大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

オトナとコドモの線引き

   

コドモの頃、オトナは特別な存在だと思っていました。

 

コドモとオトナにはくっきりとした線引きがあって、
あるとき、その線を越えると自分もオトナになる。

 

線の向こうに行くと、

いろんなことに妥協して、迎合して、あきらめて、
とんがったところを丸くして、
虚無感をお手軽な満足感で埋めて、

生き残るために、感性を鈍らせて、
自分を正当化したり、大きく見せたりするために自分の立場や役割を振りかざして、
コドモをコントロールしようとして・・・

 

中学から高校にかけて、激しい「アンチ・オトナ」傾向だった頃は、
特にそんなことを強く思い、

いつか自分も、その線を越えてオトナになるくらいなら、
18才くらいで、妥協も惰性も挫折も知らぬまま、
短い生涯を終えたいものだと、本気で思っていました。

 

 

 

あれからうん十年。

 

その「線」とやらを越えたつもりは全然ないのに、
いつの間にかオトナになって、長い時間が経ちました。

 

結局、オトナはコドモの延長で、
心の中はあの頃と何にも変わらない。

 

オトナになったなどと、納得できないままオトナと呼ばれ
オトナの役割や責任を与えられ、
それらをしっかりと果たすことを期待され。
毎日、そんな期待を裏切らないよう、
自分にできることを精一杯やろうとがんばって、
一所懸命オトナを演じているだけなのかもしれない。

 

そもそも、経った年月なんて、振り返ってびっくりするばかりで、
コドモだった頃なんて、ホントに、笑えるくらい、ついこの間のこと。

 

 

妥協も迎合もあきらめも、まだまだ学習できず、
感性もとんがったまま・・・。

 

 

 

 

オトナっていうのは、「年を取ったコドモ」のことなのかもしれません。

 

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 - Life

Comment

  1. SHUN! より:

    いつも楽しく、「う〜ん、そっか」とうなづきながら読んでいます。今まで自分が気づかなかった視点、なんとなく感じていたけど言語化できていなかったことを、「これだよ!」と明確に切り取って目の前に提示してくれる小気味の良いブログですね。
    私は50歳を越えて結構な年です。こどもでいることは容易ですがおとなになることはたいそう難しいと実感しています。というわけで、私自身は、いまだおとなになれず、こどもでもいられない中途半端な存在です。

  2. otsukimisumi より:

    >SHUN!さん
    嬉しいおことば、ありがとうございます。
    こどもでも、若者でも、おとなでも・・・一生、自分が心地いい状態に自分を定義づければいいですよね!

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