「積ん読」でも「疑似読書」でも、本で世界は広がるのだ。
2022/12/25
少し前に「本を読もう!」というポストをアップしました。
今日も本のお話。
もちろん、本がすべてではありません。
私が「マンガは性に合わないからほとんど読まない」と言ったら、
「漫画は日本の文化だ!何を偏ったことを言ってるんだ!」と怒り出した友人もいました。
「雑誌だって、十分じゃないか!雑誌だって本だ!」と言った人もいます。
でもね、本はやっぱりすごい。
絵がないからこそ、自分の脳の中の無限大のキャンバスに、
自由自在に情景が描ける。
大好きな小説の映画化に、一度でも満足したことがありますか?
「別物だから」と割り切って見れば、素晴らしい映画かもしれません。
でも、どんなに名匠、名優をもってしても、
自分自身の想像の世界ほど表現力豊かに、自分に訴えかけてくれる映画はつくれません。
学生時代、本が大好きで、
神田神保町にある、本の取次店で長期バイトをしていました。
取次店のお客さんは書店さん。
伝票に本のタイトルと値段、掛け率を手書きで書き込んで、
電卓で計算して、お金をやり取りするという、
実に昭和なシステムで働いていました。
本の掛け率が出版社さんによって違うということも、
取次店によって、扱える出版社が違うということも、
このお店で学びました。
電話で注文をするだけで、
売れる本を優先的に送ってもらえるような、大口のお得意様書店さんと違い、
小さな書店さんが売れ筋の本を手に入れるのは、難しかった時代。
行商のように、大きな風呂敷包みを背負って、
どこにも置いていないような人気の本を探して、
一軒一軒取次店を歩いて回っている年配の女性や、
文字通り牛乳瓶の底のようなめがねをかけて、
くしゃくしゃになった注文短冊の束を困ったような顔でめくる、
白髪の大柄な男性の顔が、今でもくっきり思い出されます。
そんなに苦労して仕入れても、
1冊につき、せいぜい、200円くらいの利益です。
本が好きじゃなくちゃ、できない仕事だよなぁと、
しみじみ思ったものです。
かくいう私の時給も、当時人気だったマクドナルドなどのバイトから比べると、
格段に安かった。
「よくそんな値段で、バイトしているね」と友達に言われたものです。
それでも、本のタイトルを書き出したり、
本の表紙を眺めたり、という仕事は、いつも本当にワクワクしました。
毎日、毎日、たくさんの本が入荷されてきて、
どんなに本が好きでも、一生のうち、読める本なんて、
ほんとにごくごくわずかなのだなぁ、と思うほどに、
表紙を眺められる毎日に、幸せを感じました。
実際、そんなにものすごい読書量があったかというと、それほどでもない。
本の装丁、タイトル、帯を見るだけの疑似読書でも、相当幸せになれてしまうのです。
すぐ近くに三省堂や、書泉ブックマートがあって、バイトの帰りも疑似読書三昧。
当時の私の夢のひとつは、
「いっぱいお金を稼ぐようになって、
タイトルと表紙、そして1行目だけ読んで気に入った本を、
値段を気にせず、次々腕の中に山積みにして買いまくる」
と言うもの。
音楽で仕事をするようになって、
その夢を叶えたときは、本当にしあわせでした。
いまだに「積ん読」が減らない傾向にあるのは、
当時のクセが抜けきれず、次々本を買ってしまうせいかもしれません。
本の中には書く人の世界観がぎゅっと凝縮されている。
本は宇宙です。
大好きな本は、実にたくさんあります。
ハインラインにブラッドベリにチャンドラーにジェームズ・ケインにデュ・モーリアに・・・
シェークスピアが大好きで、次々手に入れては、何度も何度も読みました。
後に、英語で小説が読めるようになってから、
大好きだった本の多くを洋書で手に入れ、原語で再読しましたが、
シェークスピアだけはわからなすぎて笑いました(^^)
一生、理解できる気がしない。。。
翻訳でしか読めないのに、「シェークスピアが好き」などと言うのは、
恥ずかしい話ですが、
それでも、今でも、大好き!と思えるのは、やはり、彼の本のエネルギーのすごさでしょう。
読み継がれている本には、強力なパワー、エネルギーがあります。
新しい本、人気のある本は、新鮮なオーラやパワーで満ちあふれています。
本のエネルギーを浴びるたびに、自分の世界が少しずつ広がっていく、
目が開いていく感覚は、おそらく一生焦ることない、素晴らしい魅力でしょう。
あぁ、本の話はとまりません。。。
今日はとりとめなく、本の話をしてみました。
本、読んでますか?
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