大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

一瞬一瞬を大切に、大切に生きる。

   

ブログを書くようになって、
日々、自分の過去の記憶をたどっています。

ところが、何度、その作業を繰り返しても、
鮮明に蘇るのはいつもおなじ場面たち。

1年365日×むにゃ10年の歴史の中で、
取り出せるのはほんの数パーセント。

しかも、連続した時間ではなく、
静止画のような「シーン」です。
そうした鮮明な記憶に残る、
意味のあるシーンと、
繰り返される日々に埋もれてしまう、
自分にとってどこか希薄な記憶の違いは一体何なのか。

人間の記憶というのは、本当に不思議なものです。

 

 

人間の脳は、実は「体験したことのすべてを記憶している」という説があります。

しかし、すべてを覚えていることに人は耐えられない。
忘却は人間の防衛本能の成せる技だというのです。

 

まぁ、忘れてしまうようなことは、
おそらく自分にとって重要ではないこと。

無意識ながら記憶に優先順位をつけることで、
大切な記憶、いつでも取り出したい記憶が、
埋もれてしまわないようにしているのかもしれません。

 

あの時、あの人はなんて言ったんだっけ?

あぁ、あの時、一緒だったのは、一体誰だったんだっけ?

あの人とあの話をしたのは、どこだったんだっけ?

 

繰り返し蘇る鮮明な記憶のすき間に埋もれている、
思いがけない記憶を掘り当てたときの、
驚きとも喜びともつかない感覚は格別なもの。

 

日本を、世界を旅して、
たくさんの人とさまざまな場所、
さまざまなシチュエーションで出会い、語り合い、
共に笑って、共に泣いて、共に憤ってきました。
 
音楽と、アートと、ことばに彩られた、
特別な人生を生きているという実感は、
年を重ねるごとに強くなる一方です。

 

そしておそらく、
誰にとってもおなじくらい、自分の人生は特別で、
それぞれの出来事と、それぞれの人々に彩られて。
誰もが鮮明に蘇る記憶と、埋もれていく記憶を積み重ねている。

自分自身の人生を特別で、素晴らしい、
感謝に満ちあふれたものと感じられる人を、
おそらく「幸福」というのでしょう。

 

今、このとき、できることを、
最大の力で振り切ってやる。

一瞬一瞬を大切に、大切に生きる。

人間にできることって、それしかないのではないか。

 

そんなことを考えてしまう一日でした。

◆自宅で繰り返し、何度でも。ヴォイス&ヴォーカルのすべてが学べる【MTL Online Lesson12 10月生受付中!
◆コアでマニアックなネタを中心に不定期にお届けしているヴォイトレ・マガジン『声出していこうっ!me.』。限定公開のレッスン映像もごらんいただけます。購読はこちらから。

 - Life

  関連記事

「東京って、やっぱりすごいんですか?」

週1回ほど京都の音楽学校で教えていた頃。 よく顔を見るギター科の学生と エレベー …

自分の人生の価値を過小評価しない!

人にものを教える仕事がしたいと思ったら、 真っ先にすべきは、自分のプロフィールを …

何をやるかより、いかに自分で在るか。

新年初ブログです。 本年もどうぞよろしくお願いいたします。 この年末年始、自分と …

「やるっ!」と決めた時から、旅ははじまっている。

「がまん」という言葉が嫌いです。 やりたいことこそ、やるべきことで、 やりたくな …

「やりたい」と「できる」と「やる」

「音大目指すなんて、今からじゃ無理よ」 中学2年の時に、 とある音楽教室の先生に …

人と人とは、100%はわかり合えない。

「ねえねえ、コサカさん、ちょっと野球のメンツ足りないから、入ってよ」 放課後、大 …

キャリアの節目をポジティブに旅する

「節目」というものをポジティブに捕らえるか、ネガティブに捕らえるかで、 人生のク …

自分の「スタイル」を持つ

昔のミュージシャンは、ひとつのバンド、1枚のレコードを、 それはそれはこだわり抜 …

人に年齢を言うのをやめてみる。

年功序列文化の日本人は、年齢をアホほど気にする。 「何才ですか?」からはじまる会 …

そして、戦いは続くのだ。

最近、ブログを読んでくださっているというさまざまな方とお話するたびに、 「あぁ、 …