「ペンは剣よりも強し」は、死語なのか?
ヴォイトレを担当している若者たちと話していて、
なにが驚くと言って、
物を書く習慣があまりにないことに、本当にびっくりします。
日記をつけている20代女性の割合は
18%程度と言うことですから、
まぁ、100歩ゆずって、日記はつけないにしても、
「手帳ぐらい、つけてないの?」
と聞いても、答えはNO.
紙の手帳はおろか、スマホですら、
なんの記録も残していないというので、
そっかぁと、なんだか淋しくなってしまいました。
え?みなさんもそうですか?
自他共に認める書き魔である私は、
小学校1年生で日記、6年生で手帳を書き始めてから、
手帳とノートとペンは手放したことがありません。
その日にあったこと、
その時に頭に浮かんだことば、
その刹那に心を占めた思い。。。
手帳に、日記用の大学ノートに、歌詞ノートに、そして10年日記に。。。
私にとって書くことはごはんを食べることと同じようなものでした。
ことばは生き物ですから、
その刹那、その瞬間にとらえなければ、
手の届かないところに逃げていってしまいます。
だから、電車のホームで歩きながら、
バスのつり革につかまったまま、
ことばを書き付けたことも、
すぐそばのcafeに飛び込んで、
何時間も書き続けたこともあります。
まぁ、あんまり誉められたことではありませんが、
授業をそっちのけで、大学ノートにびっちり、
思いをぶちまけ続けたこともありました。
あるときには、大学ノート1冊を、
一日で使い切ったこともあります。
先日、作家のジョン・キムさんが、
「誰かと会って話をしたら、
15分以内に振り返りをノートに書き付ける」と話していましたが、
そのくらい、時を移すと逃げて行ってしまう、
大切な情報が山ほどあるわけです。
10代の、毎日が特別なことで彩られた大切な時間。
SNSをやっていることで、
なにか記録を残していると感じているのかもしれないけれど、
内に向かう思いと、外に向かう思いは、全然違うもの。
もちろん、書いたからといって、
時を閉じ込めることはできませんから、
書くことなんて意味を感じない、と言われてしまえばそれまでですが、
ノートって、
必要な時に必要なことばを取り出してながめたり、
大事な思い出を解凍して味わったりできる、
冷凍庫のようなもの。
年を重ねるほどに、
10代、20代の本当に多感な頃に、
書くと言う習慣を持っていてよかったと思うことばかりです。
ペンは剣よりも強し。
スマホやPCとペンとでは、
脳にアクセスするプロセスが全然違うと感じるのは、
私たちの世代くらいまでなのかもしれないけれど、
できごと、思い、ことばを記録するということの価値は、
メディアが変わっても変わらないはず。
そんなことも、少しずつ伝えて行かれたらいいな。
◆基礎力がないわけではないのに、歌の評価が上がらない。思うようにキャリアアップできない。ワンランク上の世界で認められない・・・。そんな悩みを抱えるシンガーたちのための中上級者向けワークショップ、MTLネクスト。2021年2月に第2期を開講!
関連記事
-
-
BPM1目盛りの職人芸
BPMということばが普通に使われるようになったのは、 いつの頃からかわかりません …
-
-
旅に出よう!
「外国語を知らない者は自分自身の言語について何も知らない。」 と言ったのは文豪ゲ …
-
-
2026年、はじめました。
あっという間に1月も折り返しです。 気付けば今年初ブログ。 今年も凄い勢いで時間 …
-
-
お前はまだ、立ち続けているか?
『戦いに勝つのは、最後まで立っていたヤツ』 人の戦い方はいろいろです。 100メ …
-
-
「東京って、やっぱりすごいんですか?」
週1回ほど京都の音楽学校で教えていた頃。 よく顔を見るギター科の学生と エレベー …
-
-
ちゃんと仕事しろっ!
NYに住みはじめて、 寮の自分の部屋に電話を引き込むため、 電話会社に出向いたと …
-
-
たったひとつの正解を探す~Singer’s Tips #34~
キーは、 どんな表現をしたいか、 どんな効果を狙うか、 自分のどんな表情を切り取 …
-
-
人を感動させる力の秘密は”HOW”じゃなく、”WHY”にある。
ピカソやゴッホをお手本に、 「この青は何番をつかって」 「ここの線はくっきり描い …
-
-
出会いの数だけ別れがある
音楽はたくさんの出会いをくれます。 音楽はひとりではできないから。 一緒に演奏す …
-
-
風邪に克つ方法
普段、どんなに目の前でゲホゲホやられても、 「そんな風邪は絶対にうつらない」、と …
