「他者基準」で自分をジャッジしない。
才能あふれる若者たちを教える機会に恵まれています。
レッスンのたびにワクワクしたり、
彼女たち、彼らが体感しているドキドキを
一緒に感じたりすると同時に、
みんなにのしかかっている期待と言う名の重圧や、
焦燥も痛いほど感じられて、
頭の皮がピリピリするほどの責任の重さを痛感する日々です。
カラオケや自分の部屋で、
自由奔放に楽しく歌って来た若者たちが、
いきなりプロの世界の基準をつきつけられるわけです。
ピッチとか、リズムとか、声の音色とか、
ごくごく当たり前の「基礎の入口」に立ったまま、
同時に、真ん中をぜんぶすっ飛ばして、
オーディエンスに届く歌、
人を感動させられる歌、という、
スーパープロ基準のことを要求される。
そんな、離れ業を、
才能のある若者ならではの、
バイタリティとセンスでやってのける。
いやー。ほんっとに大変なことだし、
素晴らしいことです。
ここで、みんなが一度は陥るのが、
「他者基準」で自分をジャッジしようとすること。
もちろん、
素直に人の言うことに耳を傾けることなしに上達はありません。
客観的に自分自身をジャッジする力は必要だし、
時には、今起きていることを、
俯瞰する目線も必要でしょう。
しかし、「他者基準」になってはダメなのです。
10人いれば、10人基準は違います。
しかも、他人の「基準」をこと細かに分かるはずがない。
だから迷っちゃったり、苦しくなっちゃたりするんですね。
自分の基準は他人の中にはみつからないんです。
ここで、そもそもの話をすると・・・
求められているのは、
「感動した」、「すごくいい」であって、
「よくできました」や「うまいね」じゃないんですね。
以前、売れっ子アーティストのヴォイトレをしていて、
「オーディエンスはあなたに”うまい歌”を期待してないから」と言って、
一瞬気まずくなって慌てたことがあるのですが、
違う、違うんです。
“うまい歌”なんか、誰も聞きたくないんです!
では、どうしたら、感動したり、
すごくいい!って感じてもらえたりするのかといえば、
100%自分を出し切ること。
これだけです。
だって、そんなポテンシャルを見抜かれて選ばれた人たちですから。
100%が出せてないから、
それがおとなたちはわかるから、
「もっとこうしたら?」「こうやってみたら?」と、
こちらも、あの手この手でその力を引き出そうとするわけです。
すべてが、本人の100%を引き出す手段なのです。
そして、その100%が、
どこに眠っているか?
どんな呪文を言うと、
どんな魔法をかけると出てくるのか、
それがわからないから、
「開けゴマ」とか「開けパパイヤ」とか言ったりしている。
だから、ここで、ほんっとうに忘れて欲しくないのは、
自分は素晴らしい。
自分はやれる。
いや、自分にしかできない。
自分はちゃんと正解を知っている。
そんな、『ロッキー』なマインドなんですね。
(ま、ロッキーじゃわからんだろうけど)
自分自身の100%を引き出す呪文。
それを探し出すまでの旅を「修行」というのかもしれません。
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