大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「できたらいいな」と思うことと「本当に好きなこと」の決定的な違い

   

書くことが好きです。

ほっといても書く。
学生時代など、授業中に全く授業聞かずに、
丸1日ノートを書いてたことなんて、ざらでした。
疲れるほど書く。頭がぱんぱんなほど書く。

これが好きなことっていうもんだよなと、我ながら思います。

「好きなことを仕事にする」ってよく言うけれど、
それって、「こんなこと仕事にできたらいいな」って、
なんとなく思うことを指しているのではないんですよね。

放っておいてもやらずにいられないこと。
やめろって言われてもやっちゃうこと。
苦しくても、辛くても、
やっぱり好きで好きでやめられないこと。

「歌手になりたい」って言う若者に、本当にたくさん会ってきたけど、
ほっといても気が付いたら曲書いてるとか、
言われなくても死ぬほど歌っているとか、
そういう、音楽馬鹿みたいな子は、ほんの一握り。

「うまくなりたい」のは、
まわりに「うまくなれ」って言われるからだし、
「曲がつくりたい」のは、
「アーティストになりたいなら曲ぐらい書けなくちゃ」って思うからだし。
つまり、なんかのためにやらなくちゃって思っている。

それは、「好きなことを仕事にしたい」というのとは違います。

歌手というコンセプトで有名になりたい、目立ちたいっていうのが、
その人のやりたいことで、
クリエイトしたいわけでも、パフォーマンスのクオリティを上げたいわけでもない。

だから、歌ったり、曲をつくったりするプロセスが
そのまんま、「がんばらなくちゃ」という苦痛の対象になるわけです。

「毎日すっごいがんばってる」とつらくなったら、
一度、立ち止まって、
本当にやりたいことは、何なんだろうと考えてみるべきです。

今がんばっていることをばーっと並べて、
それはやらなくてもいいよって誰かに言われたら、
やめるであろうことを排除していく。

逆に、これが自分の人生からなくなることが考えられないってことを見極める。

歌手じゃなくてもいいのかもしれない。
音楽じゃなくてもいいのかもしれない。

本当にやりたいことが「有名になりたい」なら、
曲だって、歌詞だって書かなくたっていいし、
なんならうまく歌えなくても、今の時代、なんとでもなります。

苦痛を感じながら、がんばるより、
本当にやりたいことを実現するための方法を、
いっぱい考えて、どんどん実行に移す方がいい。

苦痛を感じてもがんばるべきなのは、
心の底から実現したいことが思うようにできない、
形にならないときだけ。

毎日すっごい歌っても理想通りの歌にならないとか、
何曲書いても、突き抜けないとか。

「練習しなくちゃ」、じゃないし、
「曲書かなくちゃ」、じゃないんですよね。

あなたが本当に好きなことはなんですか?

●初心者からプロフェッショナルまで、月刊誌のように手軽に楽しく歌がうまくなるサブスク“声出していこうっ!Monthly Video Program”、はじめました!

 - Life, 夢を叶える

  関連記事

残念な人

ずいぶん前にちょっとだけ一緒にやったことのある、 かなり腕のいいドラマーがいまし …

「思いきりOFF」で、効率をあげる。

「休みの日には思いきり休みなさい」と、みんなに言っています。 たまりにたまった雑 …

「マネをする」という選択も、自分のオリジナリティの一部なんだ。

人に習うと、自分のスタイルが確立できないとか、 人のマネをすると、オリジナリティ …

妄想、体験、疑似体験

「芸の肥やし」ということばもありますが、 さまざまな経験を積むほどに、その人の芸 …

「魅せたい自分」を演出する

スポットライトの中の3時間を支えるのは、 何千時間もの、気の遠くなるような、自分 …

「歌うのが嫌い」という人の本当のわけ

「音楽に興味がない」「興味が持てない」という人は、ときどきいますが、 「音楽が嫌 …

年齢の制限なんか、単なる幻だ。

中学のときのこと。 当時、クラスで常に成績の1〜3位の上位を争っていた、仲のよい …

楽器はプレイヤーの「心」なんだっ!

昨今、SNSで楽器が盗難に遭ったというニュースが次々に流れてきます。 昨年末も、 …

自分らしく歌う。 自分であるために歌う。 ありのままの自分で歌う。

「ちゃんと勉強した人が綺麗な声できちんと歌う」っていう、 従来の音楽的価値観をぶ …

行き詰まりを感じたら、まず「行動」。

火曜日からワーケーションで伊豆に来ています。 環境が変わったせいか、 過去を振り …