「一緒にバンドやってくれませんか?」
「自分、なんでバンドやらんの?
ワシ、自分の歌、ごっつええ、思うで」
人生を変えるひと言というのは、
特別なシチュエーションで語られることば、
特別な人が語ることばとは限りません。
最適なタイミングで、
すとんと落ちることばに出会う。
神様のメッセージなのかもしれません。
音楽学校に行こうが、
音大に行こうか、
プロの人たちに混じろうが、
特別なことは何も起きない。
行動をする人の前でしか、扉は開かない。
しかしね。
じゃあ、何をすればいいんだ、と。
まわりの人は、みな自分より優秀に見える。
そして、優秀な人たちは、
自分のことなんか、これっぽっちも眼中に入らない。
全然相手にされてないし、
こいつダサいよなと、下に見られている。
なんにも誘ってもらえないし、
声もかけてもらえない。
そんな無価値感に苛まれて、
やめた方がマシだと、逃げ出したくなる。
ここで逃げ出せば、ゲームオーバーです。
実際、私も毎日、やめよう、
今日で最後にしようと、考えていました。
しかし、そんなときに、
あこがれていた同級生から、
冒頭のメッセージを受け取ったのです。
やめるのは、100人に聞かせて、
100人にダメだと言われてからにしろ。
100人に聞かせたのか?
なんでバンドをやらないんだ?
メンバーになってくれそうなヤツなんて、
学校にいくらでもいるじゃないか。
なんで自分から声をかけないんだ?
がつーんと衝撃を感じました。
そうか。
あたしは、まだなんにもやってないんだ。
なんにも行動してないのに、
自分が認めてもらえないって落ち込んで、
ぐだぐだぐちぐち、自分を憐れんでいるだけなんだ。
「魚は食いたい、足は濡らしたくないの猫そっくり」。
大好きなシェイクスピアのセリフが頭の中で無限リピートしました。
「そうして一生をだらだらとお過ごしなさるおつもり? 」
いや。簡単じゃないです。
具体的に、どうすべきかという答えはないんです。
「一緒にバンドやってくれませんか?」ということばほど、
勇気のいることばは、そうはないでしょう。
「え?いやー、君と?」って、困ったように言われたらどうしよう。
そもそも、ひとりもメンバーがいないのに、
「バンドやってください」って、言ったら笑われるんじゃないか?
「バンドって、なにすんの?」って聞かれても答えられない。
何が歌いたいのかもわからない・・・
それでもね。「えいっ!」と心の中でかけ声をかけて、
1歩前に進んでみる。
誰だって、自分の心の中に、ひとりぐらいは、
「この人とやってみたい」と思っている人がいるはず。
その人に、声をかけるんです。
どんな人でもいい。
相手が自分を知らなくてもいい。
えいっ!です。
これだけは間違いないのは、
声をかけられて、嫌な気持ちになる人はいないということ。
やる、やらないは、別です。
できない事情はいくらでもある。
だから、断られるかどうかは、フィフティフィフティ。
でも、声をかけると、自分の中で、
何かが大きく前に進みます。
断られたり、失敗したりすることは、
なんにもしないで落ち込んでいる時間に比べたら、
なんてライトで、爽やかなことだろうと、
思えるようになるからです。
欲しいものは、欲しいと声に出してみる。
真っ直ぐに手を伸ばしてみる。
声が、手が、届かなかったら、
次の手を考えればいい。
シンプルなことの中にしか、正解はないんですね。
◆“MTL ヴォイストレーナーズ・メソッド” 〆切間近。
業界トップクラスのメソッドで、圧倒的な結果を出す。ヴォイストレーナーとして活躍されている方はもちろん、ヴォイストレーナーを目指す方、トレーナーという仕事に興味があるという方も。
関連記事
-
-
人は「エネルギー」なのだ。
昨日、70日ぶりに、 レッスン室にクライアントさんをお招きしました。 10週間。 …
-
-
自分が見つけたかった音楽の興奮や感動は、今もそこにあるか?
何かを必死に追いかけ続けていると、 ふと、なぜ追いかけてきたのだったか忘れてしま …
-
-
常に最善を期待する
アマチュアだから。 学生だから。 新人だから。 そんな手加減がないのが、 私の、 …
-
-
続けたいことを続ける4つのポイント
エクササイズや練習、ダイエット、勉強、日記にSNS… 何をはじめても …
-
-
逃した「チャンス」は本物の「チャンス」なんかじゃない。
「チャンスが来たのに、生かせなかった」と感じたことはありますか? …
-
-
そして、戦いは続くのだ。
最近、ブログを読んでくださっているというさまざまな方とお話するたびに、 「あぁ、 …
-
-
アーティストたちの「本気度」
プロのアーティストや、その卵たちにとって、 もっとも大切なことは「結果を出すこと …
-
-
パッションこそが推進力
「ボーカル、どうしてやりたいの?」 かつて教えていた音楽学校で、こんな質問をした …
-
-
「表現したい」という欲求は、 それが可能な人にのみ与えられるエネルギー。
「クリエイティビティの源は何ですか?」と聞いたら、 「リビドーですよ」と答えたア …
-
-
うっそくっさいブランディングは、いい加減やめよう。
かつて業界では、 ミュージシャンでも、タレントでも、 デビューさせるにあたり、 …
- PREV
- 特別なことはなにも起きない
- NEXT
- 本物に触れる。 本物を知る人の感性に触れる。