大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「なに、夢みたいなこと言ってるの!?」

   

何年か前。
知人の家に幾人かの人と集い、
他愛もない話をしていたときのこと。

誰かが、これからのことをぽつりと話しはじめました。

そこで、私もその時描いていた、
「将来の夢」を熱く語ったのです。

すると、その中のひとりが、
あきれたように言いました。

「なんかさぁ、MISUMIちゃんの話を聞いていると、
17〜18才のティーンエイジャーの話を聞いてるみたいだわ。
なに、夢みたいなこと言ってるの!?」

これには、とてもがっかりしました。

夢を描くのはティーンエイジャーの特権なのか?

ある程度以上年を重ねた人間が夢を語ることは、
馬鹿げたこと、恥ずかしいことなのか?

夢を描けないなら、
一体全体、人はなんのために生きるんだ?

 

当時、まだまだ不安定だった私の想いを、
いきなり踏みつけられたような、
そんな瞬間でした。

 

年齢を重ねれば、いろいろな制約ができます。
家族もいる。親もいる。
仕事もある。
さまざまな責任もある。

残された時間と、
限りある体力、知力、財力を天秤にかけ、
きちんと人生設計をすることが大切だということくらい、
私だってちゃんとわかっています。

 

しかしです。

想い描く理想の未来に、
どんな制約が必要なのでしょう?

夢に向かって邁進しようという情熱に、
なぜ、賞味期限が必要なのでしょう?

おとながそうやって、
人生にリミッターをかけて、
半分諦めながら生きているから、
若者たちは、いつまでもおとなになりたがらないのではないのか?

夢はいつか諦めなくちゃいけないものなのだと、
消去法で将来を決めてしまうのではないのか?

現実とかけ離れた理想を描くから「夢」というのです。

夢と現実のギャップにひるんで、立ち止まれば、
夢はただの夢で終わるでしょう。

一方で、現実に目を背け、
夢ばかり語っていても、ただの夢想で終わってしまいます。

夢を現実に近づけるのではなく、
現実を夢に沿わせて変えていく。

そんな勇気を、努力を積み重ねることこそが、
生きている証と感じる人生もあるのです。

 

あれから何年経ったのか。

現実になった夢もあります。
まだ道半ばの夢もあります。

私は今も、
毎日、夢を描いて、夢を紡いで、生きています。

一生「夢みたいなこと」を言い続けて生きていく予定です。

Keep on dreaming!

◆プロからアマチュアまで声と歌に興味のある方必見のマニアックな情報を365日間毎朝配信中のメルマガ、ご登録はこちらから。
バックナンバーも読めます。

 - Life, 夢を叶える

  関連記事

「魅せたい自分」を演出する

スポットライトの中の3時間を支えるのは、 何千時間もの、気の遠くなるような、自分 …

音楽を仕事にできる人

「音楽なんて仕事にならない」 「音楽で食べていくのなんて無理」 音楽を志し、日夜 …

「夢を叶える日記」の勧め

  日記をつけていますか?   実は私、小学校1年生から日記 …

言わなくていいこと。言うべきこと。

言わなくてもいいことを、 「これはあなたのためだから」と、 上から言う人がいます …

未来の自分を信じる~Singer’s Tips#29~

自分がオーディエンスだったら、 どんなシンガーを見たいか? どんな歌を聴きたいか …

「声」は自分で選ぶ。〜Singer’s Tips #8〜

「●●みたいな音楽やりたいんですけど、声質が向いてなくて」 「△△さんみたいに歌 …

何を切り取るか。どう切り取るか。

家族や友人たちと、昔の思い出話をしていると、 記憶に蘇ることや、「こんなことがあ …

誰もが、自由に歌えるカラダを持っている。

もしも、何も考えず、なんの苦痛もなく、 どんな曲でも、素晴らしい声で自由に歌えた …

「どう記録するか」より、「どう記憶するか」

スマホの時代になって間もなくのこと。 こちらが、それはもう夢中で、 なかなかいい …

「歌うのが嫌い」という人の本当のわけ

「音楽に興味がない」「興味が持てない」という人は、ときどきいますが、 「音楽が嫌 …