何を切り取るか。どう切り取るか。
家族や友人たちと、昔の思い出話をしていると、
記憶に蘇ることや、「こんなことがあった」と認識していることが、
まったく違って、驚くことが多々あります。
同じ旅行の話をしているはずなのに、
登場人物やエピソード、場所までもが、微妙に、
あるいはまったく違ったり。
同じ想い出を辿っているのに、
物事が起きたと認識している順番が違ったり。
こちらが起きたはずないと認識していることを、
明確に起きたと主張されたり。。。
黒澤明監督の映画『羅生門』さながら、
人の記憶や認識は、実に曖昧で個性的です。
逆に言えば、そうした記憶と認識の積み重ねが、
その人の味になっていくとも言えます。
同じ光景から、何を切り取るか。
どう切り取るか。
例えば、同じ富士山の絵を描くのでも、
荒波の向こうに小さく描くのか、
真っ赤に描くのか、
桜の木と共に描くのか、
はたまた機上から見下ろした絵を描くのか。
そこに、それぞれの、その時間の、
視点があり、興味があり、想いがあります。
この、自分の視点や興味、想いを、
鮮明に切り取り、表現することこそが、
クリエイトするということ。
クリエイター、アーティストたちの、
創作の「核」とも言えるものです。
なんとなく創る。
人に言われたままに創る。
誰かを適当に真似して創る。。。
「核」の感じられない作品に、
受け手は心を打たれるでしょうか?
音楽であれ、芸術であれ、文学であれ、
いやおそらく商品と呼ばれるものであれ、
何かを生み出し、世の中に送り出したいと願うなら、
造形テクニックや、宣伝ばかりを学んでも意味はありません。
心を動かされる作品と、じっくり向き合って、
アーティストたちが何を、どんな想いで切り取ったのか、
それらはどんな手法で表現されているのか、徹底的に感じ取ること。
日常的に、自分が切り取っている光景やできごとに意識を向けること。
他の人と比べ、自分の視点は何がどう違うのか。
なぜ違うのかを掘り下げてみること。
そんなことを積み重ねていくうちに、
次第に、自分の「核」が見えてくる。
本当のクリエイトはそこからはじまるのですね。
関連記事
-
-
「できない」と言える「自信」を育てる。
レコーディングのお仕事に 呼んでもらうようになったばかりの駆け出しの頃。 スタジ …
-
-
60デシベルの勇気
先日、読んでいた本で、 「どんな物質も、意識のないところには存在しない。」 とい …
-
-
人生の値段、おいくらですか?
おとなになってから、自己投資をいくらしたかが、その人の価値を決める。 そんなこと …
-
-
自分の名前をGoogleで検索する?
今日は著者なかま&朋友、デザイナーのウジトモコさんの新刊『SNS xDESIGN …
-
-
「変わってる」って、なんだよ?
自分は何に、どんなことに、反応する体質なのか。 自分のアンテナは何に反応し、どん …
-
-
雑草には雑草の生き方があるんでござんす。
芸歴30周年、40周年なんてお祝いをしている人たちが周囲に増えてきて、 ふと自分 …
-
-
人は、エネルギーに魅了されるのだ!
「音楽はエネルギー」 そんな風に考えています。 &n …
-
-
不満から目をそらさない。 絶対、そらさない。
大学を卒業して、今で言うフリーターをしながら、 音楽学校に通ったり、 ダンスレッ …
-
-
音楽を「職業」にしないという選択
若い頃から音楽を志して、寝る間も惜しんで練習や創作、 ライブ活動に打ち込んで来た …
-
-
どうせ見えない未来なら、明るい側面だけを期待して生きる。
「MISUMI、そんなことしてて、将来どうするつもりなの?」 思春期の頃から、ア …
- PREV
- 時間は前にしか進めない。
- NEXT
- かっこ悪いけど・・・「ギックリ腰」


Comment
核を感じ取る事、心に留めておきます。
ありがとうございます!
>ちーちゃんさん
こちらこそ、ありがとうございます!