大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

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誰もが自由に発信できる世の中では、 「プロフェッショナルな送り手」は不要なのか?

   

インターネットのおかげで、
個人が自身のコンテンツを自由自在に
広められる時代がきました。

今さらながら、これって、もんのすんごいことです。

メジャーレコード会社とか、
テレビ局、ラジオ局、出版社、新聞社、
広告代理店に事務所、プロダクション・・・
そんな「儀式」をぜ〜んぶすっ飛ばして、
四畳半から世界に向けて、
ど〜んと情報発信できる世界が来たわけです。

80年代、いや、90年代初頭にタイムスリップして、
そんな世界がくることを業界の誰かに告げても
誰ひとり信じなかったんじゃないかな?

いや、仮に信じたとして、
誰ひとりイメージできなかったでしょう。

例えば、「歌っている映像を電波に乗せる」ひとつ取っても、
作曲家、アレンジャー、ミュージシャン、エンジニア、
マネージメント事務所、インペグ屋、
ヘアメイク、スタイリスト、照明スタッフ、撮影スタッフ、
映像スタッフの手を経て、
レコード会社、スポンサー、テレビ局・・・と、
ざっくり考えても、
とんでもない数の「プロフェッショナル」たちの手を経て、
電波に乗っていたわけです。

当然、「電波に乗せる価値のあるもの」、
「受け手が価値を認めると業界の人たちが考えるもの」しか、
世の中には出なかったことになります。

もの凄い倍率です。

数え切れない「業界のオトナたちの感性」というフィルターを通り抜けて、
生き残ったものしか、メディアでは勝負できなかったのです。

そんなフィルターを全部取っ払って、
四畳半からいきなり他人のお茶の間にダイブするのが、
Youtubeをはじめとした、いわゆるSNSです。

送り手も受け手も、
よくも悪くも100%自己責任。

聞くに堪えないものや、目を覆うようなものを流すのも、
極悪低俗なクズコンテンツをうっかり選んで、
気分が悪くなるのも、怒り狂うのも、全部自己責任。

なんだかテレビ番組そのものさえも、
インターネットメディアを意識したつくりになっているとさえ、
思えるときが多々あります。

SNSの種類もどんどん増えて、
今や、24-7、四六時中、世界中の人たちが、
なんかしら発信し、しのぎを削っています。

私自身も、ブログにはじまって、
Facebook、twitter、インスタ、Youtube、LINE、Radiotalk、
ついにはClubhouseにまで手をだしている始末。

 

しかし、ここで、大きな疑問がわきます。

誰もが自由に発信できる世の中では、
「プロフェッショナルな送り手」は不要なのか?

ぶっちゃけ、
「売れないプロより、影響力のあるアマチュアの方がすごい」というのは、
紛れもない事実です。

どんなにすごいものをつくったって、
誰も見てくれる人がいなかったら、
単なるマスターベーション。

一方で、
たとえプロ目線で見たクオリティは残念でも、
受け手の心をつかんで、
どんどん拡散していけば、
果てしない影響力を持つことも可能です。

しかし、です。

ここで、すんごい大事なのは、
プロフェッショナルが、
いたずらに「影響力のあるアマチュア」のマネをしてもダメだということ。

本当に「影響力のあるアマチュア」たちは、
おもしろおかしくやっているようで、
ビジネスやSNSや、ブランディングやマーケティングや・・・
そんな、
業界どっぷりなプロフェッショナルが考えもつかないことを、
ものすごい計算しながら、
そして、ものすごい努力をしながら、
自分メディアを構築しています。

プロフェッショナルが、
そんな人たちのうわべだけをマネして、
ちょろっとお座敷ライブをやったり、
トークセッションをやったりしても、
よほどすでに影響力のあったプロフェッショナルでない限り、
そう簡単に、おもしろいことにはなりません。

「プロは違う」というおごりを捨てて、
謙虚に、彼らがやっていることを一から勉強する、
くらいの心構えがないと、
新しいメディアの世界では通用しないのではないか。

そして、ここが肝心なのだけど、
プロは、やっぱりプロらしくあることを
忘れてはいけないとも思うのです。

アマチュアの手法を真似たとしても、
プロのクオリティを保てなければ、
プロのプロとしての存在価値はありません。

音のプロは音にこだわる。
音楽のプロは音楽にこだわる。
声のプロは声にこだわる。

だってね。
人生かけて、これしかやってこなかったんだから、
ここにこだわらなくって、どこにこだわるんだ、
ってことですよね。

学んでも、学んでも、
世の中の方が先に走っていって、
いつまで経っても追いつけないけれど、

こうなったら、奈落の底まで追いすがって、
プロはプロの根性、見せたいものです。

 

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