身にまとう”匂い”はごまかせない
「E先生はセレブだから、
飲み会とか誘っちゃいけない雰囲気あるんですよ。
その点、MISUMIさんは居酒屋でも大丈夫そうだから・・。」
かれこれ10年以上前になるでしょうか。
学生にそう言われたことがあります。
「それってどういう意味よ?」と、
心の中でうっすらカチンと来た私。
当時の私はと言えば、
次から次へとスタジオのお仕事をいただき、
作詞のお仕事もいただき、
業界で、それなりに知られていました。
海外生活も経験して、
ブランド物こそ興味なかったけれど、
そこそこいい物を身につけ、
自分の車も運転し、
自分では、まぁまぁ、イケてる女だと思っていて・・・
それなのに、学生たちの間では、私は居酒屋OKな庶民派。
E先生はちょっと誘いがたい、ハードル高めの女。
確かにE先生は美人で、凛としていて、
私も”おねえさま”と呼んで、憧れを抱いていた存在です。
郊外の裕福なご家庭の一人娘で、
ベンツを華麗に運転するE先生は、
若い頃メジャーアーティストとして活動していたこともあって、
そこにいるだけで華やかな存在感を放っていました。
確かにE先生は素敵。
だけど、そんなに差をつけられるほど、
あたし、庶民的に見えるのかしら・・・。
ある日、E先生に、
「MISUMIベイビー、飲みに行かない?」と誘われ、
喜んでデートの約束をしました。
そもそも、「ベイビー」つけて呼ばれてるだけで、勝負ありなのですが、もちろん、喜んで、お受けしました。
E先生が指定してきたお店はとある銀座のバー。
バーです。
バー。
お洒落して出かけたものの、
どうにもこうにも居心地が悪く、もじもじする私。
E先生よりも先に着いた私に差し出されたメニューには、
ゼロが2つ違う飲み物がぎっちり並んでいます。
なになになになに・・・?
どうしろっていうの・・・?
ほどなく、セレブ・E先生が登場すると、
店の空気が、シャランラ♫と明るくなります。
バーテンダーが引いてくれたイスに、
ふわっと腰を下ろしてE先生は、こともなげに言いました。
「お待たせ、MISUMIベイビー。
ここ、シャンパンが美味しいから、私にメニューまかせてくれる?
すっごいリーズナブルに、いろんなシャンパンの味見ができるのよ。」
ちなみに、お会計時にわかるのですが、
E先生の言う「すっごいリーズナブル」は福沢さんひらりと1枚。
いきなりのインフレです。
そりゃあ、学生たちが「ハードル高い」と言うわけです。
E先生が学生たちに、どんな私生活を送っているか、事細かに話したはずもありません。
しかし、生活は「匂い」。
取り繕っても、カッコつけても、ごまかしても、
その人の発する「匂い」で、
人はその人のグレードを感じ取るものなのです。
そんな”リーズナブルなシャンパン”をくいっくいっと引っかけると、
「行こっか?」と軽やかに外に出たE先生。
銀座の路地裏の小さなバーに立ち寄り、
「銀座はやっぱりつまんないわね。」
とタクシーに乗り込み六本木に移動し、
「行きつけ」という洒落たお店に立ち寄ると、
外人ばかりが集まるクラブに踊りに出かけ・・・。
これぞ、華麗な遊び方、
というのをふんだんに体験させていただきました。
ちょっとお洒落なレストランに出入りするくらいで、
めかし込んだり、ドキドキしたりしていた当時の私には、
絶対に醸し出せない「匂い」を
E先生は身にまとっていたのです。
あれから10数年。
音楽業界を飛び出して、
さまざまな社会でさまざまな仕事をするエリートたちと、
おつきあいさせていただくようになり、
つくづく、あの頃の自分がイケてなかったことに気づきました。
シャンパンの匂いのE先生と、
生ビールと枝豆の匂いの私。。。
自分が身にまとっている匂いは、
けして自分では気づかない。
そして、どんなに表面を取り繕っても、
自分の匂いはけしてごまかせない。
だからこそ、
ありたい自分になるためには、
自分の生き方を変える必要があるんですね。
今の私はどんな匂いをまとっているのか。
まぁ、少なくとも、シャンパンの匂いはしない自信があります(^^)
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