「そんなんで、どうやって食べていくんだ?」
昨日、街で前を歩くオシャレでダンディな年配の男性と、
若い女性の会話が、聞くとはなしに耳に飛び込んで来ました。
「なんだ。そういうメイクをやろうとしているの?
そんなんで一生食べていくつもりなの?」
「私は、舞台とか○○○(よく聞こえない)にとても興味があって、
メイクをはじめたいと思ったので・・・」
「もっと地に足がついたというか、生涯やれるようなこと考えないと・・・」
断片的しか聞こえてこなかったことばたちと、彼らの風貌から、
勝手に拡大解釈するに、
男性は女性の美容関係の師匠的な存在で、
女性は舞台メイクなどと、エンターテインメント関係の仕事につきたい。
それを、師匠がたしなめている、という図でしょうか。
「そんなんで、どうやって食べていくんだ?」
あらゆる不安定とされる職業につきたいと考える人が一度は受ける、普遍的な質問。
そういう厳しい質問をする人は、
もちろん親身になって、相手のことを考えている人。
(時々、単に、無神経で言ってくる人もいますが・・・)
相手の高揚する気持ちに水をかけるようなことを言うのは、
それなりに覚悟のいることです。
一方で、言われる側はといえば、
日々、「これからどうなるだろう。」「本当にこんなので仕事ができるのかな?」
と、不安を抱えながら、それでも、必死に、
石にかじりつくような気持ちでがんばっている。
だからこそ、親しい人や、尊敬する人、近しい人に投げられる、
そういったことばは、実にこたえるものです。
そんなことばを、「わかってねぇな」と心から笑い飛ばせる天才に、
これまで、何人か出会ったことがあります。
自信と自己愛に満ち、自分の将来に揺らぐことないビジョンを持っている人。
真っ直ぐ、迷うことなく、我が道を進み、
やがて、(ゴールに多少変更は加わったとしても)ひとかどの存在になってゆく。
実際、どう見ても冴えなかったのに、数年後、のし上がっていたという人もいました。
思い込みと勘違いの猛烈なパワーは恐るべきものです。
しかし大多数の、非天才、すなわち凡人は、そんなことばを聞くたびに、
心にぐさぐさとナイフを突き立てられるような気分になります。
「わかってるよ。そんなこと。」
「じゃあ、どうすりゃいいんだよ!?」
そんなときこそ、自分の本気が試されるとき。
他人の意見に心乱され、「とりあえず」と無難な道を選べるなら、
「今のうちにやめておいた方がいい」という合図。
そのまま無理して進んでも、結局どこかで折れる・・・そんな合図の場合もあるし、
実は、もっと自分に向いている、何が何でも進みたくなる道がある、
という合図でもある。
同志たちの目を気にすることなく、軌道修正ならいつでもすればいいのです。
(ただし、不完全燃焼になって、
思いがくすぶるような道の離れ方はしない方がいいのですが、それはまた別の話。)
何を言われても、どんなに心傷つけられても、
どんなに苦しくても、どんなに不安でも、
それでも何でも行かねばならぬ。
これしか道はないのである。
そんな風に思えるなら、今は、まさに、その道こそが自分の道。
信じるままに突き進む。
ありとあらゆる工夫をして。ありとあらゆる勉強をして。
とにもかくにも、徹底的に、道なき道を、突き進む。
やがて、必ず、道は開けます。
思いもかけないタイミングで、突然視界が開ける人もいる。
道が、曲がりくねって、気がついたら、全然違うことをやっていた、という人もいる。
でも、すべては自分が歩む道の延長線上にある。
食べて行かれるかどうかなんて、走りながら考えればいい。
食べられなきゃ死にますから、人間なんとかするものです。
好きなことで食べられるようにしていくことも、工夫なんです。
人は、やりたいこと、好きなことしか必死にできない。
必死にできることでしか成功しない。
安心や安泰より、後悔しないかどうかを。
自分にとっての「幸福」とはどんな状態であるかを。
いまだ揺るがない、人生の判断基準です。
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