「音楽やる」ってことと、「音楽を仕事にする」ってことは違うんだ
生まれてはじめて、ライブハウスでライブをやったとき、
自分たちのライブのチケットをお客さんが買ってくれるということが、
それはもう嬉しくて、
なんだかプロになったような気分になったものです。
友達や家族や親せきが、2枚、3枚とチケットを買ってくれて、
会場がいっぱいになって・・・ちょっとした人気者の気分でした。
ところがね、
友達や親せきが来てくれるのは、せいぜい1回か、多くても2回。
基本は、お付き合い来場ですから、
自分で言うのもなんですが、
たいしてうまいわけでもない演奏や歌を、
お金と時間をつかって、何度も聞きに来てくれる奇特な人も
そうそういません。
いくつかのバンドで一緒にライブをやる、
いわゆる「対バン形式」でライブをやれば、
なんとか、格好つくくらいのお客さんは入っているように見えますが、
結局会場の半分近くを出演バンドのメンバーが占めていた、
なんてこともざらにあって、
ライブをやる意味ってなんだろうと、考えこむこともあったり。
なにより、お金が続きません。
ライブハウスによっては最低ノルマみたいなものを課すところもありますから、
リハ代持ち出しの上に、出演料を自分が払うなんて状態になると、
フリーターでがんばるのも限界があります。
なんとか音楽でお金が稼げるようにならないかって、
考えはじめるのって、そんなタイミングです。
運良く音楽業界のお仕事をもらって、
いわゆる「プロミュージシャン」の仲間入りをする人もいれば、
お店やイベント、結婚式などで、
演奏することでお金をもらえるお仕事につく人もいます。
先生になったり、インストラクターになったりと、
教える仕事につく人もいます。
でもさ、それって、
「音楽をやっている」っていうのと、やっぱり違う。
「計算が得意だから経理やる」とか、
「英語ができるから英会話の先生になる」っていうのと同じ。
音楽のスキルでお金をもらうお仕事を得ているだけで。
もちろん、職業音楽家、
いわゆるプロになりたいと目指している人にとっては、
それは特別なことかもしれないけれど、
自分の音楽をつくりたい、
自分自身を音楽を通して表現したい、
っていう思いとは全然違うところにあるんです。
これはもう、ひととおり、
ぜ〜んぶ経験して、
いい気になったり、凹んだりしてきた私だからこそ、
ハッキリきっぱり言えます。
やりたい音楽をやって、
生活が成立してますって言う人や、
ほんの一握りの、
もんのすんごい売れちゃったという人はともかく、です。
もっとお客さん入れるにはどうしたらいいかな。
もっといいCDつくって、いっぱい売りたいな。
一人でも多くの人に届けるにはどうしたらいいのかな・・・。
貧乏だって、バイトしてたって、
サラリーマンになったり、専業主婦だったりしたって、
そんな風に、ひたむきに、
本当に自分のやりたい音楽を追いかけることこそが、
「音楽やってる」ってこと。
そんな人を本当の「音楽家」だと、私は呼びたい。
そんなスピリットを追いかけたい。
ずいぶん遠くまで来たけど、
あたしもやっぱり、音楽家ってものでありたいんだよなと、
思う今日この頃です。
あなたのやりたい音楽は、なんですか?
●初心者からプロフェッショナルまで、月刊誌のように手軽に楽しく歌がうまくなるサブスク“声出していこうっ!Monthly Video Program”、はじめました!
関連記事
-
-
いい歌、うまい歌、好きな歌。
いい歌、うまい歌、好きな歌。 歌にはこの3種類があると、常日頃感じています。 大 …
-
-
「人前で歌うとき」の理想的な状態
人前で歌うとき、パフォーマンスするときに、 重要だと考えていることは3つあります …
-
-
なにをハンディとするか、 なにをチャンスと考えるか。
「やっぱなぁ〜。東北人は、生まれながらにハンデ背負ってんだなぁ〜」 カツゼツとビ …
-
-
「なぜ創るか」、「何を造るか」と同じくらい、「どう魅せるか」にこだわる
名曲といわれる歌は、 それを演じていた歌手たちのイメージやパフォーマンスと共に蘇 …
-
-
「大きい音」を扱うのって、テクニックがいることなんですぞ。
「ラウドな音楽をやっている」と言うと、 デリカシーのない、 雑な演奏をしていると …
-
-
「もっとうまくなってから」と言う『完璧主義のぐず』
バンド、どうして組まないの? 「もうちょっと、うまくなってからメンバー探そうと思 …
-
-
自分自身の心の在処(ありか)を探す
我が家の初代わんこ、デイジーさんの体重はおよそ24キロ。 レトリバーにしては、か …
-
-
セルフ・プロデュース時代を勝ち抜ける
「事務所に入りたい」 「メジャーデビューしたい」 そんな夢を抱いて、オーディショ …
-
-
音楽時間を最大化するためのコツ。
仕事の精度の高い人は、切り替えがうまい。 昨今、私の周辺の「できる人」を見ている …
-
-
プロの世界で活躍できる子たちの5つの違い
学年の終わりが見えてくるこの時期、 口には出さないけれど、みんな、心の中で 将来 …