起きてみる夢 寝てみる夢
「うちの子、声優になりたいって言ってるんですよ、先生」
そんなお母さんの相談を受けたことがあります。
「そうですか。今は、どんな活動しているんですか?」と聞くと、おかあさん、ちょっと困った顔をして言います。
「毎日、大好きな声優さんのやっているアニメを一所懸命見ています」。
相談に来たのも、本人に頼まれたわけではない。
業界に近いイメージのある私の話を聞いて息子さんにアドバイスをしたかったんでしょう。
お子さんと言っても、ティーンエイジャーじゃありません。
ガツガツ人脈を広げて、できることを手当たり次第やっていなくちゃいけない年頃です。
必死なようすのおかあさんがなんだか不憫で、思わず、
「おかあさん、それは寝て見る夢ですよ」と言ってしまいました。
起きて見る夢、寝て見る夢。
夢には2通りあります。
どんなに素敵な夢だって、眠っていたら叶わない。
目を覚まして、ちゃんと夢に向かって進んでいかなくちゃ。
いつまで経っても夢は夢のままです。
本人が寝て見る夢の世界にいるのに、おかあさんがどんなにがんばったって、叶うわけがありません。
なんて酷いことを言うの?という目で見られましたが、いやいや、ごめんなさい。
寝たまま夢を見たことがどんどん現実化するなんて、どんなスピでも聞いたことないです。
もしかしたら、私自身が、どんな夢も、目が覚めたら叶っているってことを、「100%信じてないから叶わないのよ!」って言う人もいるかもしれないけど。
え?それって、嬉しい?
グランドキャニオンに行きたいわ、と思う。
朝、起きたら、グランドキャニオンにいる。
本を出版したいわ、と思う。
目が覚めたら、自分の本が書店に並んでいる。
考えても、1ミリも嬉しくないし、まったく興奮しません。
そうじゃないんだな。全然ちがう。
旅の楽しさは目的地までのプロセスとワンセット。
人生の喜びも同じ。
お金貯めて、パスポート取って、チケット買って、ガイドブック買って、飛行機乗って・・・というプロセスそのものがゴールの一部。
プロセスを見出すのは、夢の一部。
寝たまま夢を見ているだけじゃ、なにひとつ変わらない。
誰もなんにもしてくれない。
どこにも行けない。
自ら気づいて、立ち上がって、足を前に踏み出して、はじめて自分が本当に望んでいることがわかる。
時には頭から水をぶっかけて、目を覚まさせることも必要です。
なんなら自ら水をぶっかぶって、目を覚ますこともね。
きっと。
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