「あなたの勲章なんかに他人は興味ないんですよ」
かつて著者の勉強をするために、
『プロフィール講座』というセミナーに通ったことがあります。
自分という人間を300字で表現し、
受け手に興味を持ってもらうプロフィールを制作するという、
簡単そうでありながら、非常に奥の深い講座で、
4ヶ月近くの間、それはもう徹底的にしごかれました。
講座がはじまってほどなく、
「それではみなさん、自分のプロフィールを書いてきてください」
という課題が出ました。
業界で数多くの仕事をこなし、海外経験もある私。
「一般の社会人のみなさんに比べれば、結構有利かも・・・」
そんな風に感じながら、実績をだ〜っと並べて、
300字に削り倒して、プロフィールをつくりました。
同じクラスの友人たちに、口々に、
「さすがだなぁ」
「MISUMIさん、こんな講座必要ないじゃない〜」
などと誉められて、ちょっといい気になっていた矢先、
講師の先生に、こう言われたのです。
「はいはい。素晴らしい経歴ですね。
でもね、あなたの勲章なんかに他人は興味ないんですよ。」
頭から水をかけられた思いでした。
サービスや情報を求めている人が知りたいのは、
それを提供してくれる人の勲章の数じゃない。
その人がなにをしてくれるか。
マイケル・ジャクソンやマドンナでさえ、
20年、30年もの間、どんなにCDを売りまくってきたって、
次の作品が評価されるかどうかは、
オーディエンスがその作品からなにを受け取れるか、
それとも、なにも受け取れないかにかかっている。
勲章は過去。
過去の勲章は、あるに越したことはないけれど、
勲章だけでは、未来は見せられない。
人は、自分の過去を認めたいものです。
こんな記録を収めた。
こんなこどもを育てた。
こんな仕事をしてきた。
過去は自分自身の生きて来た証です。
そして、過去が自信をつくってくれるのですから、
過去を大切に思うのは当然です。
しかし、今を生きる私たちにとって、
過去が意味を持つのは、
それを現在の行動に生かし、
さらには未来を創造するエネルギーとできるときのみ。
どれだけ過去にいい仕事をしてきたからといって、
今、そしてこれから、いい仕事ができなければ、
人は評価してくれません。
むしろ、離れていってしまいます。
過去の経歴がある人ほど、
勲章に甘えて、いい気になります。
油断して、努力を怠りがちになります。
私たちが生きているのは今。
描くのは、未来。
勲章は、大切に、自分の部屋の引き出しにしまって、
靴でも磨いて、出かけましょうか。
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Comment
いい話しでした。
有り難うございました。
>匿名さん
こちらこそ、ありがとうございました。