自分の「本気」が試されるとき
このブログを通して、ポジティブシンカーで、
挫折知らずのような印象を与えているかもしれませんが、
私自身は極めてヘタレで、時々びっくりするほど後ろ向き。
・・・少なくとも、数年前までは確実にそうでした。
これまで、さまざまなことを「自分には無理」とあきらめ、
その度に少なからず落ち込んできました。
例えばピアノ。
小学校4年生から本当に習いたくて親に頼み込んだものの、
なかなかピアノを買ってもらえず、始めたのは中学1年の夏休み。
必死に必死に練習したけど、ピアニストの道をあきらめたのは、
「ピアノを始めたのが遅すぎて、耳が悪いから」で、
「どんなにがんばっても音大は無理だと言われたから」で、
「こどもの頃からやっていた絶対音感を持っている素晴らしい弾き手が、
回りにいっぱいいたから」。
例えばギター。
高校でツェッペリンの映画を見て衝撃を受け、ロックに目覚めて、
高校3年間、毎日3〜4時間も練習するも、やっぱりあきらめたのは、
「手が小さくって、ジミーペイジみたいに弾けなかったから」で、
「『お前、そんなんでギターリストとか言ってんじゃね〜よ』って、
バンド仲間のオーイシくんに言われたから」で、
「自分より耳がよくって、素晴らしいギターを弾く女の子に会っちゃったから」。
例えば作曲。
「小学校のときに一所懸命作った曲が作曲コンクールで入選したのに、
当時の音楽の先生=ツヤコに全校生徒の前で盗作呼ばわりされたから」で、
「どうせ自分みたいに音楽教育をちゃんと受けてこなかった人間には、
作曲なんか無理なんだ、とわかったから」で、
「ポールやジョンみたいな才能は私にはないと悟ったから」。
あぁ、なんて後ろ向き。
そしてぜ〜〜んぶ誰かのせい、なにかのせいです。
ふてくされてばかりいる当時の私に、
ある日「聞いてみろよ」と父が買ってきてくれたのは、
ジャンゴ・ラインハルトのレコードでした。
18才で半身に大やけどを負って、
生涯、左手の指に致命的ともいえる障害が残ったというギターリスト。
しかし、その障害を克服して世界的に影響を与えるギターリストとなりました。
当時、父はなにもいわなかったけれど、
きっと、あれは私へのメッセージだったのでしょう。
一所懸命取り組んでいることをやめる時には、
周囲に対して、自分自身に対して、なにか言い訳が必要です。
身体的条件や、取り戻せない過去の時間というのは、
絶好の言い訳になります。
能力不足や、経済的条件、「他人から受けたトラウマ」というのも、
なんだか信憑性がありそうです。
でもね。結局、やりたくないんです。
そこまで、自分を追い込めない。
それほど、真剣じゃない。興味がない。そしてきっと向いてない。
本気でやりたいことなら、
たとえどんなに条件が悪かろうと、
周囲に反対されようと、
可能性の欠片さえ見えなかろうと、
やっぱりやる。
絶対やる。
誰かのせい、何かのせいにしたり、言い訳がしたくなったりしたときこそ、
自分の本気を試されているのかもしれません。
関連記事
-
-
「シンガー」というキャリアのゴールを描く
プロを目差すシンガーたちには、それぞれのゴールがあります。 ゴールが違えば、歩む …
-
-
未来の自分を信じる~Singer’s Tips#29~
自分がオーディエンスだったら、 どんなシンガーを見たいか? どんな歌を聴きたいか …
-
-
「今の自分」を信じられないなら、「未来の自分」を信じる
「音楽学校って、夢をあきらめるためにくるところだって、先輩が言ってました」 &n …
-
-
「もっと遊べ!」という謎のワード
「MISUMIちゃんは、もっと遊ばなくっちゃ。」 来る日も来る日も歌のことばかり …
-
-
自分を好きになるということ。
こどもの頃から、 自分じゃない人間になりたいと思っていた年月があまりにも長くて、 …
-
-
「できたらいいな」と思うことと「本当に好きなこと」の決定的な違い
書くことが好きです。 ほっといても書く。 学生時代など、授業中に全く授業聞かずに …
-
-
パッションから目をそらさない!
「え?MISUMIさん、そこまでやるんですか?」 何度言われてきたかわからないこ …
-
-
自分が生きてきた時間を過小評価しない。
誰にでも、自分が取るに足らないと感じるときはあるものです。 傍からは、順風満帆に …
-
-
アチチュードが、結果をつくる。
なにから始めたらいいかわからないなら、 憧れの人がやっていることを観察して、マネ …
-
-
完成しない作品は、「作品」ではない
ずいぶん昔。 ユーミンがとあるラジオ番組で、 「美大で日本画を専攻していた」とい …

