大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

まずはライブハウスを押さえろ。話はそれからだ。

   

「いつか、ライブできたらいいなって思って」
レッスンでこんなことばを聞くと、反射的に、言ってしまうのは、
「なるほど。具体的にいつやります?」です。

言われた方は、不意をつかれて、めちゃくちゃ狼狽し、9割以上の確率で、
「いえいえ。まだまだ、もっとうまくなって、ちゃんと準備ができてからゆっくり・・・」と、言い出すわけですが、ちょっと待って。

「もっとうまくなる」いつかも、「ちゃんと準備ができる」いつかも、一生来ません。
受験勉強だって、ダイエットだって、〆切があるからがんばれる。
やると決めなければ、情報は集まってこないし、歩きださなきゃ、前には進めないんです。

 

そもそも、ライブって、今日言い出して、明日できるってもんじゃない。
こちらの都合のいい日程で、ほどよい箱(ライブハウス/会場)でやろうと思ったら、最低でも3〜4ヶ月、時には半年〜1年くらい、小屋によってはヘタしたらそれ以上前にブッキングしなくちゃダメ。

だからね、とりあえず箱を押さえるってのが、もう何より一番大事なんです。
箱押さえたら、やらざるを得ないもん。肝だってちゃんと据わります。
人間ケツカッチンが一番力が出るもんです。

え?箱が先?と思いますか?
箱を決めるまでに、いろんなシミュレーションをしますよね?
どんな編成で、どんな曲を、何曲くらいやりたいか?
どんな人と一緒にやりたいか?
対バンみつけるのか?
お客さんは何人くらい来てくれるのか?
そんなイメージをふくらませながら、あちこちのお店を回ってみる。
もうね。この時間と手間をかけるだけでも、音楽的に大きく成長します。

もちろん、すでに一緒にやりたいメンバーが決まっているなら、スケジュールを合わせることも必要ですが、そうじゃないなら、とりあえず箱。

ミュージシャンを誘うときだって、「いつか、どこかで、なんかやりたいんですけど、一緒にやってもらえますか?」なんてフワッとした話では、誰も乗っかってくれません。
「○月○日にどこそこのライブハウスを押さえているんですけど」と言われれば、誘われた方もイメージが湧きます。
どうしてもその人とやりたくて、お店に迷惑をかけない早い段階なら、ブッキング日程を変えることだって可能です。

日程と箱(ライブハウス/会場)を決める。
ミュージシャンを集める。
お客さんを集める。
曲を決める。
練習する。
バンドでリハーサルをする…。

このプロセスの中で、あてにしてたミュージシャンとスケジュールの折り合いがつかないとか、リハやってみたら思いの外プレイがへぼかったとか、体調不良でメンバーが突然やめちゃったとか、やろうと思ってた歌がバンドでやってみたら全然しっくりこなかったとか、お客さんがなかなか集まらないとか..もうね、ありとあらゆることが起きます。

それでも、やるんです。
大丈夫。失敗したって、いいんです。

ライブをやるのって、旅なんです。
1回1回のライブは、長い旅の通過点に過ぎません。
失敗も旅のスパイス。
ちょっとやそっとのことで、いちいち心折れてたら、いつまで経ってもどこにも行けません。

怖いですか?
だったら目をつぶって飛び込みましょう。
最初は誰だって怖い。
でもね、怖いだけじゃ、人間死なないもんですよ。

 


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