大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

ライブやるのに、シロウトもクロウトも関係ないっ!

   

Y社長が弊社にやってきたのは、昨年の秋のこと。
共通の知り合いからのご紹介ということで、私の噂をいろいろと聞いていたのでしょう。
ひととおり名刺交換の儀式が終わると、勧めた椅子にめちゃくちゃ緊張した面持ちで、腰をかけました。
いやいや、怖くないんで。大丈夫ですよ。

レッスンにいらした動機を聞くと、なんでも、飲み会だかカラオケだかのお席で、「いつかライブをやってみたい」とうっかり口にしたら、同席していた人がいきなり「一緒にディナーショーをやろう!」と盛り上がり、会場からスタッフまで一気に手配をしてしまったとか。

スーパービジネスマンって、こういうところが、ホントにすごい。
私が仕事ができる人とお付き合いするのが大好きなのは、こういう即断即決即行を当たり前のようにできることです。

「すごいじゃないですか!ディナーショー!」
と盛り上がる私の前で、Y社長は、とにかく恥ずかしそうに、こう言います。

「いやいや、まったくのシロウトがそんなことしていいのかって、話です。
カラオケ以外、人前で歌ったことなんかないんです。
そんなヤツがディナーショーなんかしていいのか。」

 

この「シロウト」ということばを使う人、ほんとに多いんですが、
ポピュラーミュージックの世界に、シロウトもクロウトもないじゃん!といつもキッパリ伝えています。

私がよく使う「プロ」ということばは、プロがプロと認める仕事人のことをわかりやすく言っていることば。
長年業界で、バッキバキにお仕事をしてきた私は、いわゆる自称プロに対する目線は厳しいわけですが、人前で歌ったり、ライブをしたりするときに、この「プロだから」ってことばくらい、どーでもいい基準はないと考えています。

プロだって、つまんないライブやる人はたっくさんいる。
酔っぱらってライブをやる人も、ろくに準備もしないで適当にステージに立つ人もいる。
あたしは、そんな、「プロだから、テキトーにやってもそこそこの演奏ができるから」みたいなライブ、ほんっとに好きじゃないんです。

一所懸命準備して、練習して、それを喜んで見てくれる人がいる。
その方がよっぽどいいエネルギーが流れる。

ディナーショーやろうってエネルギーも素晴らしいし、ディナーショーのお席を満杯にできるくらい、応援してくれる人や、見たいって思ってくれる人がいるって、こんな素晴らしいこと、ないでしょう!

「胸を張ってステージに立ってください。
胸を張ってステージに立てるよう、準備していきましょう!」

いつかライブをやってみたい。
いつか人前で歌ってみたい。
そんな想いが湧いたら、「私なんか」と下を向くのはやめてください。
よし、やろうと心に決める。
すると、必ず、次が見えてきます。

Y社長のディナーショーは大成功でした。
「サイコーに楽しかったです。
MISUMIさんに教わって、本当によかったです。
人生変わりました!」
こんなことばを聞いた時ほど、嬉しいことはないです。

こんな時、具体的にどんなレッスンをするのか。
詳しくは、明日発行のメルマガでお届けしますね。


■「歌いたい!」を「歌える!」に変える、MTLシンガーズLab. いよいよ9月スタート!

■無料メルマガ『声出していこうっ!』。
ご登録いただいた方全員に、『朝から気持ちい声を出すためのモーニングルーティン10』をプレゼント。バックナンバーも読めますのでぜひ。ご購読はこちらから。

 

 - ある日のレッスンから, 夢を叶える

  関連記事

「向いてない」んじゃない、「イケてない」んだ。

「お前、無理してそんな歌、歌うなよ。 お前には似合わないぞ。」 「MISUMIち …

「変」なのか?才能なのか?

先日、とある会社にお勤めの、 才能あふれる、知的な若者とごはんしていた時のこと。 …

「どうやったらライブにお客さん、来てくれますかね?」

「MISUMIさ〜ん。どうやったらライブにお客さん、来てくれますかね〜?」 &n …

no image
レッスンの価値は受け手の情熱が決める

トレーナーひとりでどんなにがんばっても、 レッスンを受ける側の情熱やモチベーショ …

結果が見えなくても、愚直に続ける勇気

たくさんのミュージシャンやアーティストたちを見て来て、いつも思うこと。 結局、近 …

自らの夢想の傍観者でいてはいけない。

「MISUMIちゃんの書くような曲なら、俺、100曲書けるぜ。」 ずいぶん昔のこ …

自分らしく歌う。 自分であるために歌う。 ありのままの自分で歌う。

「ちゃんと勉強した人が綺麗な声できちんと歌う」っていう、 従来の音楽的価値観をぶ …

「なに、夢みたいなこと言ってるの!?」

何年か前。 知人の家に幾人かの人と集い、 他愛もない話をしていたときのこと。 誰 …

「続けること」のチカラ

今、どうしても叶えたいことがあったとして、 それがこの先10年間、 コツコツ何か …

「一緒にバンドやってくれませんか?」

「自分、なんでバンドやらんの? ワシ、自分の歌、ごっつええ、思うで」 人生を変え …