフラストレーションを、
解消してあまりある、
本当に本当に素晴らしいものでした。

「発表会」なんかじゃない。
正真正銘の、
びっくりするくらい、素晴らしいライブ。

R&Bあり、バラードあり、J-popあり、ジャズあり、
フォークあり、サンバあり、昭和歌謡あり・・・。

すべてのパフォーマンスが、
みなさんの魂のそこから紡ぎ出された、
正真正銘、ホンモノの歌。

講座を通して、ただただ、みなさんに、
質問を投げ掛け続けてきました。

正解は自分で探す講座です。
なーんにも教えてない。
みんな、自分たちで見つけた答え。
それが、昨日のみなさんの歌でした。

みなさんの歌があまりに素晴らしくて、
そして、メンバーのみなさんの演奏が、
それはそれは素晴らしくて、
涙が止まりませんでした。

時々、本気で、みなさんの歌に嫉妬しました。

もう、みなさんに教えることはないんだなー。
と、寂しく思ったりもしました。

そして、「あぁ、いい講座をやったんだな。」と。

やっとネクストという講座を、
自分自身を評価してあげることができました。

たくさんの自信をいただきました。


素晴らしき受講生のみなさん。
ご来場いただいたみなさん。
珠玉のメンバーのみなさん。
そして、ずっと影になり、日向になり、
サポートしてくれたインストラクターズと研修生のみなさん。

本当にありがとうございました!!!

いやー。幸せ。

(こんな時期なので写真はぼかし気味にて。
もちろん、マスク外したのは、写真撮っている一瞬だけですよ。)

 - B面Blog, Life, Live! Live! Live!, ヴォイストレーナーという仕事

  関連記事

まず、やれ。文句を言うのはそれからだ。

「あの程度のコード進行の曲なら、その気になれば何曲でも書けるぜ。」 「こいつ、こ …

「ストリートミュージシャン」というお仕事

欧米では、 街角や地下鉄の通路などで、 音楽を演奏するミュージシャンに、 しばし …

まず、自分の出音(でおと)をちゃんとせい。

トレーナーズ・メソッド、リズム編のテキスト制作中にて、 古今東西のドラマーの名演 …

『キミは歌わないで口パクしていなさい』

世の中には、人を指導する立場でありながら、 あるまじき事を言ってしまう人というの …

知的に怠惰になった時点でゲームオーバー

PCをつかって仕事をしていると、 日々、知識をアップデートする必要に迫られます。 …

他人の作品を「表現する」ということ。

ケン・ソゴルという名前を聞いて、 「おぉ、懐かしい」と思う人は、 どれくらいいる …

若さのエネルギーなんて、誰だって持ってるし、誰だって失う。

あれは中学1年の頃。 美術の時間になると、 テストの成績の1位〜3位を、 常に争 …

「音楽はひとりではできない」の本当の意味

サポート・コーラスのお仕事で日本全国をツアーしていた頃。 ツアー先の地方の会館に …

前進し続ける人に共通のキーワード

「もう」は「まだ」なり。「まだ」は「もう」なり。 私の文章によく登場するので、最 …

アイディアは、ポンと降ってくるギフト。

クリエイティブなアイディアって、 頭で考えているうちは絶対に出てこないもの。 作 …