大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「あなたの勲章なんかに他人は興味ないんですよ」

   

かつて著者の勉強をするために、
『プロフィール講座』というセミナーに通ったことがあります。

自分という人間を300字で表現し、
受け手に興味を持ってもらうプロフィールを制作するという、
簡単そうでありながら、非常に奥の深い講座で、
4ヶ月近くの間、それはもう徹底的にしごかれました。

 

講座がはじまってほどなく、
「それではみなさん、自分のプロフィールを書いてきてください」
という課題が出ました。

業界で数多くの仕事をこなし、海外経験もある私。

「一般の社会人のみなさんに比べれば、結構有利かも・・・」

そんな風に感じながら、実績をだ〜っと並べて、
300字に削り倒して、プロフィールをつくりました。

同じクラスの友人たちに、口々に、
「さすがだなぁ」
「MISUMIさん、こんな講座必要ないじゃない〜」
などと誉められて、ちょっといい気になっていた矢先、

講師の先生に、こう言われたのです。

 

「はいはい。素晴らしい経歴ですね。
でもね、あなたの勲章なんかに他人は興味ないんですよ。」

頭から水をかけられた思いでした。
サービスや情報を求めている人が知りたいのは、
それを提供してくれる人の勲章の数じゃない。
その人がなにをしてくれるか。

マイケル・ジャクソンやマドンナでさえ、
20年、30年もの間、どんなにCDを売りまくってきたって、

次の作品が評価されるかどうかは、
オーディエンスがその作品からなにを受け取れるか、
それとも、なにも受け取れないかにかかっている。
勲章は過去。

過去の勲章は、あるに越したことはないけれど、
勲章だけでは、未来は見せられない。

 

人は、自分の過去を認めたいものです。

こんな記録を収めた。
こんなこどもを育てた。
こんな仕事をしてきた。

過去は自分自身の生きて来た証です。

そして、過去が自信をつくってくれるのですから、
過去を大切に思うのは当然です。

 

しかし、今を生きる私たちにとって、
過去が意味を持つのは、
それを現在の行動に生かし、
さらには未来を創造するエネルギーとできるときのみ。
どれだけ過去にいい仕事をしてきたからといって、
今、そしてこれから、いい仕事ができなければ、
人は評価してくれません。

むしろ、離れていってしまいます。

過去の経歴がある人ほど、
勲章に甘えて、いい気になります。
油断して、努力を怠りがちになります。

 

私たちが生きているのは今。
描くのは、未来。
勲章は、大切に、自分の部屋の引き出しにしまって、
靴でも磨いて、出かけましょうか。

2650372 - child winner kissing sports trophy

 - Life, 夢を叶える

Comment

  1. 匿名 より:

    いい話しでした。
    有り難うございました。

  2. otsukimisumi より:

    >匿名さん
    こちらこそ、ありがとうございました。

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


  関連記事

「情報過多」なのではなく、「思考過多」。

毎日、ものすごい量の情報にさらされています。 朝、PCを立ち上げ、webを開いた …

恋するように、バンドする。

棚卸し週間にて、 これまでにやってきたバンドを ひとつひとつ思い出してみました。 …

「思いきりOFF」で、効率をあげる。

「休みの日には思いきり休みなさい」と、みんなに言っています。 たまりにたまった雑 …

「思い込み」と「勘違い」で、成長を加速せよ!

友だちのお嬢さんの話です。 両親が芸能系のお仕事だったこともあり、こどもの頃から …

お利口さんも、お馬鹿ちゃんも・・・行動!行動!行動!

あるとき、突然、心の中に種が芽生える。 こんなことを変えたい。 こんなことを可能 …

「へたくそな自分」を楽しむ

一昔前までは、 『NHKのど自慢』に登場するような、 歌好きのひとたちって、 も …

群れない

まわりにいる人を見ると、その人のことが分かると言います。 同じような空気感の、 …

「選ばれる基準」

「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」とは、 日本の最高額紙幣に印刷され …

習慣化するための3つのコツとくふう

自主ロックダウンスタート以来、 新しい習慣がいくつかできました。 毎朝のヨガ(3 …

「美しき手順」を持つものに、運命の女神は微笑むのだ。

「はじめて日本に行って、 お店でちょっとしたおみやげを買ったとき、 本当にびっく …