ウソをつくなら、自分を騙せ!
ウソはダメだとわかっているのに、人は時々ウソをつく。
いや、時々じゃなく、意外にしょっちゅうウソをつく。
人を欺いたり、陥れたりするウソは、本人もたいがい自覚があるものだけど、
気づけないのが、自分を欺くウソ。
気づいていても、ま、いいかと、やっぱりつくのが、
相手のために、よかれと思ってつくウソ。
嫌われたくなくて、思わずつくウソ。
傷つけないように、優しくつくウソ。
こどもの頃は、正直なことは美徳と教えられたのに、
おとなになってからは、小さなウソのひとつもつけないと、
融通が利かない、空気が読めない、自己主張が激しい・・・
などとレッテルを貼られる。
確かに、「あたしって、正直だからさぁ、ごめんね。」
と言い訳しながら、人の欠点や弱みをあげつらうような人は、
単なる自己中で、無神経だと嫌われる。
ウソをつくのは嫌だし、嫌われるのはもっと嫌だとばかり、
本音を隠して、口をつぐんでいる人は、ネクラだよねと噂される。
悪意のないウソは、人間関係を円滑にするために、必要なものなのでしょう。
「ウソをつくなら、自分を騙すこと」が、最も効果的で手っ取り早い方法。
つまり、自分を完璧に騙せたら、
その自分の口から出てくることばは、最早ウソではないわけです。
よそのこどもを、「あらぁ、可愛い赤ちゃん!」などと誉めるときも、
心のどこかで「微妙なルックスだなぁ」などとディスっていれば、
必ず、態度や表情のどこかに現れてしまう。
瞬間的に、完璧に、自分自身を騙す。
「うわっ可愛いっ!」と心から思える精神状態を作り出す。
名女優、名俳優は、そんな風に、完璧に自分を騙せる人であることは、
疑う余地がありません。
全くその気にならない人と、激しいラブシーンを展開する、
数回しか会ったことのない人を自分の親として、その(かりそめの)死を嘆く、
虫も殺せない性格のくせに、殺人鬼として目の前の人たちを惨殺する・・・
自分自身を騙せなかったら、
スクリーンに映るその姿で見る人々の心を動かすことは不可能です。
どんなパフォーマンスも、ある種、完璧に自分自身を騙せるかどうかが勝負です。
歌手しかり。俳優しかり。サギ師しかり。
おそらく多くの政治家、しかり。
どうせ騙すなら、完璧に徹底的に。
しかし、多くの人が、自分自身や相手を騙し続けることに失敗して、
しっぽを出します。
ある日突然、自分のウソに気づいてしまう。
シラフの時は、完璧に自分を騙せているのに、酩酊すると本音が出てしまう。
なにか、心の深いところで、しっくりこない感覚がある。。。など。
「自分を騙す」にも限界がありそうです。
突き通せないウソなら、最初からつかない。
ウソを突き通さなくてはならないような状況になるべく自分をおかない。
そして、最も大切なことは、ウソがばれたとき、
それをごまかすためにウソの上塗りをしないこと。
素直に認めること。
どちらにしても、ウソはやっぱりばれるのです。
関連記事
-
-
「育てる」んじゃない。「育つ」んだ。
「あいつは俺の弟子だったから。あいつを育てたのは俺だよ。」 有名人や、一流の人た …
-
-
ことばに体温を宿す
「じゃ、とりあえずバランスチェック兼ねて、一度つるっととお願いします。 単独は1 …
-
-
「人生のピーク」なんて、死ぬまでわからない
世界的に活躍し、海外の大きなホールでコンサートなども行ったことのある、 ミュージ …
-
-
だから、嫌いなものは嫌い!
人の価値観はそれぞれです。 高くても、無理しても、 お気に入りのバッグを買いたい …
-
-
「10代の魔法」を謳歌するのだ
いやぁ、スィートSeventeenとはよく言ったものですが、 ティーンエイジャー …
-
-
小さな選択の連続がやがて大きく流れを変える。
人生にはいわゆるターニングポイントというのがあります。 それがいつ訪れるのかはわ …
-
-
「あれが人生のピークだったって思いたくないんだ」
とある著名なヴォーカリストと共演させてもらった時のこと。 圧巻のパフォーマンスと …
-
-
音楽環境が人をつくるのか。 人が音楽環境を選ぶのか。
今はもうすっかりおとなの甥っ子が、幼稚園生だった頃の話です。 アニメ関係の仕事を …
-
-
「お前は一体、どんな行動をして、今の状況を気に入らないと言っているんだ?」
週末なので、インサイドストーリー的お話を。 生まれて初めての音楽の仕事は、音楽学 …
-
-
「火事場の馬鹿力」を操る!?
切羽詰まったとき、 追い込まれたとき、 人は、思いもよらなかった力を発揮し、 周 …
- PREV
- 「また、やっちゃった」と落ち込まないためには?
- NEXT
- こんな人は、ボーカリストに向いている!?