この子、「化ける」かもしれません。
2016/10/27
歌が本格的にお仕事になる前、
CMや映画などの音楽プロデューサーのアシスタントをしていた頃のことです。
山川直人監督の『SO WHAT』という映画で、
若者たちの演奏シーンの指導を担当するように言われました。
お仕事の内容など、書き始めたら、やたら長くなっちゃったので、
詳しくはメルマガでご紹介するとして、
その時の準主役に、この映画でデビューした東幹久くんがいました。
ドラマーの役だった彼は、
プライベートでもドラムの先生について、練習に励み、
また、リハーサル中も撮影中も、
誰よりも熱心に、誰よりもこだわって、
そして、誰よりも悔しがりながらドラムを叩いていました。
そのときの真剣で燃えるような顔つきが実に印象的です。
同行していたスタッフさんが言いました。
「東は、渋谷の不良だったんですよ。すごく光ってて、スカウトして・・・。
なんか、化けるんじゃないかって思ってるんです」
「化ける」とは、俳優や芸能人などが、
思いがけなく上達したり、有名になったりすること。
な〜んか冴えない子だったのに、突然、光り出した。
地味な子だったのに、急にまわりを圧倒するほど綺麗になった。
誰もライバル視していなかったのに、
急激にカッコよくなって、人の目を釘付けにするようになった。。。
芸能人でもミュージシャンでも、デビュー当時はルーキー感満載。
今ひとつ垢抜けなかったり、
歌も演奏もそこそこだったり。
それが、
例えば重要な役がついたり、
ファンがたくさんついて、追いかけられるようになったりして、
本人の意識や状況が変わってくると、いきなり、どかんと化ける。
事務所の人たちは、毎日のように、血眼になって、
可能性のある子たちを探しているわけですが、
容姿端麗、歌唱力抜群、パフォーマンス超華麗という歌手だったのに、
結局あまり活躍できないまま、消えてしまったという例も、
それはもう無数にあるわけで。
今、どうかということよりも、
化けるか化けないか・・・
やはり「運」の要素は否定できないし、見極めは実に難しいところでしょう。
私自身も、「化けちゃった」若者に、何度か遭遇しています。
あくまでも私の感覚的なところで言えば・・・
事務所のあるなし、デビューした、しないに関わらず、
突然、どかんと光り出した、そんな子たちは、
無視できない「エネルギーの源」のようなものを持っている。
まだその源からはエネルギーが出ていないのだけど、
もちろん、光も発していないのだけど、
その源の存在を感じられる、なにか、まっすぐな、
目をそらせない、静かなパワーのようなものがある。
その源を輝きに変えられるかどうかは、
その人自身や周囲、そして運にかかっているのかもしれません。
東幹久くんは、その後、「大化け」して、すっかり有名人になりました。
私は撮影以来、一度もお目にかかっていませんが、
あの時の彼の鋭い目は、今でもひっかかります。
明日(25日)13時頃、久々に発行する予定のメルマガno.119では、
ここでは書けない映画撮影現場でのお話しちゃおうと思います。
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